6月ハーモニー 未来音符 そのごー
曇り空の中、私は急いでメゾールに向かった。
メゾールは駅前にある大きなショッピングモールで、建物の大きさは地下1階から5階まで
あり、広さは学校と校庭がそのまんま入りそうなほど大きい。
建物の形は少し面白く、上から見たら全体の形はただの丸だが、2階から上の階は三日月の
形で建っていて、2階は三日月以外の部分がすべて広場になっていり、そこでは度々イベントが
行われている、数年前に建てられた今では人気のスポットだ。
そのメゾールの1階の入り口の所で流香先輩が立っているのが見えた。
私は流香先輩に近づきながら
「あっ!流香せんぱーい!久しぶりでーす!!」
久しぶりに流香先輩に会えた事が嬉しくて、つい声が大きくなった
「ミク、久しぶり~」
流香先輩は私におっとりとした声で返してくれた
私は流香先輩に近づいて
「流香先輩!久しぶりです!!元気でしたか!?」
私服の流香先輩だ!すっっっごく大人っぽくて素敵!!
流香先輩は白くてふわっとした無地のマキシ丈のワンピースに
デニムのシャツを羽織っているとゆうシンプルな服だけど
「元気よ。ミクは元気だった?と言っても、まだ2ヶ月しか経ってないけど…」
「はい!元気です!変わってないです!」
高校にいた時から思ってたけど、流香先輩って大人っぽくていいなぁ~
落ち着いてるし、高校卒業してたった2ヶ月なのに、前より大人になってるな~
そんな大人な流香先輩に見惚れていると
「ん~そうね~ミクはあんまり変わってないわね~」
流香先輩は私を上から下まで見て率直に言ってきた
「そこは成長したわね~って言ってくれないんですか!?」
自分で言うのは平気だけど、人に言われるとショックだ!!
「だって~成長した感じが全然無いんだもん。身長も変わってないでしょ?
中身も変わった感じがしないし…」
「だってまだ2ヶ月しか経ってないんですよ!?そんなすぐに人の中身は
変わりませんよ!身長は…これからです!これから伸びます!」
私より背の高い流香先輩と同じ目線になるように背伸びをしながら言うが
「身長は今のままで良いんじゃない?ミクは160ぐらいだっけ?
そのぐらいが可愛いわよ~ねっ?」
私の頭を撫でながら微笑む先輩に
「あと5,6センチは欲しいんです!もうちょっと欲しいんです!
私も背が大きくなって、流香先輩みたいな大人なお姉さんになりたいんです!」
「あら、ありがと~でもミクは大人っぽいお姉さんにはなれないわ」
先輩は笑顔のまま酷かった
「何でそんな残酷なこと言うんですか!?なれますよ!!私だって努力すれば
お姉さんと言われるような人になれます!!なりたいの!!」
「あのねミク…人には努力しても出来ないことってゆうのがあってね…」
「だから何でそんなに残酷なんですか!?私なんかしましたか!?」
すると先輩は真面目な顔をして
「人生の先輩として、可愛い後輩には現実を教えようと…」
「そこはむしろ夢を見せるのが先輩の仕事なんじゃないんですか!?
なれますよ!!人は努力次第で変われますよ!!いや、変わりますよ!」
「でも…ミクはツインテールだし…諦めるのは早いほうが…」
先輩は困った顔で言い難そうにしてる
「ツインテールが問題っ!?しかも何でそんなに困った顔してるんですか!?
止めてくださいよ!聞き分けの無い子供を見るような目をしないで!」
先輩の視線を両手で塞ぐと
「はぁ~やっぱりミクはからかい甲斐があるわね~楽しい…」
先輩はいつもの笑顔に戻った
「か、からかってたんですか?もぉ~止めて下さいよ~流香先輩って、
高校の時から思い出したように私のことからかってましたよね?
流香先輩って本気なんだか冗談なんだか分からないんですよ~もぉ…」
ため息を吐く私とは対照的に、先輩は少し驚いて
「えっ?私の冗談って分かりにくかったの?そんな…そんな……」
驚いた顔のままズーンと落ち込んでしまった。
やっべぇ!!流香先輩を落ち込ませちゃった!!
「あぁ~嘘ですよ先輩!嘘です!!全部冗談だったと分かってました!!」
「ううん…今のミクの言葉は本気だったわ…私には分かるもの…
ミクは…ミクは本気で私の冗談が分からないって思ってるんだわ…
私の言葉が本気なのか冗談なのか…区別がつかないんだわ…
その程度も分からない…その程度の関係だったんだ…その程度の希薄な関係
だったのね…ミクは私の事を、ただの部活の先輩としか思ってなかったのね…
私は…私はミクがまた高校で合唱部に入ってくれて、すごく嬉しかったのに…
だから…あんなに可愛がってたのに…あんなに大事にしてたのに…」
先輩はショボーンと落ち込んでいる
「分かってますよ!!先輩の言葉が分からない訳無いじゃないですか!!
合唱部でどれだけ私が先輩に大事にされてたか、私ちゃんと分かってますよ!!
だから私と先輩は希薄な関係じゃないですよ!!
