「うー、さぶい。」

さすがに十二月になると本格的に寒い。

吐く息は白いし、北風はこれでもかってくらい吹いてるし

昨日頑張って仕事を進めたものの、やはりすぐには帰れない

まあ覚悟してましたけど。

それでも頑張ったかいはあったか、8時までには帰れそうだ

…去年みたく10時とか12時近くまで拘束されていたのと比べれば、まだマシの域に入る

「ウイダー買ってきました」

「あぁ、ここに置いといてくれ。悪いな、ついでに買ってきてもらって」

「いえ、先輩こそ頑張ってください」

「嫌味か、それは」

「もしよければケーキとチキンも買ってきましょうか?」

「さすがに僕もそこまで残念な人間じゃないから」

…ですよね。

みんないつも以上に頑張っているのは、今日が12月24日だからだ

理由は単純。

俺もそのうちの一人である

誰だって一年に数回の甘い夜を仕事だけで終わらせたくはないはずだ

まあサボってる人はそれなりにキツイし、頑張ってる人はそれなりの天国が待っている。

うちの会社は仕事を終わらすまで帰れない

特にこういう日はチェックが厳しい

だから、まだ帰ったのは二人だ


あ、メール


彼女からだ。

ふと時間を見る

[18:32]

もうあっちは終わったのかな

なんかもう毎回申し訳なくなってくる

[仕事ギリギリ終わったー!

カイトもがんばってね!手抜きは厳禁だよ☆

…そういえば今日クリスマスイブだね!

さすがに遅い時間じゃお店もやってなさそうだし、いつも通り…っていうのはつまらないから、

ちょっとロマンティックに、駅前のクリスマスツリーの前に集合とかどうかな?

何時ぐらいに終わりそう?
返信くれると嬉しいな

------------end------------- ]


絵文字などで飾らない素直な文章からは彼女の優しさと真面目さが伝わってくる

メイコさんっぽいな、なーんて。

クリスマスツリーの前か、

それもいいかもしれない。

なんかやっと恋人ということを自覚した感じだ

[re:

いつも迷惑かけっぱなしだね、ゴメン。

仕事は、去年みたくはならなくて済みそうです

多分今回は8時ぐらいには終わるかもしれないので、八時半に待ち合わせで大丈夫ですか?

残り二時間、死ぬ気で働きます。


--------------end------------]


本当にゴメン。

ー俺は死ぬ気でデスクに向かった。



「終わったああああ!!」

「いいなー始音さん、早い…」

「でもかなり疲れたけどね…」

手はパソコンとボールペンともろもろで痛いし、背中もひどい。

それでも彼女にあえる、その一心で予定より少し早く終わったので気持ちよかった

[仕事終わった!

予定通りに間に合いそうです!

待っててください!!

--------------end----------]


