風吹く緑の岡の上 大きな屋敷がありました
数多の名のある金持ち達の手から手へと渡り続けた
とても豪華なその屋敷 とても素敵なその屋敷

今の主はベリルさん 偉大で著名な映画監督
訪れる客を快く 迎え入れつつ屋敷の自慢
訪れた客も頷いて 中の景色を見渡します

カーテンも床も天井も 全てが安らぐ緑色
安らぐソファーに腰掛けりゃ 誰もが うっとり夢心地
みんな眺めて憧れて ため息漏らす その屋敷

なのになんだかベリルさん ちかごろ屋敷の売却を
考えてるのは どうしてですか?
「ええと…。それは…。」

「…なぜならあまりに安らぎすぎて 仕事がとても勤まらない…。
屋敷はとても素晴らしい…!素晴らしいから仕方ない…。」
なるほどなぁと頷いた 所で私は目が覚めた

緑の屋敷の夢を見た とても不思議な夢だった
思えば奇妙な夢だった 後から疑問がわいてくる

どうして数多の金持ち達は屋敷をすぐに売ったのだろう?
いくら素晴らしいからといって あんなに頭がぼんやりするか?
どうして主も客達も 屋敷を悪く言おうとしない?
あるいは言えなかったというのか?
何よりおかしいのは その間取りだ

窓の外を眺めて見れば それは外でなく向こうの部屋だ
向こうの部屋の窓の外もまた 更に向こうの部屋がある
外が見えない屋敷のどこが 素晴らしいなどといえるのか?

疑問を持つほど 背筋が凍る とても奇妙な安らぐ屋敷
振り返ってから考えて見れば あれは怖ろしい悪夢であった

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
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安らぎの邸宅

谷山浩子さんっぽいメルヘンでホラーな感じの歌詞を
作ってみたかったんですよ。

転載、改変フリーダム。

閲覧数:335

投稿日:2008/04/12 15:03:26

文字数:630文字

カテゴリ:その他

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