デザイナーたちの支援施設「ニコニコ・デザイナーズ・ビレッジ」のティー・ルームで。
レイムさんの言葉を聞いたレンくんは、思わず目を丸くした。
「作業室に空いた穴が、異界とつながっていた…んですか?」
レイムさんは、さわやかに笑って、うなずいた。
「ええ。そう。それで、作っていた“はっちゅーね”に、魔のチカラが乗り移ったんだと、思うんだナ」
ビックリしているレンくんに、レイムさんの隣で聞いていたぱみゅちゃんが、つけ加える。
「…と、いうのがこの子の考えよ」
「異界?魔のチカラ?。不思議なことを言う人だな」
レンくんはそう思って、あえて話題を少しずらした。
「それで、その人形は、デフォ子さんに頼めば、作ってもらえるんですよね」
●人形を、作る方法は?
彼の質問に、ぱみゅちゃんが答える。
「いいえ、普通はミクさんのやってる事務所に、発注するのよ。オーダーに合わせて、手作りの部分と、機械でつくるところを組み合わせて、仕上げてるみたいね」
「そうですか」
「でもね」
ぱみゅちゃんは、声を低くした。
「実は、デフォ子さんに直接、制作をたのむ方法も、あるのよ」
「え?そうなんですか」
レンくんは聞き返した。
「そうなの。彼女、友人とか親しい人とかには、“特注”の人形も手作りするの。カスタマイズ、ね。」
ぱみゅちゃんは、片目をつぶって言った。
「でも、これはナイショね。あんまり知られると、生産が追いつかない、って、デフォ子さんは言ってたし」
●ニコビレに入居される方ですよ
さて、その頃。
ニコビレの作業室では、テトさんと“てんわ”の2人が、机の書類を片付けていた。
先ほどレンくんと別れ、ちょうどいま、3人がしていた話も終わった、
事務所の引越しの手続きの書類をまとめ、彼女たちが立ち上がろうとすると…
作業室に、ひとりの女性が入ってきた。
「あ、紙魚子さん」
ルナさんが声をかけた。
「あ、ルナさん、マコさん。こんにちは」
女性は挨拶を返す。
髪を後ろでひとつの三つ編みにし、眼鏡をかけた若い女性。
ボーイッシュでキリッとしているが、どことなくゆるくて、ユニークな雰囲気だ。
“てんわ”の2人は、テトさんに彼女を紹介した。
「こちら、兎論紙魚子(うろん・しみこ)さん。インテリア・デザイナーで、私たちが仲良くしてる方よ」
「はじめまして。兎論といいます」
「はじめまして。重音テトです。雑貨デザイナーをしてます」
紙魚子さんは、眼鏡の後ろの大きな目を丸くした。
「あ、よく存じ上げてます。素敵な雑貨を作られる方でしょ」
にこにこと、彼女はお辞儀した。
「あ、有難うございます」
テトさんは赤くなって、恐縮する。赤毛の彼女が赤くなって、さらに周りが明るくなった。
「こんど、ニコビレに入居するのよ、紙魚子さん」
そういって、マコさんは何気なく、作業室の窓の下の、壁を見つめた。
4人は見るともなく、そろってその壁を見つめた。(/・・)(/・・)
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ご意見・ご感想
enarin
ご意見・ご感想
今晩は! 今回は本編続きですね。
さぁ、レイムさん無双も終わり、ニューフェースの”紙魚子さん”登場ですね! この方は前にお話がありました、作家の諸星さんの『栞と紙魚子』からの登場となりますね♪ ウロンの部分を少し変えてあるところに、クスッとなりました。巧いな~。
さーて、『栞と紙魚子』は怪奇作品ですので、記載通りの”三つ編み+眼鏡”で何となく純朴に見えるのですが、参考にされている作品のジャンルがジャンルだけに、何となく、レイムさん寄りに行くのかな~、なんて事も思ったりします。レイムさんvs紙魚子さん、対決なるか!?
ではでは~♪
2013/07/25 21:49:11
tamaonion
enarinさん、メッセージ有難うございます。
>作家の諸星さんの『栞と紙魚子』からの登場となりますね♪
そうですね。テレビドラマ化もされたようですが、原作の、とつとつとしたユーモア・ホラーの調子が好きなんです。
>参考にされている作品のジャンルがジャンルだけに、何となく、レイムさん寄りに行くのかな?、なんて事も思ったりします。
ですね。よく、「ボケとツッコミ」といいますが、この2人がからむと、両方ともボケになりそう(笑)で、気になりますけど。
また、ぜひ読んでみてください!
それでは、また。
2013/07/28 21:18:47