設定 (はじめにお読みください)
グミヤ・・・孤児院育ちの少年。15歳。
グミ・・・孤児院育ちの少女。15歳。
メイコ・・・孤児院で働いている。子供たちの良き理解者。
本編
涼しい風が吹きぬけ、彼女の美しい髪を揺らす。
彼女は時々いつもの笑顔に影を落とし、何かを思いつめたように顔をゆがませる。
そんな彼女の異変に気がついたのはつい最近。
そして今日、俺はメイコ先生の口からとんでもないことを聞いた。
「グミヤ君は、グミちゃんから聞いたのよね?」
「え・・・?何を・・・」
メイコ先生のいった言葉は『何も知らない俺』にはあまりにも強烈で、今でも鮮明に思い出すことが出来る。
「あらヤダ!!聞いてなかったのかしら・・・ 言わないほうがよかったわね・・・」
俺は思わず、メイコ先生の肩をつかみ早口でまくし立てた。
「メイコ先生!!何か知ってるんですか!?俺はグミから何も聞いていません!!
最近、グミの様子がおかしいとは思ってましたけど、何かあったんですか!?」
メイコ先生はいかにも『まずい』と言う表情をしている。
「・・・いやぁ・・・あのさぁ・・・ ちょっと、グミちゃんのことを明日、引取りに来る人がいるの・・・」
俺は、瞬時に反応が出来なかった。
『グミヲヒキトリタイヒトガアラワレタ』? 何語だ。それは。
俺は立ち上がり、走り出した。グミの元へ。速く速く速く速く!!
「あ、ちょっと待って!!グミヤ君!?」
引き止めるメイコ先生の声も今は無視。
いつも聞き分けのよい『イイコ』を演じてきたのだから、今日だけは――――
走って、走って。
見慣れた俺の『家』を走り回った先に、グミを見つけたのは屋上。
グミは洗濯された真っ白なシーツを干している最中だった。
「グミヤ!? そんなに急いでどうしたの?
暇なら、洗濯物干すのてつだっt――――」
俺はむさぼるようにグミの唇にキスをする。
気がついたときからそばにいて、『俺の右隣にはグミ』と勝手に思っていた。
おそらく、グミもそう思っていたはず。
なのに、グミは俺に黙っていたのだ。あんなに大事なことを。
俺はグミに何回もしたことのあるキスをする。
「~~~~~~っっ!!」
初めての長すぎるキスで苦しくなったのか、グミは俺の胸を思いっきり押した。
グミは荒い息をしながら涙目でこっちを見つめる。
「何でっ、こんなこと、するの?」
「何でも何も、グミが俺に言わなかったんだろ?」
「・・・?何のこと?」
「とぼけんじゃねぇ!!お前、引き取られるんだろ!?」
グミの目が大きく見開かれる。
「・・・そう、だよ。 私は引き取られるの。明日の朝10時に迎えが来るの・・・」
「・・・なんで言わなかったんだ。俺に一言も。」
「だって、言えるわけないじゃない!!
ここには・・・『孤児院』には16歳になるまでしかいられない。『本当の家』を手に入れるチャンス2度とないのよ!?
それなのに、私はグミヤをおいて一人だけ幸せになることなんて出来ない!!」
グミは一息にすべてを吐き出した。
「じゃぁお前は、グミは、この『家』にいることが不幸だって言うのか?
俺は不幸だとは思わねぇ!!ちゃんと俺たちのことを気遣ってくれる大人がいて、友達もいる。何不自由なく暮らすことも出来る。 まぁ、孤児だからって俺らの事を嫌うやつらもいるが、そんなこと俺にはどうでもいい!!
お前が俺の幸せを決めるな!!
