「先生、今日はお休み…」
ユキがキヨテルにそっと話しかけた。
「ああ、はい。今日はゆっくり出来ます」
微笑んで答えてやると、ユキは安心したように微笑を返し、テーブルの上に並べられたその日の朝食に手を伸ばした。トーストに、小さくてきれいに焼かれた目玉焼きとベーコン、そして牛乳という、特に代わり映えしない朝食である。
「食べ終わったら、着替えてきてくださいね」
「はぁい」
素直に返事をして、ユキはトーストを口に押し込んだ。
「あまり詰め込むと、のどに詰まりますよ」
「らいろーう!(大丈夫!)」
元気よく答え、ユキは牛乳でトーストを流し込んだのだった…。
「週末ですね」
「そーですね」
「どっか行きませんか」
「どこもいきません」
「どーしてですか」
「めんどくさいからに決まってんだろ」
終始雑誌から目を離すこともなく、レンはすらすらと答えを並べていく。
レンの部屋にずかずかと入ってきたリンは、レンの肩に重たくのしかかり、先ほどから外に出ようとレンを誘っているのだが、レンの「めんどくさい」という言葉に玉砕されていた。
「ねえ、外行こうよ」
「一人で行けよ、俺、これ読んでるんだから」
「いいじゃん、後で読みなよ」
「後で行けよ」
「エロ本じゃないんだから」
「そうだったらなんだったんだよ」
「えー…。どうしてほしい?」
「さっさと部屋に戻って静かにしてほしい」
「もう! レンのバカ!」
何度もレンの背中をたたく。
「あー…。もうちょっと上」
「肩たたきじゃないもん!!」
先ほどよりも強くたたいてやると、レンは少しだけ痛そうに体をねじって、振り返ると、
「痛い」
と、クレームをつけた。しかし、リンからしてみれば、さっさと誘いに乗って外に遊びに出てくれないレンのほうが悪いのである。どれだけクレームをつけられても、リンは殴ることをやめない。勿論、手加減はしているのだが、小さなダメージでも蓄積すると結構な大怪我になりかねない。
レンが家を出たがらないことには、面倒くさい、と言う理由も確かにあるが、それと同じくらい、ミキの言葉が気ににかかっていて、そのことをしっかり整理しておきたかったのだ。
別に、ミキの言葉を疑っているわけではない。ただ、ミキが行っていた相手であろうキヨテルの相談のこともある。妙に事がうまく行き過ぎているような気がするのだ。
もしも、ミキの言葉のすべてが嘘であったなら、キヨテルはリンとレンに頼んでまでミキの居場所を知ろうとする必要はないだろう。逆に、キヨテルの言ったことがすべて本当なら、ミキの言葉の真意は? ミキはキヨテルのことを忘れているということだろうか? それとも、すべてが嘘? 何のために、そんな嘘をつく必要があるのだろう。
兎に角、どちらかが嘘をついているのは間違いないのだ。
どちらの動向にも、目を光らせておいたほうがいい。
レンは、深くため息をついたのだった。
鏡の悪魔Ⅴ 15
こんばんは、リオンです。
日付が変わってしまう…!
ただいまです!!
しっかり祖父の顔も見てきました!
ついでにボカロのCDも買ってきました!!
祖父母の家に行くときの動機の半分くらいはCDって言うね…。
ごめんよ、おじいちゃん、おばあちゃん…。
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kemu
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Thank you for supporting me...Introduction
ファントムP
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