「は~・・・。」
「おいグミヤ、どうしたんだよ?
ため息なんてついちゃってさ。」
レンはどこか面白げに尋ねた。
それを察しながらもイヤイヤ答える。
「俺は今、失恋中なんだよ。」
「なにそれ、誰にだよ?」
「んっ。」
指をさした先には、陸上部員にタオルを配っているグミ。
ほほ~う、とニヤつくレン。
「なに、お前告ったの?」
首を横に振る。
「じゃあ、なんで?」
「・・・・・・神威先輩、いるだろ?」
「先輩がどうしたんだよ?」
「グミ、神威先輩のこと・・・好きなんだと思う。」
「はっ?!」
そんな訳ねーだろ、と言おうとしたが、グミヤのあまりにも切なげな表情に言葉を詰らせた。
「2人でよく話してるし・・・は~・・・」
グミヤの深いため息は尽きることがなさそうだ。
この重苦しい空気をどうにかしようとレンが慌ててフォローする。
「まっ、まだ失恋した訳じゃ・・・」
「いやっ、もう終わりだ!!」
それも虚しく、グミヤは頭をかかえてその場にしゃがみこむ。
するとその前に1人の影。
「大丈夫?」
誰だよ、と上を向くとそこには・・・
「グミッ!!?」
「気分でも悪いの?」
「いや、別っ・・・。」
どぎまぎするグミヤにハイッ、と渡されるタオル。
ありがと、と受け取る。
「マネージャーとして部員の体調管理は役目だもん。」
パチッ、とウインクするグミにズキュンとやられるグミヤ。
その間にレンにも渡されるタオル。
「頼りになるねぇ~、マネージャー。」
グミヤでもレンでもない大人っぽい声。
「あっ、がっくん!!」
グミヤが今、最も会いたくない人物ナンバーワンの神威がくぽだった。
「頑張ってるな~、グミ。」
「がっくんこそ、今度大会なんでしょ?」
「まぁね。」
「あっ、ねぇ!グミヤも出場するんでしょ?」
「え゛っ、あ゛っ、あぁ。」
突然の質問に裏返った声で返した。
「頑張ってね!応援してるから。」
「ありがと・・・。」
心の中では、グミに応援され舞い上がってる。
でも目の前でグミが好きだと思われる、神威との2ショットを見せられその価値も下がる。
ますますため息がこぼれる。
それを察したレンが思いっきりグミヤの腕を引っ張った。
「グミヤ、走ろうぜ!」
「えっ?!おう?」
じゃあな、と言って2人はトラックの方へ走っていった。
「レン、サンキュー。」
「へいへい。」
この想いを伝えたい、でも反面グミの恋を応援したいし幸せになってもらいたい、という気持ちもあった。
けど今のグミヤには、それを上手く処理できるような強い心は無かった。
だから悩むしか手段がない。
グミヤは心の中のモヤモヤを吹き飛ばすかのように走る。
それに何も言わずついて行くレン。
「あぁーーーもう!!」
突然叫んで、疾走。
これでもグミヤは短距離のエース。
十分、全国で優勝できるぐらいの力をもっている。
「はぁ、はぁ。」
「おいグミヤ、速すぎだって。」
「あっ、悪い。」
流れる汗を拭って見た先には、楽しげに笑うグミと神威の姿。
一瞬、歪むグミヤの表情。
そんなグミヤに迫る1つの丸い影。
「グミヤ、危ないっ!」
「えっ?!」
レンの声で振り向いた時には遅く、吸い込まれるようにサッカーボールがグミヤの顔面にヒットした。
凄まじい轟音と共に、グミヤは倒れた。
「グミヤ、大丈夫か??!」
レンや他の部員の声なんて、今のグミヤには届くことはなかった。
「んんっ・・・。」
「あっ、グミヤ。」
「イタッ・・・、グミ?」
グミヤはベッドの上で鼻のあたりをさすりながら、起き上がった。
心配そうなグミの表情。
「大丈夫?痛いでしょ?赤くなってる。」
「大丈夫だって・・・。」
大げさ、と笑う。
でも内心、早くグミにここから立ち去ってほしかった。
これ以上、苦しみたくない・・・、グミヤなりの足掻き。
「本当に大丈夫?」
そっとグミヤの鼻に触れる小さな手。
瞬時に固まる体、それと同時にパシッという音が響く。
グミの手を叩いた音。
「グミヤ・・・?」
驚きの表情で見つめる。
「もう、出てってくれ!」
「なっ、ど・・・どうしたの?」
小刻みに震えるグミの体。
グミヤの表情は、また少し歪む。
「俺じゃなくて、神威先輩の傍にいればいいだろ!!」
「何言って・・・」
溢れてくるのは、自分でも耳を塞ぎたくなるような言葉ばかり。
ただの八つ当たり。
何も出来ない自分に対する苛立ちと失望。
でも、もう自分でも止められない。
「好きなんだろっ?」
「えっ・・・?」
「お願いだから、出てってくれ。」
グミと目を合わせず、小さな窓を見つめ続ける。
反射して見えるのは、歪んで情けない自分の姿。
「・・・ちょっと、グミヤ!勘違いもほどほどにしてよ。」
「・・・はっ?!」
キッ、と睨まれビクッ、と怯える。
「だれがあんな奴好きだって?