俺はお前の口から『引き取られることになった』って聞きたかった。」
俺も一息にすべてを吐き出す。
本当は、こんなことは言いたくなかった。グミの傷ついた顔なんて見たくなかった。
グミは、涙を流しながら屋上を去る。
今の俺は、引き止めることも出来ない。
(グミを泣かせるなんて最悪だな、俺・・・)
胸に罪悪感を抱えたまま、洗濯物をすべて干して俺も屋上を去った。
夜、ベッドの中にもぐりこむ。・・・眠れない。
昼のグミの泣き顔を思い出してしまう。
俺は落ち着かないまま、ベッドに深く深くもぐりこんだ。
―――ここはどこだ? そう、コレはずっと昔。孤児院に俺がつれてこられたころ―――
俺は3歳のときにこの孤児院に連れてこられた。
両親を不慮の事故でなくし、人間を激しく拒絶していた。
俺の事を気にかける先生も、『一緒に遊ぼう』と誘いかける年長の子供も。すべての人間がにくかった。
そして、どんなに願っても戻ってこない両親を夢見た。
でも、なぜかグミにだけは心を開けた。
俺がどんなに酷い態度をとっても、グミはいつも俺の右隣に来て何をするわけでもなく、ニコニコと笑っていた。
そんなグミの存在に俺は救われたのだろう。
いつしか人間への憎しみと言うものが消え去り、心の中にはじんわりと暖かい気持ちがあった―――
「っっ!!」
久しぶりに夢を見た。
そして、グミが俺の右隣にいることのキセキを感じた。
(グミに、謝らなくちゃいけない。そして、ちゃんと笑顔で見送って・・・)
俺は考えるよりも早く身支度をする。
今日は寝坊したのだから急げ、と自分を急かす。
そして、9時30分。
窓の外に大きな車が見えた。
おそらく、あれがグミを引き取る人だ。
俺は、走って外へでる。
外では、グミの両親となる人であろう、薄い桃色の髪の美人と紫色の長い髪をポニーテイルにした男性がメイコ先生と話していた。
グミの姿は見当たらない。
「メイコ先生!!グミは、どこに?」
「グミちゃんは部屋で身支度をしてるわ。早く行きなさい!!」
「ありがとうございます。」
俺はくるりとUターンをしてグミの部屋へ向かった。
「グミ!?」
グミの部屋のドアを開けて中に入る。
グミは手荷物をまとめていた。
「グミヤ・・・」
グミは驚いた顔で俺を見る。
「グミ。俺、どうしても言いたいことがあって・・・」
「うん。何?」
「昨日は、傷つけるようなこと言ってごめん。」
「うん。」
「本当はグミと別れたくない。」
「私もだよ?」
グミは何故か、昔と同じように笑っていた。
「私ね、ここから遠い場所に行くの。
でも、グミヤがここにいるって思えば平気。」
少しさびしそうに微笑むグミの顔は美しかった。
「そうか。」
俺の返事は間抜けで、少しガキみてぇだと自分で思った。
グミが、新しい親となる2人と一緒に車に乗った。
「先生、お世話になりました。
皆も元気でね!!」
グミはいつもと変わらない笑顔でこの『家』を去る。
さようなら、グミ。
グミを乗せた車が見えなくなり、皆が家へ入っていったとき、メイコ先生にある手紙を渡された。
「これ、グミちゃんが。グミヤ君にって・・・」
俺はそれを受け取り、薄い黄緑の封筒をあけ手紙を取り出した。
グミヤへ
グミヤがコレを読んでいるとき私はもう、グミヤの横にはいないと思うと少し寂しい。
でも、大丈夫。
私たちはどんなに離れていても一緒でしょ?
向こうで落ち着いたら、孤児院にグミヤ宛の手紙を書くから、グミヤも手紙を頂戴?
約束よ!! もし、この約束を破ったそのときは孤児院に行ってお説教するから。
大丈夫。寂しいけど、
私の思いは、海よりも深くて、空よりも高いから、きっと届くよ。
グミヤも同じだと良いな~。
私はグミヤの事が大好き。
だから、私は泣かないよ?
また会える日を信じてるから―
グミより
グミの手紙を読み終えた俺の頬には涙が流れていた。
いつもと変わらない風が吹きぬけ、俺は自分の未来へと1歩、歩き始めた。
【グミ誕生祭】君のいない未来へ
グミ、誕生日おめでとー!!
グミ誕生祭だというのにグミヤ視点なのは気にしたら駄目。
コメント8
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ご意見・ご感想
林檎
ご意見・ご感想
泣きました。
本気で泣けます(´;ω;`)
2012/05/15 06:44:52
紅華116@たまに活動。
ここぁさん>
返信遅れてすみません!!
コメントありがとうございます^^
泣ける話に挑戦してみてよかったです^^
2012/05/21 14:42:21
紅華116@たまに活動。
その他
注目の作品入りするとは思いませんでした!
感謝です^^
2012/05/06 17:50:42
美亜 瑠璃
ご意見・ご感想
はじめまして 美亜瑠璃の片割れ 美亜と申します。
いい話だっ!
個人的にこういうの大好きですww
そしてGUMIを引き取るのは ルカとがくぽ…。
いいですいいです、それでいいんですっ←
GUMIちゃんの優しさが…うぅっ…。
感動をありがとうございました^。^
2011/07/26 11:31:53
紅華116@たまに活動。
はじめましてっ!! 美亜さん^^私の駄文にコメントをありがとうございます☆
良い話といってもらえて嬉しいです><
私もこういう話は好きですが、自分の駄文ではなかなか表現しきれてない部分が多くあるので残念な感じになってます(汗
グミを引き取る人を誰にするか結構迷ったのですが、それで良いと言ってくれるならありがたいです^^
グミは優しい子だと思うんです((何故 なんとなくですが…
感動してくださってありがとうございました><
2011/07/26 20:33:07
シベリア
ご意見・ご感想
メッセージ遅れた…orz
グミは偉い…泣かないで笑顔で行くって!
グミヤかっこええのう…泣き顔…2828((((マジでお前は何でいつもそういうことばかり…
結局はグミヤも引き取られるのかな…じゃあうちがひきとr((((
2011/06/28 17:40:47
紅華116@たまに活動。
シベリア>
メッセージが遅れてもくれたことに変わりはないのでイイのよ!!
グミはいい子ちゃん設定!!
泣き顔2828(((((大丈夫。私も仲間だ。
駄目だよ!!グミヤは私が引き取るんだから←
2011/06/28 21:11:36