いきなり現れた少女…ミクちゃんは時を渡る能力を持つのだと、言った。
普通なら信じられなかったはずだ。
けど僕は何もない場所から淡い光に包まれて降りてきたミクちゃんを見てしまっている。
それに彼女の話はとても興味深い。
既に滅んだはずの国、都市。
この世界には無い未来の技術。
いろんな話をしてくれた。
こんなふうに人と話し自然に笑えたのは何時以来?
むしろそんな頃があったのかも分からない。

正直、僕は羨ましいけれど君がその能力を嫌っているのは何となく分かる。
この場所から動けない僕を羨ましいと思ってしまったんだと泣いたミクちゃんに人って本当にままならない生き物なんだと思った…。


「僕は正直君が羨ましいよ。長く生きなくてもいい。外へ出たい。本の中の知識じゃなく自分の目で世界が見たい。小さい頃はずっと思ってた。…何時の間にか忘れちゃってたけどね。けど君と話していたらあの時の気持ち…急に思い出したんだ」

「レン君…」

「はは…ごめん。駄目だなぁ、僕…。こんな事言っても君の事困らせるだけなのに。君と一緒に行けたら…世界を見られたならきっと楽しいんだろうな。そんな事許されないのは分かってる…分かってるんだよ」

本当に言いたくない。
困らせたくなんてないんだ。
それなのに言葉は勝手にこぼれ積み重なる。

「私、は…」

ねぇ、ミクちゃん。
君は何を言ってくれようとしたんだろう?
否定が聞きたくないなら言わなきゃ良かったのに。
勝手な思考に苦い笑みがこぼれる。

その時、

「どうして…?」

その声にミクちゃんに目を移すと泣きそうな顔で自らを抱きしめている。
僅かに光も舞っていて…。

「レン、君…!」

まさか…。
もうお別れなのか?
思わず伸ばした手は空を切り間に合わなかったことを悟る。
後はもう言葉しか届ける手段はない。

「ミクちゃん!さよなら…大好きだよ!また逢えるよね?僕、ずっとずっと待ってるから!」

精一杯紡いだ僕の言葉君には届いたのかな?
時に飲まれ消えた君に問いかける。

ありがとう。
僕、君と出逢えてたくさんの物をもらった…思い出した。

ずっと待ってるからさ、どんなに時が過ぎてもいいから会いに来て。
それならば今度こそ君の手を離さない。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【小説】一夜の邂逅(であい)、未来への3

時の旅、一夜の邂逅(であい)のレンver3

閲覧数:364

投稿日:2011/06/21 07:19:47

文字数:945文字

カテゴリ:小説

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  • 日枝学

    日枝学

    ご意見・ご感想

    1から3まで読ませていただきました。やっぱ時間跳躍ものは良いですね 他のverも時間ある時読ませてもらいますよー

    2011/06/22 21:04:15

    • riru

      riru

      知り合いの方から以外の感想いただくのも実は初めてなヤツなんで若干ドキドキしとりますが読んでいただけてすごい嬉しいでっす
      ありがとうございます^^

      2011/06/22 21:21:20

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