「さあ、跪きなさい」
愚かな王女の――いや、少女の話をしましょう。
絶対の権力を持っていたがために、あっけなくその首を落とされた彼女の話を。
昔々、とある大きな国がありました。
そこは「黄ノ国」と呼ばれていました。なんでそう呼ばれていたのかは正直よくわかりません。
その国に、一人の王女様がいました。
王女様はとても可愛らしい姿でしたが、その振舞い方は違いました。
国のお金をたくさん使っていろんなものを買い、遊んでばかり。
民には重税を課し、幸せとお金と食料その他諸々を搾り取りました。
文句を言う者は誰一人残らず殺しました。
そのわがままな姿から、彼女は「悪ノ娘」と呼ばれるようになりました。
小さな嫉妬から隣の国を滅ぼしにかかり、そのわがままに拍車はかかっていく一方、民衆の不満も比例していきました。
そしてとある女剣士を中心にして、人々は悪を打ち倒しに立ち上がりました。
革命の始まりです。
たくさんの人が涙と血を流しました。
たくさんの人が命を落としました。
希望も未来もない民衆には不満しかありません。
そんな民衆は剣を手に戦い、ついに王女様を捕らえました。
教会の鐘が鳴る午後三時。
王女様はこれから自分を殺すはずの民衆などには目もくれず、最後にこう言いました。
「あら、おやつの時間だわ」
それは最後まで悪であり続けた王女様のプライドでもあったのでしょうか。
王女様は首を切られました。
今まで民衆を苦しめ続けた人間はもういません。
これで全てが終わりました。
悪の象徴である王女様がいなくなったことで、この国には平和が訪れました。
これが世の中で語られている「悪ノ娘」の大まかな内容です。
人々はこれが真実だと、疑うことを知りません。
本当にこれでよかったのでしょうか。
それで「私」の罪は、本当に終わりでしょうか?
元々、人間と言う者は罪を背負って生きる生き物です。
でも私が抱える罪はあまりにも大きすぎるものでした。
もしも。
もしもこの悪しき罪を清めることができるのなら。
もしも存在すら曖昧な神に縋り、願いを叶えることが出来るなら。
その時は贖罪よりも前に。
歴史にもみ消された愛しい「彼」に、全てを伝えたい。
ねえ神様。
私は誰よりも死ぬべき人間です。
誰よりも無知で哀れで、愚かな人間です。
そんな私でも許してくださるのなら。
私が殺した、たった一人の肉親であるアレンを、返してくださいますか?
<<【七つの大罪】リリアンヌと楽しい日常【二次創作】>>
「皆!今から楽しいゲームをするよー!」
王宮の鏡の間に急いで駆けつけた私が見たのは、天井のシャンデリアにぶら下がってそう宣言したバニカさんだった。
私は扉を開けた勢いのまま、思いっきり助走をつけてバニカさんに向かってジャンピング!
おおーっとおおお!?華麗な跳び蹴りが決まりましたああああああ!!!これは高得点を期待できるか!?
「痛いじゃないの!ってかここ、シャンデリアまで大分高さあるのになんで跳び蹴りできるのよ!?」
「バニカさんこそなんであんなに高いところにぶら下がれるんですか!?」
王宮のシャンデリアにぶら下がる、それだけで歴史に残る大事件のような気もする。
それを軽々と、しかも初っ端からやらかすなんてさすがバニカさん頭がおかゴホンゴホン、発想が素晴らしい。
「それで…なんのゲームをするんですか?」
全員がわざわざ呼び出されたことに不満を唱えないのはいつものことだからだろう。
慣れって恐ろしいね。
「え?マジカルチェンジだけど…」
「需要ねえよ…そもそも今の子達、多分それ知らねえぞ…?」
ちなみに一部の友達は知ってたりするけど、基本的には皆知らないよ。
時代の流れってすごいね。
「じゃあじゃんけんとかでいいんじゃない?」
「なんでセレクトが雑になったんだ…」
バニカさんさすがにそれはないわ。
少なくとも皆でわいわい楽しむ感じのゲームではない気がする。
何かの順番を決めるときにはすごく役立つけれど。
「あら皆、じゃんけんを何か勘違いしていないかしら?」
「はあ?マルガリータお前、勘違いする要素がどこにあるんだ?」
「はっ、グーとチョキとパーという三つの奥義で繰り広げられる、世界の運命を分けるとまで呼ばれた歴史に残る名戦をなめないでいただきたいわね!」
「なんでちょっと壮大にしたの?どこに感動する要素があるの?」
なんだかサテリアジスさんのツッコミ、だんだん質素になってない?
「しょうがないわねー…じゃあグミ、一緒に実践してみましょう」
「いいわよ」
「せーのっ」
どうせ普通のじゃんけんでしょうし。
「最初はグー、じゃんけんぽん!」
普通じゃん!
「あいこでソイッ!」
「あいこでヒャッ!」
「あいこでんそぁっ!?」
「待てその掛け声はおかしい」
サテリアジスさん突っ込むとこそこじゃない。
今「ソイッ」で、マルガリータさんgiftをグミさんの耳に向かって投げてたよね?