とりあえずひと段落ついた。

やっと君にあえる。

…とりあえず寒いのでココア買っとこ。

クリスマスなのにロマンティックの欠片もない人間とは僕のことです←

でも、本当に寒い。

携帯を見ると、まだ時間はあるものの、雪という予報が出ている。

マジか…

どうりで寒いわけですね。

仕事は終わったものの、やっぱり肩腰は痛いし、目のショボショボ感もあるし、最悪だ

せめて負の連鎖には巻き込まれたくない

「始音さん恋人と頑張ってくださいね!」

「わかってますって」

同期の巡音さんはまだ仕事が終わってないらしい

それでも人のことを気にかけてくれる彼女は優しいな、と思う

手伝いたいな、とおもったけどそうするわけにはいかない

「巡音さんも頑張ってくださいね!ではお先に」

「頑張んない人もそうそういないとおもいますけどね…!」

イヤミっぽかっただろうか

下手すると明日が怖いかもしれないが、まあ、しょうがない

…明日からまた死ぬ気で働くので、今日だけは神様やら何やらいろいろ許してください。


とりあえず今日は仕事は終わった


コートを着て外の世界に解放される



…やっぱり寒い。


周りにはたくさんのカップルがいろんな形でそれぞれの夜を楽しんでいる

恥ずかしそうに手を繋いで歩いていたり、道の真ん中で抱きしめあっていたり、楽しそうにショーウィンドウを眺めていたり。

はっきし言って二番目のは少し通行人からすると迷惑かもしれないが、気持ちはわかる

俺がもっと早く仕事が終わってればな、と思ったがその考えは削除した

俺なりのベストは尽くしたつもりだから。


あ、

ふいに店のショーウィンドウを見る。

…あの赤い髪どめ、すごくメイコさんにピッタリじゃないかな

クリスマスプレゼントに、うん。きっとよろこんでくれる…よね。


約束の時間まであと10分

少し小走りに、駅前のクリスマスツリーがある場所に向かう

はしったからか寒いのは消えて、体の芯から暖かくなっていった

やばっ、耳熱い…

走ったからだと思いたい


クリスマスツリーは目の前

よく知っている人影がみえた


「カイト!」

「メイコさん…!」

「ごめん、待った…?」

「ううん、全然」

体中が一気に沸騰して、あらゆる温度が溶けてしまう

この瞬間のためなら、がんばれると思う

「仕事終わってよかったね!去年は大変だったけど今年は早いねー!」

「いえ、普通にメイコさんのほうが終わるのはやいですよ…」

「うちの会社は社長が優しいというかゆるいというか、うん」

やっぱりメイコさんは優しい

「メイコさん、これ、どうぞ…」

「…ありがとう!今、あけていい?」

「う、うん…」

赤い髪どめが袋から落ちていく

心臓が荒ぶる

彼女の顔からこぼれた笑顔


「かわいい!」

「気に入ってもらえてよかった…」


早速つけてくれた。うん、可愛い。

するとメイコさんは意地悪な顔で微笑んだ

「ねえ、私もお返しがしたいから、ちょっと目を閉じて?」

「目を閉じないと…ですか?」

「う、うん……」


少しの沈黙。ゆっくり目を閉じる。

変な感覚。でも妙に離したくなくて、愛しい感覚


「あの、メイコさん……」

「なんですか…」





やばい。本当俺今日溶けちゃう。

彼女の頬が一気に紅く染まる。


「冷たっ!」

頬に溶けてく。雪だ。

「ホワイトクリスマスですね」


上がり続ける温度は下がることを知らない

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【カイメイ】Christmas with you

いきなりのリア充カイメイ投下すいませんw

通知表という名の死亡通知をもらって死んでるayuminです。

勉強ッテナニ…明日カラ塾ノ冬期講習デ死ニソウダヨ…←

なんか兄さんが女子っぽくなったけど問題ないはず。溶けちゃうとか言ってるけど問題ないはず。

クリスマス は キリストさま の 誕生日 !←

閲覧数:599

投稿日:2013/12/24 13:03:34

文字数:2,710文字

カテゴリ:小説

  • コメント3

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  • 雪りんご*イン率低下

    雪りんご*イン率低下

    ご意見・ご感想

    見てるこっちが溶けちゃいそうなほどに甘い雰囲気に、とても「リア充爆発しろ」とは言えない雪りんごです! 初めまして、ayuminさん!

    私はこういう甘~いやつをなかなか書けないので、羨ましい限りですw
    兄さん好きとして、特にオトメンな兄さんが素敵だと思います!

    2013/12/25 00:34:54

    • ayumin

      ayumin

      はじめまして!よろしくお願いします♪

      いや、甘々といってももうちょっとこじらせたらRつきますよww

      私も兄さん好きとして雪りんごさんは尊敬してます!兄さんなうの押し倒しのシーンで全く同じ行為をとっていました←

      羨ましい…ありがとうございます!

      2013/12/25 17:30:56

  • しるる

    しるる

    その他

    うん、いいと思うの
    自分の書き方が、しっかりしてて、丁寧で

    そう!それ!特徴!!
    おお!なんか、ふんわりとした私のニュアンスをうまくひろう一言!
    あとは雰囲気的にも似てるかなって思ってw
    けど、あゆみんさんは、あゆみんさんの形でいいよねw

    2013/12/25 00:18:15

  • しるる

    しるる

    その他

    くぅぅ……甘々
    今の私にはかけないものですねww

    あゆみんさんのテキスト、はじめてみましたけど、いいですねー
    タイプ的には、ゆるりーさんが一番近いかなって思いました

    2013/12/24 19:16:50

    • ayumin

      ayumin


      甘々…自分で書いてて興奮すると同時に、悲しくなりました←

      いい…だと……!!ありがとうございます!

      タイプ…?書き方の特徴みたいな感じですか?

      2013/12/24 21:48:28

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