「この紅茶、いいなぁ。買おう」
テトさんは、小さなワゴンから、紅茶の葉っぱを包んだ袋を取り上げた。

カイくんの会社のお店「ナチュラル・ハウス・アディエマス」の、近所にある広場。
今日はここで、“産直マルシェ”の市場が開かれている。

とれたての野菜や、直輸入の食品を、作り手や業者が販売する、産直マルシェ。
「ナチュラル・ハウス」も、ナチュラルな食品を売っているので、
お客様や、市民たちが集まるマルシェを応援している。

市場の横には、移動カフェの「ドナドナ号」が、屋台を出していた。
買い物に来た人が、コーヒーと軽食でちょっと一息。
なかなか、賑わっている。

●テトさんからのプレゼント

きょうはたこるかちゃんが一人で、「ドナドナ号」を切り回していた。

「こんちには!」
テトさんが近寄ってきた。
「こんにちは、テトさん!あ、かわいい紅茶の袋ですね」
たこるかちゃんは、彼女の袋を見て言った。

「これ?いいでしょ。今度の日曜日、ルカさんの誕生日なの。プレゼントにするの」
テトさんは笑った。

「へえ、ルカさんの誕生日ですか。こんどの日曜?」
いつも、やさしい同僚のルカさん。
たこるかちゃんは、自分も贈り物をしようと思った。

「ねぇ、テトさん。ルカさんの、好きな食べ物って何ですか?」
「ルカさんの?うーん、そうねぇ」
テトさんは考えた。

「彼女、料理が得意なのよ。この前は、まぐろのカルパッチョを作ったみたい」
「まぐろ...? そう、ありがとう!」


●誕生日にまぐろが届きます

その日の夜...。

「これにしよう!」
ネットとにらめっこで、ルカさんに贈るギフトを選んだ、たこるかちゃん。
ようやく決まって、“注文する”のボタンを押した。

ボタンを押してから、間違いに気がついた。
「しまった!間違えちゃった!」
青くなって、取り消す方法を探しはじめる。

おとどけ宅配ギフトで、まぐろの冷凍の切り身を贈ろうとしたけれど...。
ボタンを押した商品は、こうなっていた。

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ライセンス

  • 非営利目的に限ります

玩具屋カイくんの販売日誌 (44) 産直マルシェと、プレゼント

マグロは体も大きいけれど、値段も...Σ(゜д゜;)

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投稿日:2010/02/06 22:54:18

文字数:891文字

カテゴリ:小説

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