いっつもルカ、ルカ、ルカって言ってる奴を好きなわけないじゃない!」
「ちょっ、グミおちつ・・・」
「だいだい、私には他に好きな人がいるの!」
今度はグミが言いたい放題言った。
が、最後の言葉は予想外。
2人は同時に驚く。
そして一気に赤くなるグミの頬。
「えっ、誰だよ?」
うっ・・・、と言いながらうろたえる。
「・・・・・・たっ、大会で優勝したら、教えてあげる。」
「はーーーー?!」
「バイバイッ。」
「ちょっ・・・」
サッとこの場から逃げ去った。
ハー、と今日一番の深いため息をついたとたん、またヒョコッとグミが顔を出す。
なんだよ、と見る。
「がっ、頑張ってね!」
それだけ言って、また走っていった。
その言葉にグミヤは、再びズキュンとやられた。
「やべ・・・絶対、優勝しよ・・・。」
小さな決意を胸にグミヤは目を閉じた。
たくさんの歓声の中にグミヤが立っている・・・
-END-
勘違いのその先は、
今回は即興じゃないですよ(笑)
って言っても、即興と同じぐらいの低クオリチーなんですけど←
これを書いてるとき、駅伝見てたんですけど・・・
なんかリンクしてるな・・・、と1人笑ってました(笑)
そして、私もグミヤくんのようにちょっと前に顔面ボールしました・・・、ドッジボールで男子の超ヤバイボールが(笑)
友達談によると、凄い音がしたらしいです(汗)
ってことで、読んでくださった方、ありがとうございます☆
コメント3
関連動画0
オススメ作品
A 聞き飽きたテンプレの言葉 ボクは今日も人波に呑まれる
『ほどほど』を覚えた体は対になるように『全力』を拒んだ
B 潮風を背に歌う 波の音とボクの声だけか響いていた
S 潜った海中 静寂に包まれていた
空っぽのココロは水を求めてる 息もできない程に…水中歌
衣泉
ミ「ふわぁぁ(あくび)。グミちゃ〜ん、おはよぉ……。あれ?グミちゃん?おーいグミちゃん?どこ行ったん……ん?置き手紙?と家の鍵?」
ミクちゃんへ
用事があるから先にミクちゃんの家に行ってます。朝ごはんもこっちで用意してるから、起きたらこっちにきてね。
GUMIより
ミ「用事?ってなんだろ。起こしてく...記憶の歌姫のページ(16歳×16th当日)
漆黒の王子
ぬける青 君が笑うあの日は
もう帰ってこない
かつて通い慣れていたこの道は
今の僕には色褪せて
橙の空はとても綺麗で
ただどうしてか苦しい
いつもの通り君の隣
目の前で呑気に笑う僕に
僕はただ告げて消える
「そいつは突然いなくなるよ」...タイムスリップ
すいさい
<配信リリース曲のアートワーク担当>
「Separate Orange ~約束の行方~」
楽曲URL:https://piapro.jp/t/eNwW
「Back To The Sunlight」
楽曲URL:https://piapro.jp/t/Vxc1
「雪にとける想い」
楽曲URL:http...参加作品リスト 2017年〜2021年
MVライフ
いったいどうしたら、家に帰れるのかな…
時間は止まり、何度も同じ『夜』を繰り返してきた。
同じことを何回も繰り返した。
それこそ、気が狂いそうなほどに。
どうしたら、狂った『夜』が終わるのか。
私も、皆も考えた。
そして、この舞台を終わらせるために、沢山のことを試してみた。
だけど…必ず、時間が巻き...Twilight ∞ nighT【自己解釈】
ゆるりー
曖昧な仕草で私を愛して
そんなの満たされるわけが無い
今度はナニを期待してるの
ちゃんといわなきゃ
そんなのわからないよ
私はあなたのおもちゃじゃないの
都合のいい女で
終わりたくはないのよ
私のココロにはいってこないでよ
無視しないでちゃんときいて...曖昧ラメント《曲募集》
おむおむ
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想
甘菜
その他
注目の作品っ!!
ありがとうございます!!(泣)
2011/11/18 20:19:03
檸檬飴
ご意見・ご感想
勘違いしてるグミヤくんが可愛いです(*^^*)
それをフォローしようとするレンくんも!!
最後にグミヤを応援するグミちゃんにキュンとしました!
ミヤグミ……やっぱり良いですね!
次回作も楽しみにしてます!
2011/10/30 22:03:25
甘菜
グミヤは、へタレなのでこれぐらいが丁度いいんですね(笑)
レンくんは、いつでも中立の立場ですね!w
グミちゃんは天使です!ピュアホワイトエンジェルガールですね!
次回も頑張ります!
メッセージありがとうございます♪
2011/11/01 19:51:43
紅華116@たまに活動。
ご意見・ご感想
私もグミにウインクされたい←
てか、甘菜の書くミヤグミはホントに可愛いな…私もそのぐらい可愛い話が書けるといいけど、最近思いつくネタが何故か死ネタばっかりww縁起悪いなwww
顔面にボール!!大丈夫か甘菜!?
あれって結構痛いよね。私もよく何かが顔面に飛んでくるww
中1のときは男子が物を投げて遊んでるときに偶然、液体のり(←文房具の)が飛んできたり、ピン球(私は卓球部だから)が飛んできたりとか。
中2になってからはあんまり無いかなww
2011/10/28 21:24:03
甘菜
私もされたい←
それだけで、トラック1周できる気がする!
はわわ、可愛いだなんて!!ありがとう(照)
逆に私はそういう系が苦手だから、思いつくのは凄いと思う!! ((キラキラ
大丈夫!!その日は顔面が腫れたけど(笑)
液体のり!!!!
それは、かなり痛いよね!!!
ピンポン球はあたりやすそう!小さいから←
メッセージありがとう♪
2011/10/28 23:24:16