放課後の黒板 チョークの音
誰かが書いた「ありがとう」の文字
くすぐったいような ちょっと寂しいような
にぎやかな声が響いてる
「またね」なんて簡単に
言えるわけないのに
笑って手を振るだけ
黒板いっぱい 広がる名前
「楽しかったね」って並んでいく
みんなの笑顔が あまりにまぶしく
わたしは そっと 目を伏せた
窓際の隅っこ 小さく座る
ひとりが好きと 言い訳をしてた
気づけばいつだって 輪の外側にいて
名前を呼ばれることもなく
「またね」なんて私には
似合わない言葉だ
小さく息のみこむ
黒板いっぱい 広がる名前
どうせ私のはないんでしょう
消えそうなチョークの 真白の軌跡も
今日さえ 指で なぞるだけ
「お前も書けよ」
振り向いたら
手渡された 一本のチョーク
黒板のすみに 見つけた名前
小さな字だけれど たしかにあった
ぼやけてく視界に 滲んだ「またね」
最後にそっと 「ありがとう」
書き足した
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