ＫＡＩＴＯ兄と帯人君とのいざこざに巻き込まれたくなかったので、ＫＡＩＴＯ兄を家から追い出した。
　レンを護衛につかせ、ＭＥＩＫＯ姉とミク姉と私とルカさんだけになったところで。
ミ「ガールズトークしましょー！」
メ「めんどいからパス」
ル「私も眠いです……I'm sleepy.　ミクちゃん、先に寝てますね」
ミ「えええ!?」
　正直言って私も眠い。
　パジャマに着替えて歯を磨いでベッドにもぐりこんだら、先にベッドに誰かいた。
ミ「３９３９３９３９……」
リ「え、ちょ、なになにはちゅねみたいな声出して！　てかやめてよ、そこはレンが寝るんだから」
ミ「まだ一緒に寝てたんだね」
リ「何か不都合でも」
ミ「ないよ。ＧＵＭＩちゃんに妄想のネタにされると思うけど」
リ「承知しちょります」
　それよりなんでここにいるんだよ、眠いのに。
ミ「ガールズトークしようよー！　ねえー！　最近やってなくてつまんないのー！」
　ミク姉は意外と乙女である。
リ「別に私したくないｓ(ry」
ミ「私がしたいの！」
　ああそうですか。
ミ「だってさぁー！　クオ君がさぁー！　私のネギをさぁー！」
リ「ああはいはい分かりましたおやすみなさいまた明日」
　私のネギをってそれもうガールズトークじゃないし。
ミ「リンちゃーん！　らめぇ！　寝ないでぇー！」
　おやすみなさい私はもう寝る……。



　次の日、ＫＡＩＴＯ兄は何とか無傷で帰ってきた。そのかわりレンがボロボロ。
リ「よくもレンを……！」
カ「えええっ、なんで僕なんだようっ！　リンちゃん、やめてだめだめだめー！」
　ＫＡＩＴＯ兄も同じくボロボロにしてやったわ。
ミ「夜帰ってこなかったの？」
カ「帯人君から逃げてたんだ。レン君が守ってくれたけど……いやぁ帯人君、マスターと仲直りできたみたいでよかったよ。幸せに暮らせるね」
　レンに守ってもらったって……どんだけ非力なんですか。まあそこが可愛いんだけど。
カ「めーちゃん、僕朝ごはんアイスがいい……ってあれ？　めーちゃんは？」
ル「まだ寝てらっしゃいますよ」
　あんたのせいで疲れてるんだから起こすな、とルカさんが無言の圧力をかける。
　あれからＭＥＩＫＯ姉はＫＡＩＴＯ兄を心配して、夜な夜な起きだして二人を探しに行っていたそうだ。結局見つけられなくて、二時過ぎに帰ってきてヤケ酒。二日酔いで寝込んでいる。
　まったく、金がないって一番騒いでおいて酒飲むなんて。
カ「じゃあアイス食べよっと！」
ル「ああ……アイスなら今ミクオさんが路上で売ってますけど」
カ「えええええ!?」
ク「完売ー！　ねえ見てよルカさん、すっからかん！」
　クーラーボックスを片手に家に上がりこんでくるクオ君。
ク「あっ、ミクちゃんおはよ」
　私とレンには見向きもしない。
　なんだよこのバカップルは。金欠の時でもいちゃつく気か。
ミ「おはよう。で、どうしたの？」
ク「ルカさんが売り上げの0.5割くれるって言うから」
レ「その0.5割って」
ク「うーん……約五百円。全部の売り上げ一万円」
　一万円って高くないスか？
　それに五百円って……ずいぶんと安い金額で巻き上げられるんだね。
カ「まさか！」
ル「ええ、奥の方にあった超高級チョコレート味のアイスクリームのダース売りましたよ。何隠してるんですか」
カ「高かったのにぃ……」
ル「お姉さまが買ってきてくださったものじゃないですか」
カ「それを売るルカちゃんもひどいよ……」
ル「一個はとってあります」
カ「やったー！　ルカちゃん大好きー！」
　浮気者め！
　あとでＭＥＩＫＯ姉にチクってやろう。
ク「近くで工事してるから、そこで働いてるおっさん方が買いに来てさ～。中には六個買ったジジイもいてwwwそれがリーゼントでさwww」
ミ「お疲れ様」
　お願いだから朝っぱらからいちゃつくのはやめてくれ。
　昨日はクオ君がネギを食べてどうだらこうだら言ってたくせして……。
　頭が痛くなってきたので朝ごはんを食べようとダイニングに行ったら。
レ「……卵？」
リ「……卵だね」
　ザ・生卵。
ミ「あっそれね、私が準備したんだよ！　どう？　美味しい？」
　生卵をどう食べろと。
ミ「『ロッキー』みたいにさ、手で割ってぺろっと……」
リ「ミク姉はそうやって食べたの？」
ミ「ううん、ゆで卵」
　じゃあ最初からみんなの卵をゆでておいてくれよ。
　そっちのほうが光熱費も浮くし。
　とりあえず卵をゆでて、もふもふと頬張る。
　むなしい……。
メ「おはよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ！」
　音もなくリビングに入ってきたＭＥＩＫＯ姉が頭を押さえてしゃがみこむ。
　二日酔いだなコノヤロウ。
メ「こらＫＡＩＴＯ！　どこ行ってたのよっ、探したじゃない、殺されたかとおｍ」
　まくしたてては頭を押さえるを繰り返す。
カ「めーちゃん、寝てたらどう？」
メ「うっさい！　男より女の方が丈夫なんだから、あんたに心配されなくてｍ……つー……」
カ「飲み過ぎだよ」
メ「ぃぃの……ヵくにんしたぃことぁるヵら……」
　小さな声で言うと、そばにあった新聞をルカさんの手からひったくって、宝くじ当選番号のページを開けた。
リ「まさかＭＥＩＫＯ姉、宝くじ買ったとかじゃないよね？」
メ「……なんでゎヵるの……」
　買ったのか！
ミ「ずるーい」
メ「うるさいわね！　星占いによると、今月私運ｇ……ひー……」
　いいから早く確認してください。
　ポケットから出した分厚い紙の束をひとつひとつめくり、これじゃないこれじゃないとポイしていく。
ル「どれだけ買ったんですか……」
メ「ぇっと……にひゃくまぃ……」
　300×200＝50,000
　五万もはたいたの!?
メ「……そぅょ～悪ぃヵしら～……？」
ミ「ひどいお姉ちゃん！　私ネギ買うの我慢してるのにぃ！」
　私だってみかんとロードローラー買うの我慢してるんだぞ。
メ「ぃっヵくせんきんをねらぉぅとぉもってね……あ」
ク「どしたの？」
メ「これぁたってた。ひゃくぇん」


　とまあこんな感じで一時間後。


レ「全部で千円当たってた」
メ「……ぃぇーぃ、せんぇん……」


　どうやらLilyちゃんはすごく幸運だったようです。


　そして、金を取り戻すのにはあと十年くらいかかりそうです。
　マスターがいい曲たくさんかいてオリコン一位とかとってくれれば結構金入ると思うんだけどなあ……。