「着きましたよ、アリス様」
あれから10分くらい歩いて、執事は言いました。
「・・・・・・・」
一方、アリスは声も出せないほど疲れてました。
「・・・し、執事」
やっとの思いで声を出すアリス。
「何でしょう?」
涼しい顔をしてアリスを見る執事。
「・・・・あんだけ歩いても全然疲れない貴方が憎いわ」
「そうですか。・・・でも、本当はそうは思ってはないんですよね」
「・・・・・執事の、ばか」
アリスは顔を赤くして、呟きました。
「それでは行きましょうか」
執事はにこりとしてアリスの手を優しくリードしました。
「・・・そうね」
半ば投げやりに返事するアリス。しかし顔が赤いのでただの照れ隠しにしかなりませんでした。
そんなアリスを半ば襲おうかと執事はにこりとした笑顔の裏でそう思っていたのでした。

閲覧室の中は、書庫に負けないぐらいに広々としていてテーブルや椅子などもたくさん置かれていました。
「・・・さて、さっそく詳しく読んでみましょうか」
その中の1つのテーブルと2つの椅子を陣取り、アリスと執事は先ほど書庫で見つけた本を開いてみました。
そこには、こう書かれていました・・・

『昔々、あるところに1つの巨大な国がありました。
 その国を治めているのは黄色の髪をした見た目そっくりの双子の姉弟でした。
 その姉弟は、とても頭が良く将来はもっと国が繁栄するだろうとその国に住む人々は皆考えていました。
 しかし、その姉弟はある重大な事実があったのです。
 ・・・それは、その姉弟には血がつながっていないということです。
 つまり姉弟ではなく、赤の他人という関係なのです。
 その事実に姉と弟は大きな傷を負い、それからその姉弟は2人一緒にいることが出来なくなり巨大な1つの国を東と西に分けて、別々に治めることにしました。
 東の国を治めるのは弟、西の国を治めるのは姉ということになり、それからは全くお互いの国に一歩の行かなくなりました。
 果たして、この選択をしたのが本当にこれで正しいのかは分かりません。
 でも、これで正しかったのだろうと私、姉は思います。・・・・。』

「ふーん。実は双子だったのね・・・。それにしても、お母さんってばこんな本まで持っているのね。ほんと呆れちゃうわ。・・・・でもおかげで色んなことが分かったからいいけど」
「そうですね・・・。」
「どうしたの?浮かない顔してるけど」
アリスは執事の顔をのぞきこんで聞きました。
「いえ、あの、血がつながってないってことはいいですけど、何か引っかかるものがありまして」
「そうね。あの時、矢が王子に刺さったけど血が一滴も流れなかったことも、何か関係があるのかもしれないわ」
アリスはぱらぱらと本のページをめくります。
「なにか、書かれてないかしら・・・」
「・・・」
執事はそんなアリスを見て、
「・・・・アリス様は昔からこういう調べる事がお好きでしたね」
と、しみじみとした口調で呟きました。
「あ、見つけたわ。・・・このぐらい朝ごはん前よ」
「・・・・・・それを言うんでしたら『朝飯前』、じゃないんですか」
「ぐ・・・いいから見てよ!とにかく!!」
執事の的確なツッコミに半分投げやりになりながら、アリスは開いた本を執事の前に叩きつけるように置きました。
「・・・どれどれ」
ムキになるアリスに執事は苦笑して、開かれた本のページに目を落としました。

『これはまだ、東の国と西の国が1つだった頃の話です。
 ある日、庭園を弟と散歩していると、どこからか矢が飛んできて弟の腕に深くと刺したのです。
 私はとっさに辺りを見回しましたが、誰もいませんでした。
 それが分かると、今度は弟の様子を見ました。
 ・・・すると、そこにはとんでもない光景がありました。
 なんと、弟には矢が刺さっているだけで、全く血が流れていないのです。
 私は驚いて何も言えず、ただ弟が痛そうにしながら腕から矢を抜くのを見ているしかできませんでした。
 なぜ、血が出なかったのでしょう?
 今考えると、やはり弟とは血がつながっていないからでしょうか。
 それは分かりませんが、その当時はただただ不思議でした。
 と、そのとき。
 視界の端にキラッと光るものがあるのに気がついて、何だろうと思い拾い上げてみるとそれはガラスでした。
 なんでこれが落ちているのでしょう?
 疑問がまた1つ増えて頭が痛くなりつつも私はそのガラスの破片を、ポケットに入れておきました。
 今日という日を忘れないように・・・・。』

「・・・これって」
執事はあの時の出来事を思い浮かべました。
「そう・・・あの時起こったことと似ているの。これってもしかしなくても、なにかあるわね・・・」
アリスも思い出していたのか、少し真面目な口調で言いました。
「そうですね・・・」
「どうしようかしら」
アリスは、不敵に笑みを浮かべて呟きました。

               END ?

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

不思議の国のアリスとうさ耳&執事+眼鏡verカイト その9

こんにちは、もごもご犬です!
今回はちょいまじめーな話になっちゃいましたごめん(しょぼん
この先しばらくはシリアス場面も増えてきますが2人の暴走は現在進行中なので、多分そんなに暗くはならないと思います!(分かんないけど

いつもコメをくれる私の嫁(←蹴)たちには感謝です♪
この子らがいるから私は頑張れるんだよ(黙
これからもよろしくです!
ではでは失礼しましたー

閲覧数:112

投稿日:2009/11/03 14:02:21

文字数:2,054文字

カテゴリ:小説

  • コメント4

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  • もごもご犬

    もごもご犬

    ご意見・ご感想

    >ホガワさん

    こんにちはー!
    うおお、なかなか勘が鋭いようですね・・・!(あせあせ
    これからどうなるかお楽しみに~♪

    風邪引かないようにがんばりますよ!
    コメント、どーもです♪

    2009/11/08 13:09:51

  • hogawa_511

    hogawa_511

    ご意見・ご感想

    おはようございます、ホガワです。
    またまた遅くなりましたが、続編報告ありがとうございました。

    なんだか私の中では王子が人間じゃなかったフラグがチラついてます。
    謎の解明楽しみにしてますね。

    これからもお体に気をつけて頑張ってくださいね。
    それでは失礼しました。

    2009/11/08 09:39:03

  • もごもご犬

    もごもご犬

    ご意見・ご感想

    >きょあさん

    こんばんは!
    面白い展開になってきたと言って下さりとても嬉しいです。
    これからもっと色んな謎が解けると思うのでお楽しみに♪
    次回も頑張ります!

    コメント、どーもです♪

    2009/11/03 18:27:55

  • ぐんそう

    ぐんそう

    ご意見・ご感想

    段々謎が解けて、もっと面白い展開になってきましたね!!!
    続きが気になりますo(゜∀゜*)o

    次回も頑張って下さい♪

    2009/11/03 14:12:58

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