6-3.
真夜中。
私は恐怖にかられて、当てもなく走った。
怖かった。
不満があったとはいえ、それでも信じていたパパとママに裏切られた。そんな思い。
一方的に、私の気持ちを聞きもしないで海斗さんを拒絶するなんて、思ってなかった。しかも、私の目の前であんなこと言うなんて。
ポツリ。
ポツポツ。
まるで私を困らせようとでもするかのように、急に雨が降り始める。傘を持って来る余裕なんてなかった。どんどん雨粒は大きくなり、小雨はあっという間に土砂降りになる。雨に打たれて、制服のブレザーがビショビショになる。
「う、あぁ……」
その肌寒さは、こらえていた気持ちを決壊させるには、十分すぎる威力を持っていた。
「うわああぁぁぁぁ――っ!」
雨の音にまぎれて、私は声を上げて泣いた。
どれくらい歩いただろう。
どれくらい走っただろう。
雨の勢いも衰え、静かにしとしとと降るようになった頃。
何も考えずにただ走っていたら、私はいつの間にか神崚高校の校門の前にいた。当たり前だけど、校門は閉まってる。
隣の大学の方を見ると、夜間出入口だけ空いていたので、私は守衛さんの目を盗んでこっそりと敷地内に入った。
大学の方の敷地は、正直言ってよく知らない。知ってるのは、海斗さんとお弁当を食べたベンチと、図書館くらいだ。
あの時のベンチを見つけて、ペタンと座り込む。ベンチは濡れてたけど、そんなことどうでもよかった。
私、これからどうしたらいいんだろう。
パパとママの二人から離れたい一心で家を飛び出したのだけれど、それから先のことは何も考えていなかった。
ため息が漏れる。
何気なく、未だ雨の止まない夜空を振り仰ぐと、目の前の建物にはまだ明かりがついていた。あそこは確か――そう、確か海斗さんの研究室だ。
――海斗さん。
助けて。助けて下さい。
我慢なんて、できるわけがなかった。
私はふらふらと立ち上がって、煌々と明かりのともるその場所を目指した。
ロミオとシンデレラ 30 ※2次創作
第三十話。
人にとって許せること、許せないこと。
相手によって許せること、許せないこと。
人間というのは、そういった感覚が人によってあまりにも違いすぎる。そう思うときがあります。
だからこそ、人は人を求めるのだろうし、物語で感動を覚えることが出来るのだと思います。
・・・・・・けれどそのどちらも、この上なく難しいものだな、とつくづく思い知らされるのです。
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MVライフ
If I realize this one secret feeling for you
I dont think i would be able to hide anymore
Falling in love with, just you
Tripping all around and not ...今好きになる。英語
木のひこ
ねえ 僕らは何千年 何を目指して歩いてきたんだっけ
歩んだ数千年 に一体何を期待してたんだって
煌めく満月と 僕らの存在なら対照的で
みち照らす月光は 不安定な将来への道しるべ
ねえ 君らは約何年 何を探して歩いてきたんだっけ
うずいた唇を 息の根止まるくらいに貪って
溶け込んだ よだれと悪魔の囁き...僕の数千年
mint
8月15日の午後12時半くらいのこと
天気が良い
病気になりそうなほど眩しい日差しの中
することも無いから君と駄弁っていた
「でもまぁ夏は嫌いかな」猫を撫でながら
君はふてぶてしくつぶやいた
あぁ、逃げ出した猫の後を追いかけて
飛び込んでしまったのは赤に変わった信号機
バッと通ったトラックが君を轢き...カゲロウデイズ 歌詞
じん
意味と夢と命を集めて
作られてしまって身体は
終わった命を蒸し返す機械らしい
【これは彼の昔のお話】
人一人は涙を流して
「また会いたい」と呟いた
ハリボテの街の終末実験は
昨日時点で予想通りグダグダ過ぎて
その時点でもう諦めた方が良いでしょう?
次の二人は 街の隙間で...コノハの世界事情 歌詞
じん
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