風の音で目を覚ましたら
大きな船の上にいたの
うねるような揺れの中で
まだどこに居るか分からず

クジラになった気分かな
水に任せて上下にふわり
ユリカゴにしては激しくて
時折届く水しぶき冷たい

次の波が来るよって誰かが言う
遠くに見えるのは雨雲だろうか
陸の上でみる夕日も星空も
答え合わせできないくらい違う

そうして私は考えるのをやめた
ゼンマイを巻くのに飽きたから


星の声で目を開けてみた
小さな海の上にいたの
すねるように息を止めて
ほらここにいるの内緒ね

クラゲになった気分かな
潮に任せて左右にくるり
カンオケにしては優しくて
時折響く羽ばたきが恋しい

次の朝が来るよって誰かに言う
近くで見えるのは人魚だろうか
本の中でみる水面も波音も
比べあいが出来ないくらい変わる

こうして私は人の気持ちをやめた
ゼンマイの巻き方忘れたから


どんなに小さく閉じ込めていても
最後のヒトシズクは海に流れてく
どんなに大きく広がっていても
最後のヒトリゴトは海に任せてく

「ポインセチアが似合いそうだね」って呟く
「待っているから水底においで」って言われる
何も考えないままこぼした涙にコトヅテ
どうせ君が元いた場所なんだからさ

どんなに大きくても星よりは小さい
どんなに小さくでも君よりは大きい
何かと何かを一生懸命比べていたら
ひとつだけのテンビンが壊れちゃった


ソラの息で眉ひそめていた
真っ白霧の中にいたの
心地よくて天国みたい
ねぇ私の頭に輪っかある?

サンゴになった気分かな
砂に紛れて誰かとプカリ
タマシイにしては滑らかで
時折願う道しるべ儚げ

次の番が来るよって誰かの声
潮騒の向こうでは息災だろうか
水の中でみる本当も贋作も
すぐ見分け付かないくらい似てる


今も私は船の上で眠ってる
鳴らなくなった霧笛を待ってる
呆れたカノープスの小言を聞いて
ようやく桟橋に足を掛けた

忘れ物に気付いて振り返ると
船は消えて自分の部屋にいた
何を忘れたのかさえ忘れて
霧笛みたいなあくびをひとつ

聞こえた?人魚が飛び込む音

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

ネムルコウロ

暑いので水辺の唄を。

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投稿日:2023/07/01 14:06:35

文字数:881文字

カテゴリ:歌詞

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