今「ヒャッ」で、グミさんリボルバーをマルガリータさんの後ろの棚(なんであったの)に向かって撃ってたよね?
それだけでももうわけがわからないのに、「んそぁっ」で棚が倒れてきてマルガリータさん足の小指ぶつけて痛がってるよね?
小指なんて人体で一番痛いところなのに…
「ふん、今回は私の勝ち…って、あれ、よく見たら薬指!?薬指を押さえてる!?まさか小指ではなく、ぶつかる直前で咄嗟に薬指に当たるように僅かなタイミングを計ったというの!?」
「「はぁ!?」」
えっ待ってグミさん何言ってるの?
「通常は小指をぶつけることが圧倒的に多いのに、それをあえて薬指にぶつけるなんてそんな器用すぎる高度な技、一般人には不可能!まさか…マルガリータ、最初からこれを狙っていたというの…!?」
「そうよ!このじゃんけんにおいて、じゃんけんという競技自体の勝敗なんて関係ない!むしろあいこの期間が長引けば長引くほど、アピールタイムの時間が長くなる!そこで一番高度な技を決めたほうが勝ち、このルールは決して自分が相手に向かってけしかける技とは限らない…見誤ったようね?」
「くっ…さすがマルガリータ…勝てる日は、遠そうね…」
「…どういうこった?」
すごい。どんな状況(※一部を除きます)においても的確なツッコミを入れていたサテリアジスさんが、ツッコミを放棄して投げやりなコメントを残すなんて!
この勝負、侮れない…確かに私は、じゃんけんというすばらしい競技に対しての認識を改めなくてはいけないようね。
「いやー、あのー、リリアンヌ?これそんなにすごいものでもない気がするよ?」
「アレンは黙ってなさい、あとおやつはタルトがいいわ。私は苺ね」
「ア、ウン、ワカリマシター」
あ、アレン終了のお知らせが。
「というかじゃんけんのくだりはもう何度かやったし、もういいでしょ」
「新しいじゃんけんの遊び方でもですか?」
「いや、もう最終的にはそれじゃんけんじゃないからさ…?」
なぜバニカさんがツッコミ兼フォロー役になっているのだろうか。
やっぱりあれかな、サテリアジスさん精神的に疲れてもうツッコミ役を解雇直前になってるのかな。
いやまあ、私は一方的にかまわないんですけどね。
「じゃあ私から提案させていただくけど、クイズなんてどうかしら」
「ほほう、たまにはいいこというんだなカヨ」
「うっ、うるさいわよ…あなたが褒めてくれるなんて嬉しいけど…」
「あっカヨさんがデレた」
珍しい!これは非常に珍しい!だって、いつもなら「あなた…やっぱり、私のこと忘れていなかったのね…!」とかいってガレリアンさんに襲い掛かってくるのに!刃物的な意味でね!
なのに今回はサテリアジスさんに向かって!すごい!これはまるで――
「それでもやっぱり、そこで『出番を暮れ出番をくれ』って誤字りながら部屋の隅でうずくまってるヘタレは目障りだからすりおろしてバニカの屋敷に出荷しましょう!出☆撃!」
惨劇の始まりだ!
すごい、今まで一言も喋っていないガレリアンさんに向かって、数々の刃物を投げて体の周囲を囲い、逃げ場をなくしてから、マルガリータさんがgift、バニカさんがフォークとフライパンを投げつけた!ガレリアンさん「うあああああああああ」って悲鳴上げるとさらに追撃!酷い!
しかもフライパン戻ってきた!ブーメランか何かなのかと思ってたら昔出てきたわね!懐かしい!
とか思ったらさらにそのフライパンを槌で打ち返した!野球拳じゃないんだから違ったベースボールじゃないんだから!
そのフライパンは窓をぶち抜いて彼方の向こうへと飛んでいった。修理費五倍くらいにして請求するぞ。
「場外ホームラーン!」
「いやあさすがバニカ!見事な振り方だったわ、これで逆転優勝よ!」
「ああ…とうとう、夢にまで見た甲子園に…!」
「三人とも、茶番乙」
やっぱりサテリアジスさん、ツッコミ面倒そう。
「さてフレッシュサラダみたいになったヘタレアンは置いといて」
「置いとくとだめな気がします」
「じゃあクイズ。試しに私に出題してみて、えーと…じゃあサテリアジス」
「デデン、フィレナイフとは?」
「んなもんわかるか」
「フレッシュサラダ(産地直送の新鮮なカツオをそのまま使ったgiftで作った贅沢なソースをかけて)は黙ってなさい。
えーっと、やわらかい肉や魚を薄く切るのに適していて、キャンプ、フィッシング、狩猟のスキナーナイフよ」
「正解」
「サテリアジスさんなんで正解って自信持って言えるほど覚えたんですか…」
しかもフレッシュサラダ(シェフが気まぐれ仕様)さん復活したよ?
っていうかフレッシュサラダみたいになったってなんなの?
