「お兄様が・・・、クリピアの王女に求婚・・・」
届いたばかりの知らせを、ミクは緩慢に繰り返した。
簡単なはずの音の羅列が上滑りして、まるで頭の中に入ってこない。
全身をすっぽりと薄い膜に覆われて、周りの全てが遮断されてしまったかのようだ。
目の前で安堵に沸く閣僚達の姿さえ、ひどく遠い景色に思える。
「君の兄上は何を考えているんだ?まさか本気で三国の和平を望んでいるわけではないだろう」
ミクの隣、難しい顔で考え込むレオンが問いかけた。
「わからないわ・・・」
ミクは緩く首を振った。
「・・・わからない」
「ミク?」
いつになく鈍い反応に、レオンが顔を上げる。
向けられた視線を避けるように、ミクは顔を背けて席を立った。
「気分が優れないの。下がらせて頂きます」
「カンタレラ」&「悪ノ娘・悪ノ召使」MIX小説 【第10話】前編
二桁突入・・・。 orz
うっかり4000文字の制限に引っかかったため、短いシーンだけど分割しました。
中編へ続きます。
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もっと見る「街が見たい?」
怪訝な顔で王女は聞き返した。
「街って、城下のこと? そんなものを見て、何が楽しいの?」
「その土地にあった生活のための優れた工夫というのは、私の国にとっても勉強になりますから。それに、良く出来た建築や都市の景観というのは、それだけで美しいものですよ」
また訳のわからないことを言う...「カンタレラ」&「悪ノ娘・悪ノ召使」MIX小説 【第13話】前編
azur@低空飛行中
おぼつかない足取りで自室へとたどり着く。
「ミク様?どうなさいました」
扉を押し開き、出迎えてくれた侍女の優しく気遣う声に、ミクは糸が切れたようにその場に座り込んだ。
「ミク様!?」
「ローラ・・・お兄様が」
どこか呆然としたままの声音に、駆け寄った侍女の顔に動揺が浮いた。既にどこからか知らせを聞き...「カンタレラ」&「悪ノ娘・悪ノ召使」MIX小説 【第10話】中編
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「そんなこと...「カンタレラ」&「悪ノ娘・悪ノ召使」MIX小説 【第14話】後編
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「随分と回りくどい真似をされる」
夜の闇に沈む部屋に、ひっそりとした声が落ちた。
室内の明かりはない。窓の外、時折雲間から顔を出す微かな月明かりだけが、僅かな光源だった。
「何のことだ?」
静かな声を返す部屋の主は、暗闇を気に止める様子もない。
暗い色の髪は周囲の闇に溶け込んで、その輪郭も定かではな...「カンタレラ」&「悪ノ娘・悪ノ召使」MIX小説 【第12話】
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