わたしは可愛いお人形を持っているの。レンという名前よ。
私の言うことにはハイ、ハイと頷くとっても従順なおもちゃ。
檻の向こうでわたしに跪づく、とても綺麗なおもちゃ。
そして、何と言ってもレンは生きているのよ。自我だってあるし壊れ難さは段違い。
どうして手に入れたのだったかしら。覚えていないわ。
気付いた時には既にそこに囚えていたの。
だからずうっとレンはわたしのもの。私が主人でレンはわたしの下僕。言ってしまえば奴隷だわ。
それはそうでしょ?持ち主よりお人形の方が偉いなんてそんなのおかしいものね。
だからわたしは命令するの。願うこと全てを。そしてレンはそれに従うしかないのよ。
ねえレン、どうして時々檻の前から消えるの?わたしの命令無しに行動するなんて許せない。わたしのお人形なのだという自覚がないのかしら。
まあ許してあげてもいいわ。でもわたしを待たせないで。願いはすぐに全て叶えてちょうだい。
あれもこれもそれも、全てをわたしに用意して。わたしの我が儘全てを満たしてみせてよ。
そしたら気にしないでいてあげる。
ねえレン。欲しいでしょ?わたしの関心が。歓心が。
大事でしょ?わたしの全てが。
ねえ、綺麗な綺麗な金髪碧眼のお人形さん。
彩りはわたしと同じよ。でも立場はちゃんと弁えてちょうだい。レンには自由なんてないの。
わたしは我が儘を聞いてくれる人が欲しいだけ。
目の前にいるのはレンじゃなくてもいいんだから。
余裕を見せる暇なんてないでしょう。わたしはいつでもここから去っていけるんだから。
手を抜くなら飽きてしまうわよ。
ああ、いっそ逃げ出してしまおうかしら。
・・・あら、どういうこと?
どうしてこの鉄格子には鍵穴がないの?
どうしてレンはそんな顔で笑っているの?
初めて見るわ、そんな顔。そんな笑顔も出来たのね。
まあいいわ。今は逃げないでいてあげる。レンの笑顔は嫌いじゃないの。
さあ、尽くしなさい。
でなきゃ愛してなんかあげないわ。
~~~~
僕は可愛いお人形を持っているんだ。リンという名前のね。
いつも僕に命令を下す、傲慢な態度がとても似合うおもちゃ。
にっこりと檻の向こうで微笑む、とても綺麗なおもちゃ。
そして、何と言ってもリンは生きているんだ。自我だってあるし壊れ難さは段違い。
どうして手に入れたのだか、もちろん覚えているよ。
君が気付く前にそこに囚えておいたんだ。
だからずうっとリンは僕だけのもの。リンは僕のおひめさま。お城に囚えて外の世界を忘れさせたんだ。
決して放してあげないよ。君はずうっとそこにいるんだ。いつまでも、いつまでも。
だから僕に命令してね。願うこと全てを。僕はいくらでも言葉に従ってあげる。
ねえリン、檻の前から動くことは許さないよ。何をしてでも留めるさ。君は自分が僕のお人形だとは気付いてないんだろうからね。
わざわざ気付かせるつもりはないよ。なんでもしてあげよう。すぐに叶えてあげよう。
ほら居心地がいいでしょう。逃げようなんて考えられないでしょう。それでいいんだよ。
我が儘なんていくらでも目をつぶってあげる。
ねえリン。欲しいな、君の関心が。歓心が。
大事だよ、君の全てが。
ねえ、綺麗な綺麗な金髪碧眼のお人形さん。
彩りは僕と同じだね。立場の違いなら弁えたふりをしよう。僕は自由なんていらないんだから。
僕は君を余すところなく手に入れたいだけ。
目の前にいるのがリンじゃなきゃ、僕はきっと狂ってしまうんだ。
僕の心は君で一杯。余裕なんてちっともないんだよ。だから君もちゃんと応えて。
君が飽きないように全身全霊を尽くそう。
ああ、逃げ出そうとしているの?
無駄だよ。鍵は僕が持っているんだから。
僕の心は君に囚われている。だったら僕だって同じことをしていいよね。
大丈夫、絶対に開けたりしないよ、僕のおひめさま。外に出ることが出来たって、生きていく方法だってもう忘れてしまったはず。
可愛い可愛い可哀相な僕のおひめさま。
ずっとずっと僕だけのものでいてね。
ずっとずっと愛しているよ。
ああ、ぜったいにこわしてしまわないようにきをつけなきゃ。
せっかくてにいれたおにんぎょうなんだから。
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ブクマつながり
もっと見る「リン、レン、自分の部屋が欲しくないか?」
始まりは父さんの一言だった。
「え―?なんで?」
私は口を尖らせた。だって別に不便があるわけじゃないし、今までもずっと同じ部屋だったし。なんでわざわざ分けなくちゃいけないのかな。
お父さんは暢気な顔で指を立てて見せた。
・・・あんまり可愛くない。いつも以上...私的アドレサンス(前)
翔破
正直、この時期が誕生日で良いことっていうのはまずない。
「Merry X'mas And HAPPY BIRTHDAY、おーたーのしみTime♪って言ったってねー、Andで括れちゃうのが悲劇な訳ですよ」
「同感同感。鏡音三大悲劇イコール『先輩(有名)』『誕生日(合同)』『滑舌(悪い)』」
「おおレン...メリークリスマス!
翔破
「…なんかなー」
「ん?何、どうかした?」
隣に座る女の子…リンの金髪が肩に当たるのを感じながら、首を傾げた。
リンはご機嫌斜め、というか、どこか納得出来ないような顔をして俺の事を見上げて来る。
「いや、なんかレン見てると、『男女の間に友情は育たない』とかなんとか言うような迷信を信じそうになると...楽園に別れを
翔破
ねえ、私だってわかってる。もう引き返せないんだって。
はじめはささやかなものから始まったはずだった。
「愛してる」
彼の言葉に薄く微笑みながら、私はぼんやりと全ての始まりについて考えていた。
始まりなんて昔過ぎて覚えてない。
―――違う。どこが始まりだなんて線引きができないだけかな。
どこかまでは、...私的赤い花
翔破
何故、戻って来たの。
<造花の薔薇.1>
はあ、と溜め息をつく。
正直なところ書庫の本は読み尽くした。手持ち無沙汰というか…まあ何回読んでも面白い、いわゆる名作というものも確かにあるけれど。でもいかに素晴らしい本であっても、何百回も読めば流石に飽きが来てしまう。
―――外に行けたらいいのに。...造花の薔薇.1
翔破
割とダークです。ご注意ください。
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闇のダンスサイト、二人で踊りましょう。
私は、限界だった。
世の中には耐えられないものがある。例えばいじめとか。劣等感とか。空気の悪さとか。その他諸々、人によって違うのでし...Side:リン(私的闇のダンスサイト)
翔破
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