* 音もなく崩れゆく
その日も、空は青かった。
いや、その日はいつにもまして、空が青かった。
雲ひとつない青天。ぼやける視界で、雲、見えなかっただけかなぁ。
「治らないってどういうこと?」
俺は思わず主治医の兄ちゃんに詰め寄っていた。いきなり立ち上がったせいで、俺の腰掛けていた丸いすはバランスを崩す。存外大きな音をたてて倒れるイス。しかしそんなことも気にならないくらい俺は取り乱していた。
「説明したとおりです。」
主治医の兄ちゃんはあくまで淡々と語る。
「リンちゃんの病状は深刻。刻一刻と身体は衰弱しています。それはまるで死を間近に控えた老人のようなスピードで、です。
―やめろ、
アタマが、ガンガンする。
しかし我々にはその原因がまったくわからないのです。身体のどこを調べてもまったくの健康体。異常なんて見つからなかった。
―やめろ、
血液が全力で突っ走って、雑音が掻き消えて、
しかし現にリンちゃんの生命機能は活動を弱めている。
―やめてくれ―!
アタマの中、オレの悲鳴が響き渡る……
我々には手の施しようがな……」
「ウソだっ……!」
食いしばった歯の隙間から、自ずから声が滲み出ていた。声にならない叫び。みっともなく震えていた。
俺という存在を炎にも似た怒りが、激情が満たしていく。
看護師の姉ちゃんは、雷に打たれたような顔をする。
握り締めた手が痛い。食いしばった歯は耳障りな音をだす。
それでも、主治医の兄ちゃんはまっすぐに俺を見つめていた。
「ウソだ。」
わかってる、わかっているさ。兄ちゃんがウソをつく理由なんて、ない。
医学について、何の知識もないけれど。医者である兄ちゃんがそういうなら、そうなんだろう。
医学について、何の知識もないけれど。何となくそんな予感はあった。
ウソだと連呼する俺を抱きしめてくれた兄ちゃんと、姉ちゃん。彼らの優しさが、痛くて、悲しくて_俺はガキのように泣きじゃくったんだ。
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