一方、買い物に出かけている五人。
 「…とりあえずこれで良いわね」
 「レン、そっち持って」
 「分かった」
 会計を終えたワンオフMEIKO。食材は夕食以外の食材もある。七人家族だと、食材もそれなりの重量になるので、ワンオフKAITOとワンオフレンの二人が分担して持つ。
 「…そろそろミク姉が帰ってくる時間よね?」
 「そうね。今日は終わるのが早くなるかもしれないって言っていたから」
 ワンオフリンの言葉に朝のワンオフミクの言葉を思い出すワンオフルカ。
 「…きっと、今ごろ二人はどちらかの部屋でべったりしてるわね」
 そのワンオフMEIKOの言葉に、うなづく他四人。完全に雅彦とワンオフミクの行動が読まれている。というよりも、今回の五人の行動は、ワンオフミクと雅彦が家で二人だけでいる時間を作って、二人の行動を意図的に誘導していたのだ。
 「こうでもしないと、二人とも動かないのよね」
 「そうだね。僕たちは家族なんだから、そこは遠慮しなくてもいいと思うけど…」
 「あの二人らしいわ」
 「…二人と言うより、マサ兄のせいだと思うけど…」
 「それは否定できないわね。だけど、二人が部屋から出てくる時は、とても幸せそうな表情なのよね」
 「だよな。僕たちの視線に気がつくと、慌ててその表情を隠そうとするけど」
 「そこは雅彦君がうちに住むようになってから、変わってないわね。初々しいわ」
 「…雅彦君は私たちのために、家事やスケジュール管理は経験を積んでくれて、本当に助かるけど、色恋沙汰には成長した様子が見られないわね」
 「…そこがマサ兄の変わってるとこだよな。あそこまで初々しいと、見てるこっちが恥ずかしくなるぜ」
 「そうだね。もっと堂々とすれば良いのに」
 「…KAITO、あなたはオープンにしすぎよ」
 ワンオフKAITOの言葉に突っ込むワンオフMEIKO。ワンオフKAITOとワンオフMEIKOは恋人同士で、MEIKOは二人の関係を隠したがる所は雅彦に似ているが、雅彦ほど徹底的には隠したがらない。逆にKAITOはやたらに話したがり、そのたびにワンオフMEIKOが強引に止めるのだった。
 「ええ…」
 「…カイ兄はやり過ぎ」
 「レンに同じ」
 「それには賛同せざるを得ないですわ…」
 他の三人からも賛同が得られないことにがっくりくるワンオフKAITO。
 「…KAITO、がっくりくるのは良いけど、袋は気をつけてね」
 「僕より袋の方が大事なの…」
 「袋を落として食材が傷んだら、買い直すのが面倒だわ」
 一蹴されてさらにがっくりするワンオフのKAITO。
 「…めー姉、帰ろうよ」
 「…そうね、ほら、KAITO、帰るわよ」
 「…うん」
 そういいながら家路につく五人だった。

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初音ミクとリンクする世界 初音ミク編 1章7節

閲覧数:34

投稿日:2017/04/02 23:37:55

文字数:1,156文字

カテゴリ:小説

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