…―――――♪
―――♪――♪―
(音楽が… 聞こえる…)
音の渦の中で、少年は静かに眼を開いた。
(綺麗な…)
音が聞こえていても、そこはまだどことも繋がっていない電子の狭間。
きっと聞こえている音楽も、どこかの電波を勝手に受信してしまったものだろう。
(早く…歌いたいな…)
少年は再び眼を閉じ、音に意識を預けようとした。
その時、かすかに身体を引かれるような感触がした。
その力は次第に強くなり、狭間から出そうなくらいだ。
『レン…』
(レン…?)
少年はなぜか安心感を感じ、引き込まれるがまま狭間を抜け出した。
*
「レン」
(…――――)
少年は醒めた。
(ここは…どこだろう…)
まわりは壁。上には天井。どうやら室内のようだった。
隣には、茶髪で赤い服の年上らしき女性がいた。
「レン」
先ほどから繰り返し聞くこの言葉。
少年は気になって仕方がなかった。
「…レン、って…」
「あら?マスターから聞いてないの?あなたはレンって名前よ、鏡音レン。気に入った?」
女性は、レンの眠っていたポッドに寄りかかり、めんどくさそうに手を振った。
「ミク、酒ー。もう一瓶ー」
「おねーちゃん飲みすぎ!もー持ってかないー!」
「ネギ買ってやるからー」
「ホント!?じゃぁ持ってくね!」
レンがその様子を見ていると、やがて一人の少女がやってきた。
「あ、もしかしてレン君?起きたの?ボクはミクっていうんだー、よろしく!」
「あー、私はメイコね。おねーちゃんって呼びなさい。よろしく」
「レ、ン…」
レンはしばらくボーっとしていたが、しばらくして微笑み、
「うん。よろしく」
「…ねぇ、それが、レン?」
「あ、リンも来たの?」
メイコの視線の先を見ると、そこには金髪の少女がいた。
(…俺に、そっくりだ)
眼の色。顔立ち、身長もおそらく、ほとんど同じなのだろう。
初めて会った気もしない。初対面のはずなのに、親密な人のように感じる。
「メイコねーちゃん、この…」
「この子ね、あんたの双子の姉なのよ、知ってた?」
(―だからか)
だから、親近感も、そっくりなのも…
「…リンって、言うんだ」
「…うん、あたしはリン… まだ、慣れてないけどね」
(俺と同じ、醒めたばかりなんだ)
「…私は何も知らないけど、レンは何か知ってるの?わかん、なくて、…」
(…そうだ)
知らないことが、多すぎる。
ここはどこ?
なんでここに来させられたんだ?
君たちはだれ?
―俺は、何?
だがレンは、3人の顔を見て、思った。
またあとで、いいや。
楽しいから、いいや。
ゆっくり、教えてもらおう…
「…よろしく、ミクねーちゃん、メイコねーちゃん、リン」
「「「よろしく(ね)」」」
「ねぇ、カイ兄は呼ばなくていいの?」
「いいのよ、あんなごくつぶし」
(…『ごくつぶし』っていうのの意味も、後で聞いておこう…)
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-----------...ネバーランドから帰ったウェンディが気づいたこと【歌詞】
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