「じゃあさっそく私から出題ね。軍事行動中において遭難などで他の装備を失った場合、それのみで生存を計る目的で設計された、大型のシースナイフはなんでしょう?」
「そんなもの、説明したがりやのゲフンゲフン物知りのナイフオタクのカヨにしかわからないわよ!」
「サバイバルナイフ」
「正解~」
「言われてみれば確かに、ってだ・か・ら!サテリアジスなんで即答できるのよ!?」
なんでバニカさんがツッコミなのか小一時間ほど路地裏に連れ込んで問いただしたい。
「しょうがないな。じゃあ俺から、ナイフ以外の問題を出してやるよ」
「ぜひ最初からそうしていただきたかったわね」
「じゃあいくぞ。本来の草双紙などにおけるこの妖怪は、特別な能力などは何も持たず、町のあちこちに豆腐や酒を届けに行く小間使いとして登場することが多く、人間に対しては、雨の夜などに人間のあとをつけて歩くこともあるが、特に悪さをすることもなく、たいして人間に相手にされることもない、お人好しで気弱、滑稽なキャラクターとして描かれている。悪さをするどころか、軟弱な妖怪としてほかの妖怪たちにいじめられる例もある。…さて、以上を踏まえた上でこの妖怪の名称を述べよ」
『『!?』』
い、いきなりすごい問題が飛び出したわね!?
本当にサテリアジスさんツッコミ放棄したわね!?
よ、ヨウカイ?うーん…
「ヒント、グミやカヨの国の比較的最近の文献では、雨の夜に現れ、通りかかった人にとある食べ物の賞味を勧めるが、食べると体中にカビが生えてしまう、などと記述されていることが多い(ただし子供向けの書籍による創作である)。」
「えっ?ジャコクのヨーカイ?わかんない」
「正解は豆腐小僧でしたー」
「ワタシタチ、ゼンゼン、ワカンナーイ」
ということは豆腐を勧めてくるのか…いや、美味しそうなんだけど。
というかよくアレンが豆腐を使った料理を作ってくれるし、とくに抵抗もないけど…カビはちょっとどころかだいぶ嫌ね。うん。
しかしなんでそんなに詳しいの?
「でも、なーんか聞いたことあるわね」
「そうかしら?私は全然よ…」
グミさんは聞き覚えがある様子。
カヨさんは、いつものことだし…というかあまりそういうのに詳しくなさそうだししょうがないよね。
ホラー苦手な人だもん、うん。
「この誰も得しなさそうなクイズはやめて、他の遊びを考えないか?」
「あらそこの頭に竹の笠をかぶり、丸盆を持ち、その上に紅葉豆腐(紅葉の型を押した豆腐)を乗せた絹ごし豆腐は口を謹んでほしいわね」
「カヨさんカヨさん、何気にさっきの豆腐小僧とかぶせてくるのやめよう?あと絹ごし豆腐美味しいから私をいじるためにその名を使うのやめよう?私絹ごし豆腐大好きだから」
「あら奇遇ね、私も好きよ、絹ごし豆腐」
カヨさん豆腐小僧知ってるんじゃん!
ツッコミ不在の恐怖。
【後半へ続く】
【七つの大罪】リリアンヌと楽しい日常【二次創作】
お待たせしましたゆるりーです!
長いので前のバージョンにて続きます。
「悪ノ娘」本家様
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2916956
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ご意見・ご感想
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ご意見・ご感想
遅れてごめんなさい!
でもツッコミポイント多すぎて突っ込み切れないよ!(突っ込めないTurndogはただのまんじゅうだ
仕方ないから他のツッコミはまた今度に回して一言でまとめよう!((
全 て を 持 っ て い く で こ ピ ン エ ク ス プ ロ ー ジ ョ ン
正にこの一言に尽きるwwww
もはやほとんどの爆笑ポイントをこの一撃で持っていかれたww
その衝撃は一期最後の看板破壊に匹敵するものがあったwwww
結局リボルバーのグミ=ネメシスだったからねー、同じ面子でまた書けるね!←
ゆるりー先生の大罪第3期にご期待ください!(
2014/10/02 23:21:42
ゆるりー
大丈夫です!
ゆるりーは嬉しくなっちゃうと、つい(突っ込みポイントを多く)やっちゃうんDA☆
なんということでしょうwww
安 定 の で こ ピ ン
最終話は何かを壊すのがデフォですw
メンバーは全く一緒ですねw
打wwちwww切wwwwるwwwwwなwwwwww(もう終わっているという罠)
2014/10/05 10:53:12
Tea Cat
ご意見・ご感想
ゆるりーwwwww
面白wwwリリアンヌの話wwさすがwww
今回もヘタレアンはヘタレアンだったね!←
この扱いが今後も変わらないことを祈っているよ←
大罪二期、お疲れ様!!
憤怒も待ってるよ!!
2014/07/31 23:26:25
ゆるりー
王女様は王女様らしくね。
あらぶるボーちゃん入れるの忘れちゃった☆
変わるとしたらそれは革命だw
憤怒はやってみせるさ
2014/08/06 21:01:42