流香先輩は厳しい練習の中いつも私に優しかったので、私は先輩が好きです!」
だから私は落ち込んでいる先輩を慰めようと必死だった
「下、下手な慰めは止めてよぉ…そうゆうのが一番傷つくんだからぁ…
うぅ…私には分かってるんだからね…ミクは…ミクは、本当は…
本当はず~っと違う部活に行きたかったんでって、私、知ってるよ…
そ、そうでしょ?ち、違う部活の部屋を羨ましそうに見てたもんね…?」
先輩の目にはうっすら涙が浮かんでいた
「そ、そんな訳ないじゃないですか!違う部活に行きたいなんて思ったこと
無いですよ!そりゃ確かに合唱部はキツかったけど、でも楽しかったですよ。
楽しかったから、辞めないで頑張っていたんですよ!」
「で、でもミクは練習は頑張ってたけど、わ、私の事は分かってないじゃない…
ミクの事好きな子がいるって言ったら、いっつも嫌そうな顔してたじゃない…
いっつも、もう止めてよ…って顔してたじゃない……
だ、だから本当は私の事を嫌ってるんでしょ?い、いいよ?そう言いなよ…」
「そ、そんな訳ないじゃないですか、私は流香先輩を嫌ってませんよ…
大好きですよ?そりゃ、告白したい子がいるんだって~とか、
ミクへのラブレター預かってるけど見る?って言われたりしてたから、わ、私が
あの時は男の子のことが苦手だって分かってるのに、あーゆう事を言われたり
してたから…す、少しだけ、嫌だなぁ…っては思いましたけど…」
私が合唱部に入って初めての文化祭の後の事を思い出した。
文化祭が過ぎてから流香先輩がよく私に、ミクの事が好きな子がいたりしたら
どうする?とか、うちのクラスの男の子にミクの事を聞かれちゃったわ…と
話していたのだ。
もちろんそれは先輩の冗談だと、聞いて私が驚いた後にすぐに気付いた。
だって話してる時の先輩、少しだけ笑ってたもん。
私が男の子が苦手だって中学の時に先輩達にすでに話していたのに…
先輩がそうやって私の事をからかうので、
少しだけ…少しだけいつもと違って意地悪をする先輩が嫌だった
もちろん普段は好きだけど、男の子のネタでからかう時だけは嫌だった
「や、やっぱり私は嫌われてたんだぁ…」
先輩が今まで以上に落ち込んだので
「お、男の子の事でからかってきた時だけですよ?それ以外では私は
流香先輩が大好きですよ、いつも優しいし…だ、だから…ご、ごめんなさい!」
先輩に頭を下げると
「もうミクをからかうのにも飽きたからお茶しに行こっか?」
先輩が今までとは違った普通の声で尋ねてきた
「……………は?」
急に先輩の態度が変わったせいで、驚いて顔を上げて先輩の顔を見ると
「は?じゃないわよミク。今日は買い物に来たんでしょ?
ほら!とっとと行くわよ~明日のデート服をばっちり選んであげるわよ~」
明るい笑顔でそう言いながら先輩はメゾールに入ってゆく
そんな先輩を指さしながら
「えっと先輩…アナタは今さっきまで落ち込んでいませんでしたか?」
「は?なんで私が落ち込むの?もしかして私がミクに信じてもらえなかったことに
落ち込んでたと思ってるの?ヤダ~その程度で落ち込むほどヤワじゃないわよ?」
先輩は何を言ってるの?みたいな顔をしてそう言ったので全部が理解できたから
「私ね…先輩のそうゆうとこが大っ嫌い!なんです…」
「ううぅ!ミ、ミクに嫌われちゃった!わ、私、これからどうしたらいいの?」
わざとらしく泣きまねをし始めた先輩に
「よく悲しくもないのに泣けるな~アンタ凄ぇよ…名女優だよ…」
心の底からの賛辞を嫌味たっぷりに贈ると先輩はたじろいて
「ミ、ミクにタメ口を聞かれた…ちょっと怖いわ…」
私はたじろいてる先輩に最大限の侮蔑の視線で
「一言謝ってくれれば許せたんですが…先輩はまったく謝らなかった…
とゆうことは、私と先輩の仲もこれで終わりですね…さようなら…」
「ご、ごめんなさい!謝るから許して!!怒らないで!!
そ、そうだ!お買い物をする前に3階の喫茶店に行かない!?行きましょ!?
お詫びに私がなんでも奢るから!!だから、ねっ!?
だからそんな恐い顔しないでミク!!私が悪かったから!!からかい過ぎた
私が悪かったから!!殺すような目で私を見ないでーー!!
ごめんなさいごめんなさい!!もうしません!!ごめんなさい!!
許してミク!ごめんなさーーーい!!!」
買い物前に謝罪も含め、流香先輩が喫茶店に連れてってくれた
6月ハーモニー 未来音符 その5
6月ハーモニー 未来音符 その5です
ルカのミクへの愛は歪んでいる。
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悲しいから歌った。
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kurogaki
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同じくピノキオPの『 oz 』、『恋するミュータント』、そして童話『オズの魔法使い』との三つ巴ミックスです。
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