「ふうぅん。“広場”って感じね。いい雰囲気のお店だわ」
りりィさんは、つぶやいた。

建物の屋上には「サンストリート」という、大きなパネルが見える。
ここは、東京スイカツリーのふもとに新しくオープンしたる、ショッピングセンターだ。

雑貨、Tシャツ、アクセサリー...。いろんなモノを売っている、色とりどりの「ワゴン」。
中庭のような、広いスペースに、たくさんのワゴンがならぶ。

その中には、カラフルな「てんわ」という名前のワゴンや、
粘土細工の小物の店もある。

そのまわりを、スタジアムのように円形に、お店の建物が取り囲んでいる。


●手作りのブランドを売るワゴン

「ほんと、いろんなワゴンが出てますねぇ」

ワゴン広場を歩いて回っているのは、「星を売る店・上海屋」の店主のりりィさんと、
ニワ・ブックスのウェブ・マガジンの女性記者、天野冬子さん。

2人は、「サンストリート」のお店を見に来て、偶然に出会ったのだ。

「あら!すてき」
冬子さんが、小さく叫んで立ち止まった。

2人は「ねんど細工“レイム & パム”」というワゴンに立ち寄ってみた。

赤い服を着た女の子が、いろいろなクレイ(粘土)製のアクセサリーを並べて売っている。
彼女はなぜか、「巫女さん」の姿をしていた。とても、目を引く。

「すてきなアクセサリーね。これ、手作り?」
りりィさんが、女の子に聞いた。
「ええ。有難うございます」
彼女は、会釈した。
「あなたが作られたの?」
「はい。私と、もう1人の相棒の子と二人で“レイム & パム”というブランドをやってます」

「そう!すてきね」
いつもはクールな冬子さんも、思わず微笑む。


●ヨーロッパの広場みたいだ!

「ワタシのところは、雑貨店をやってるの。うちのお店でも、あなたの製品を売り場に置いてみたいわ」
りりィさんはそう言って、アクセサリーを手にとった。
「あら、もしかしてこれ、もう、うちで扱っているものかしら...」
「え、ほんとですか?」
女の子は目を大きくした。

「あとで確かめてみるけど。ほんとに、楽しい製品ね」
りりィさんは、連れの女性を振り返って言う。
「こんど、記事にしてあげたら?ユフさん。こちらは、ウェブの“お店特集”サイトを作ってる方なの」
「お店特集の?」
巫女姿の彼女は、ますます大きく目を見開いた。

「そうですね。こんど是非、記事にね」
冬子さんは、にっこり笑った。ユフさんとは、彼女のあだ名なのだ。


そのとき、一台のライトバンが、広場にゆっくり近づいてきた。
ワゴン広場の横に乗りつけたのは、移動式カフェの「ドナドナ号」だ。
車が止まって、運転席からひょいと顔を出したのは、たこるかちゃんだ。

「ほぉう。ヨーロッパの広場みたいだ。ワゴンの店がいっぱい! ここ、楽しいなあ」o(〃^▽^〃)o


(次回に続く)

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

玩具屋カイくんの販売日誌(137) サンストリートの広場 (Part1)

スイカツリーのふもとに、いろんな楽しい人達が集まって来たようです。

閲覧数:90

投稿日:2012/01/21 16:43:21

文字数:1,199文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました