「…さぁ、ようやく仕事も一段落したわ……
私が忙しくてあの人が会いに来てくれないのなら
私の方から会いに行きましょう…」

るかは笑いながら裁縫箱を片付けると
仕度に取り掛かりました。

「あの人驚くかしら…今の私を見たら何て言うかしら…
『もう浮気なんかしないよ』って言うかもね…フフフ」
るかは尚も笑いながら鏡を覗き込んでいます。
やがて仕度を終えたるかはお店を早めにたたんで
夕暮れの中をいそいそと出掛けて行きました。
行き先はあの人がよく散歩に行く薄野原です。

るかがそこへ行くとあの人の後ろ姿が見えました。
るかは笑いながら近付きますがあの人は気付いていない様です…

格子柄の赤い着物
菊柄の緑の帯
髪には蝶飾りの黄色い簪
あの人が好きだった女達と同じ―――

ほら私、貴方好みの女になったわ―――






















どう?私『キレイ』でしょう―――――?

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

円尾坂の仕立屋 第五幕 -青い襟巻の男-

やっと終盤です……

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投稿日:2010/10/27 08:54:37

文字数:398文字

カテゴリ:小説

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