僕が泣く泣くレン君の分のハーゲンダッツを買おうとスーパーに行くと、ルカちゃんががっくんといるのが見えた。
あわててお菓子売り場に隠れる。
隠れる必要ないけど、二人の邪魔しちゃ悪いな……。
「あっ、うろたんだーのお兄ちゃんだ!」
お菓子売り場にいた子供が僕を指差し、友達らしき女の子に言う。
「ほら、卑怯戦隊うろたんだーのブルーだよ!」
「あっ、ほんとだ! 裸マフラーのお兄ちゃんだ!」
僕もそんなに有名になったのか。いやぁ、困ったなあ。
「じゃあね、裸マフラーのお兄ちゃん!」
「ばいばーい!」
子供たちがお母さんに引きつられ帰ったところで、もう一度先ほどの場所を見る。まだルカちゃんもがっくんもその場所から動いていなかった。二人の話声が聞こえてくる。
「これが美味そうでござるが……」
「いや、私には分かる。これはまずいわ。こっちの方がいいんじゃないかしら? あ、でもこっちもいいわね……」
「ルカ殿、こっちもいいと思うのだが」
「えー、そっちはダメよ。くたってなってるじゃない」
「やっぱりマグロよりお二人の好きな物の方がいいのではないでござるか?」
「そうかしらねえ……あら、バカイトさん」
あーあ、見つかっちゃったか。
「ルカちゃん、バカイトって止めてよ。僕がバカみたいじゃないか」
「バカだから言ってるんです。それでバカイトさん、何か御用ですか」
「えっと……ルカちゃんとがっくんが見えたから」
「お主! なぜ盗み聞きするなどという卑劣な行為を!」
刀を抜きそうになるがっくんをあわてて止める。ふう、危ない危ない。
「二人がすんごい幸せそうに見えたから、邪魔しちゃ悪いかなって」
「お、そうか? それは事実でござr(ry」
「ただ私たち重音さんたちに何か買おうと思っただけなんですが」
テトちゃん? テッド君?
「やっぱりフランスパンのほうが良かったんじゃないでござるか」
「それテトさんだけでしょ。あ、でもテッドさんも食べるかなあ……うーん」
「テト殿が喜ぶのならテッド殿も喜ぶであろう。なあ、バカイト殿」
バカイトって言われたけど殿って言われた。
悲しむべきか喜ぶべきか……。
「あ……ねえがくぽ」
「なんでござるか」
「財布忘れちゃったんだけど」
「拙者も持ってきてないでござるよ?」
「どうする?」
「……拙者に名案があるでござる」
がっくんが僕のポケットに手を突っ込む。
「うわあああ! やめろおおお!」
「ほんの五千円程度よ」
「うわあああ! せめてハーゲンダッツを買う金は残しておいてええ!」
「大丈夫です、五千円だけですから」
残された財布に残ったのは、ハーゲンダッツ一個を買うだけの小銭だった。
「レン君、ごめんよぉ~」
「「キモいうるさい離れろ変態」」
リンちゃんにまで言われた……ショック。
「大体KAITO兄俺に謝るようなことしてないだろ」
「したんだよぉ、レン君の知らないところでぇ~」
アイスを差し出す。
するとリンちゃんに奪われた。レン君にあげたのに……。
「おっ、ハーゲンダッツじゃん! レン食べる? バナナだってさ」
「うん」
「私にも四分の一ちょうだいね」
「ごめんよぉレン君!」
レン君の足に抱き着くとリンちゃんが僕の頬をつねってきた。
「何やってるのかなあ変態お兄さん」
「あのっえっとっ順を追って話しますからとりあえず聞いてぇ~」
「聞くから足から離れてくれないかなあバカイト兄」
「今日ネルちゃんが来てね」
「ネルが!」
リンちゃんが以上に反応する。
「くそう、レンを寝取りにきやがったか。ちょっとレン、ネルなんかと寝ないでよ」
「このアイスをレン君にって言われたんだけど、」
「どうせKAITO兄が食べたんだろ」
なぜ分かるレン君!
「それをめーちゃんに怒られて……」
「そりゃ怒るよ。リン、何もネルと寝ないから」
「買いに行ったらルカちゃんとがっくんが重音さんたちにプレゼント選んでて」
「関係なくない? レン、それほんとでしょうね?」
「二人とも財布忘れたって……五千円盗られて……」
「乙でしたーwww あのなぁ、俺が嘘つくと思うか?」
「それでアイス買って帰ってきたんだけど」
「思ってるから聞いてるんだけど」
「僕の財布がすっからかんに……」
「へえ、すごいすごい。あ、リンこのくらいでいい?」
「うわっバナナのにおいだ! すごい!」
聞いてくれない……。
「……美味しいの?」
あたりを漂うアイスのにおいに我慢できなくなって聞いた。
「美味いよ。な、リン」
「おいひいよぉ~」
……食べたい。
スーパーカップも美味しいけどハーゲンダッツも美味しい。
あーハーゲンダッツが食べたい食べたい食べたい!
