「デート?」
グミヤとリントが声をそろえた。
こくんと頷いたレンの顔は赤く、なんだか動きもぎこちない。
「よかったじゃねーか。ぐっと距離近づいたろ」
「俺…、まともでいられる自信がねぇ…」
どうやら緊張しまくりのレンをリラックスさせようとするが、ガチガチに固まったレンは中々リラックスどころか、正座をときすらしない。
「いつだよ」
「明日。…着ていく服とか、行く場所とか…。全然浮かばない」
「女子じゃあるまいし。…でも、確かに明日は急だな」
考えるように宙を見据えたグミヤは、ふとレンにみあって、
「俺達が手伝ってやるよ」
その日、レンはグミヤとリントにつれられて、近くのデートスポットの下見に出かけることになった。
男三人でカフェに入ったり、服屋に入ってみたりするのは少し恥ずかしい気もしたが、明日に迫ったリンとのデートは是非成功させたい。そのための努力なら、いくらでもしてやる覚悟だった。
わかったのは、思いのほかリントの趣味がいいことで、服屋でもレンによく似合う、どちらかと言うと可愛い系の服を選んだ。センスは中々である。
そして、グミヤがデートスポットなどにくわしいこともわかった。どうせもてないからな、と言ってはいたが、本人が気付いていないだけでグミヤは案外もてている。多分、さっとできる気遣いみたいなものがしっかりしているんだろうな、とレンは勝手に分析していた。
「で、何時? デートは」
「五時、公園」
「じゃあ、四時半、リントんちな」
「うちかよ」
それでも面倒くさそうに承諾したリントは、帰り道が逆だから、と二人に手を振っていかえっていった。
次の日、八時半すこしまえ、レンは生真面目にリントの家のインターフォンを押していた。出てきたリントはヘアピンで髪を留め、Tシャツ、ハーフパンツのラフな格好だったが、やはりセンスがいい所為か、子供っぽくは感じなかった。
「よく来たな。グミヤはもうきてる。上がれ」
「おう…」
リントの部屋まで上がっていくと、本当にグミヤはきていて、しっかりとスタンバっている。
「ヘアメイクは任せろ!」
「服は一応俺が選んだけど。…ネイルもやるか?」
「そんないらん」
いつの間にかノリノリになった二人との温度差を感じつつ、レンはさっと突っ込みを入れた。
「んじゃ、昨日買ったこの服にさっさと着替えろ」
ぐいっと押し付けられたその服をレンが渋々着始めると、笑いながらリントとグミヤがヘアスタイルの打ち合わせをしている。
俺のデートなのに、俺より友達のほうが楽しんでる。一体どういうことだ。
「着終わったか? じゃあ、次、ここに座って。髪整えてやる」
生き生きとして、グミヤが言った。
待ち合わせ場所にレンが着いたのは、待ち合わせの予定だった時間の十分ほど前だった。本当はあと十分ほどは早くつきたかったのだが、グミヤとリントが人の髪を玩具代わりに遊び始めたので、思った以上に遅くなってしまった。
と、いっても、リンはいつも待ち合わせぎりぎりに来るから、あまりいそぐこともないのだが。
今日は、レンカの家に三人で集まってから来るらしい。俺と同じように、相談なんかしているのかもしれない。
そんなことを考えていると、リンがやってきた。手を振り振り、レンに駆け寄ってきたリンは、いつものスポーティな服装とは打って変わって、カジュアルで可愛らしい、女の子らしいファッションである。
対して、レンの服装はラフで、ゆったりとしているが、柔らかく小さな見た目から、どこか小動物を思い出させる。ヘアピンとゴムを多用した、細かく器用にも作られた髪形も、あまり男の子らしく、格好いいものではなくて、どちらかと言うと愛らしさがたっていた。
「ごめん、待った?」
「いや、別に。行こうか」
レンは軽く笑って、歩き始めた。その後を追うようにリンが歩いてきた。
「何処いこっか」
「デートスポットはね、押さえてあるよ」
「リン、どこ行きたい?」
「あ、遊園地」
「じゃあ遊園地行こう」
二人は了承しあうと、ゆったりと手をつないで並び、歩いていった。
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レイジ
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ご意見・ご感想
美里
ご意見・ご感想
ついにリンレン編!!
やっぱり男子陣は女子みたいでいいですね。あと、正座を解こうともしないレン君もwww
リント君が選んだ服はすごくその人に合った服だと思います。
両片思い…、素敵だ…!ああもう、最後の一線を越えられないって、凄く素敵なシチュエーションだと思います。
次回も楽しみにしてます!
2011/12/25 17:39:24
リオン
返信遅くなってごめんなさい!
女々しい癖にノリが体育会系の男の子とか可愛くないですか。レン君は真面目なので(笑
リント君は趣味とかよさそうです。グミヤは手先が器用。
想像しただけで男の子たちの背中を押したくなっちゃいますww
次回もがんばりますね^^
2011/12/25 21:31:49