「近づかないで!」
どうして・・
「それ以上近づいたらっ」
なんでこんな状況に。

数十分前・・・

僕は下校途中だったはずだ。
普段の時間。
気だるい帰り道。
変わらぬ景色。
全部いつも通り・・・いや・・

全部、ではなかった

普段の時間。
気だるい帰り道。
変わらぬ景色。
ある時点まで、ある一点以外は。

今僕が歩いている道は〈いつも〉の帰り道。
特に意識することなんて有るはずが無い。
〈いつも〉通り、視界はぼんやりと全体へ広がっていた。
だからなのか?
気付いてしまった。
捉えてしまった。
向けてしまった。
日常の中の違和感へ。

まず目に留まったのは緑色の髪。
それは一人の女性。
着ていた制服からすると僕と同じ学校なのか。
そしてあの特徴的な髪の毛はまさかクラスの?

横断歩道を渡り、高台へ向かっていく。
幾段と交互に続く登り坂を進んでいく。
遠目で顔は見えない。
心なしか俯いているのだろうか?
疑問に思ってしまった。
推測してしまった。

僕は普通だ。
普通に生活して、普通に勉強して、世間一般に言われているのと同程度の『普通』を備えているはずだ。
〈学校での〉友人は、僕のことを『勉強が出来る』人間だと言う。
客観的に見て、大人し目で、インドア系みたいだし、クラスの中では成績が良いからそう思われるのだろう。
でもそんなのは外見から読み取った勝手な感想だし、成績だって抜きん出て良い訳ではない。
学生ながら、いや学生だからこそ、人間関係なんてそんなものだと知っていたし、それはそれで〈普通〉を暮らせるツールと考えていた。
それに何より、そのことを正す労力も無駄だと思っていた。
今でもその考えは変わっていないのだが。

いや、何が言いたいのかというと、彼女は浮いていた。
クラスに居たけど溶け込んでなかった。彼女はいつも一人だった。
クラスという集団で一人。
〈孤独〉というのはそれだけで違和感を生み出す。
またその〈孤独〉を取り巻く集団が、そのことを無視しようとすることで更に違和感は充満していく。

それが何より彼女にストレスをかけている、という事実さえ無視しながら。

僕は〈友人〉と話をしながら、特に危機感と言える大袈裟な感情をまるで持つことも無く、ただそう考えていた。
気付いてはいた。だけど考えていただけだった。

別にそれを後悔している訳ではないさ。

後悔しているのは、彼女を遠目で見つけてしまったその後の行動のことだ。
僕は迷った。
迷う?何に迷ったか。
先の通り、僕は気付いていた。彼女のクラスでの立場を。
考えるだけで怖ろしい。自分にそんな状況が降りかかったら。
1年365日、いや1年なのか2年なのか3年なのかいつまで続くのか。
そもそも終わるのか。

その彼女が高台を目指しているのだ。
何か〈間違い〉が起こるかも。いやいやそんなこと・・。
本当に?
後を?つける?
そんな余計な寄り道。・・・でも。

僕は大人し目と思われがちだ。
だけどこの時は持ち前の行動力が恨めしい。
・・・結局、後をつけたんだ。

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《ハツネ/ミク×カガミネ/レン》 学生@鏡音レンの場合【始まり】 

シリアスです。ギャグはありません。
いつもは弄られ役のレン君も今回はマジメです。

むしろレン・・君・・?って感じだと思いますが、レン君だと思い込んで頑張って脳内イメージしてください。
読者の皆様が頼りです。

レン君ってネタにし易いんだよね・・。

閲覧数:200

投稿日:2009/07/26 06:25:24

文字数:1,278文字

カテゴリ:小説

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