「ねえバカイトいる?」
バカイトって言われたの今日で何回目だろう。
「いるよ」
「あ、これ買ってきたんだけど……いるよね?」
アイスのにおい!
めーちゃんが持っているビニール袋からそれを出す。おお、愛しのハーゲンダッツ!
「ありがとうめーちゃん! アイス並みに好きだよぉー!」
抱き着こうとしたらかわされた。
「アイスと比べられたくないから。それよりあんたたち弁当箱出しといてよ」
「「はーい」」
「んでKAITO」
「何?」
「一週間分アイスなしね。ハーゲンダッツ買ってあげたんだから」
…………。
一週間分のアイスを取るか、めーちゃんが買ってきてくれたハーゲンダッツを取るか。
めーちゃんの厚意を踏みにじりたくはない!
「分かった、僕一週間アイスは我慢する」
「いい子いい子、よくできました。はいご褒美」
めーちゃんが買ってきてくれたハーゲンダッツは、すごく美味しかった。
一週間分のスーパーカップに匹敵する味だった。
めーちゃん、ハーゲンダッツのバニラ味より大好き!
*後日談 MEIKOさん*
「バニラアイスと比べられてもねえ……私そんなにアイス好きじゃないからバカイトの世界観ってものが分かんないわ」
「バカイト兄、聞いてたー?」
「うわあああ! めーちゃんのバカあああああ!」
「? あんたの方がバカでしょ? バカイト」
KAITO君のお財布がすっからかんになっちゃったけどいいよね?
姐さんを一途に思う兄さんがすっごく好き。
昨日、友達と卒業した小学校の家庭科の先生と窓越しに話してたら(校門がなかったので)先生が他の先生の誕生日だからケーキ取りに行くって学校を出て行きました。そのまま校庭のど真ん中で友達と話してたら先生が帰ってきて、
「クッキーあげるよぉ」
!!!!
その場で食べたけど美味しかったです。わざわざ買ってきてくれたのかな?
先生があんなに好きだと思ったの初めて。ありがとう、先生!
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ご意見・ご感想
シベリア
ご意見・ご感想
確かにwwがっくん犯罪だよねwww
ちょ、ルカ姉止めなきゃだめだろww
情報はいってこなかったのね・・・
うちも携帯ももってないよ!!友達はみんな持ってるのにww
でもたいしてほしいとも思わないww
myPCのほうがほしいなww
鏡音三大悲劇聴いてたんだね・・・最近悪ノ聴いてないな・・・聴かなきゃww
フィギュア手に入れられたのはいいけど、お金がご愁傷様になったwwww((
小説フォルダ作らせてもらったよ~^^
2回目の長文ごめん!
2011/05/03 15:48:43
シベリア
ご意見・ご感想
面白い!!ww兄さんww可愛そうにww
5000円もとられたのか・・・それはキツイねw
兄さんがリンとレンと話してるときも聞いてもらえてなかったしww
ってかがっくんだめだろwwお金取っちゃw
リンもレンが取られたくないんだよね、わかる。
今日幕張○ッセで、わく○くフリーマーケットっていうのがやってたんだけど、それに行ってきた
よ!レンのフィギュア探しまくって、ようやく見つけたと思ったら2500円だった・・・(泣)
高すぎるけどなんとか交渉して2300円に。もっと安くしろ!!・・・ってなったけど買えたwww
うちもお財布が空になったよwwwww
チミー専用の小説フォルダ作っていいかな?ブクマもらうね^^
2011/05/03 14:48:05
絢那@受験ですのであんまいない
兄さんは必然的にこうなってしまう…なぜだろうwww
がくぽ…いくらルカが見てるからって犯罪だぞwww
リ「レンは私のもんよ!」
レ「ものって…VOCALOIDなんですけど。あ、ものか。んじゃリンも俺のもの?俺の嫁?」
リ「レンは俺の嫁?レンのメイドも猫耳も巫女服も女装も全部嫁だっ」
レ「俺はリンがふんどししてても嫁にするぞ!メタボでも嫁にするぞ!」
リ「何気にひどい」
…ああもうなんで私メッセの近くにいてこういう情報入ってこないのよぉぉ!(←それはたぶん携帯も何も持ってなくて友達との連絡手段が電話だけだから
朝から鏡音三大悲劇聞いて泣いてた私バカに見えてきた…でも損はしてない。
ちょ、フィギュアその値段だと無理だわ…安くしてもらえてよかったね!だけどそれでも高い!
私専用の小説フォルダ…そんなんに貴重なフォルダを使っていいのか!
いやごめんなさいぜひ作ってくださいO>Z こっちからお願いします。
長文ごめんなさいっ
2011/05/03 15:18:18