6月ハーモニー 双子蜜柑 そのはち
「こ、これなんかいいんじゃない?ねっ?リン!?」
お店に入ったメグミはそう言って、フリーサイズの白のワンピを私に渡してきたので
「急にどうしたのよメグミ?なによ?」
するとメグミは私に顔を寄せ、小声で
「こ、ここで服選びのセンスをレン君に見せとかないと、レン君に私が
ダサい服を着る女って思われちゃうじゃん!?レン君にはさっき
ああ言ったけど、わたし普段からこうゆう格好なの!だからリンお願い!!
私が選んだ服着てくれる!?それでレン君に服のセンスいいねぇ~って
言われてみたい!!お願いリン!協力してくれない!?」
「はぁ!?なに言ってんだアンタ!?ツッコミどころがいっぱいあるぞ!?」
「わ、私ボケてないよ!?なんでツッコムのっ!?」
「いやボケてるよ!まずダサい服着てる女って思われるなんて知らねぇーよ!?
次はそんなセンスの無いアンタに服を選んで欲しくないよ!!
センスがあったら、んな服着ないっしょ!?そんなセンスの無いアンタが
選んだ服でセンスいいねぇ~とか言われねぇーから!!
だから私はアンタに協力なんてしねぇ-から!!断固として断る!!」
「そんな酷いこと言わないでよ!!お願いだからリン!!
わたし頑張ってセンスいい服選ぶから!!だからお願いします!!」
「てゆーか、それ私じゃなくてもよくね!?メグミが自分自身の服を
選べばいいんじゃない!?自分で選んで自分で着なよ!
そうだよ!そうすればレンにセンスいい服着てるねって言われるよ!?」
「ヤ、ヤダよ!!自分で選んでもそれが似合ってるかどうかが分かんないの!!
それが分かってたらこんな服着てないよ!!もっとセンス良くなってるよ!!
でも人に着せるのは違うでしょ!?だからお願いリン!!」
「ヤダよ!だってアンタ、このワンピだって適当に取ったんだろ!?
私はこんなの着たこと無いんだよ!!なのにいきなり着れってゆーのか!?」
「着たこと無いんだったら逆にいいじゃない!?着たこと無いやつ着れば、
新鮮だね~って言われると思うよ!?そうしたら私にもお零れの褒めが!!」
「お零れ狙いなのかよ!!ヤダよ!!こんなヒラヒラは恥ずいって!!
私の今の格好を見てみろよ!!こんなパーカーにショートパンツだよ!?
こんなのを普段着ている私がいきなりこんな、レースワンピースって
言うのかな?こんなのを着ろってのか!?なんですかこのヒラヒラは!?」
私はワンピの裾のレースをつまんでメグミに尋ねると
「いいじゃん!!可愛いじゃん!!そのレースがいいと思って選んだの!!
はい!試着室へ行ってください!!店員さーん!試着室お願いしまーす!」
メグミが私の背中を押して、強引に試着室に行かせようとさせたので
「嘘つくなよ!!アンタ絶対に適当に選んだろ!?押すなよ!!
着るなんて言ってねぇーよ!?ほら見ろ!アンタが呼んだせいで、店員の
お姉さんも試着室の準備しちまってるじゃねぇーか!着ねぇーっての!!」
しかし私が拒んでいると、店員のお姉さんも来て
「恥ずかしがらなくていいのよ~?は~い行きましょうか~」
私の手を引っ張った。
なので背中はメグミに押され、手はお姉さんに引っ張られてる私。
「アンタ強引だな!?いいのかよ!?店員がそんなに強引に客の手を
引っ張っていいのかよ!?ちょ、メグミ止まれっての!!押すんじゃない!!」
「レン君もリンがこうゆうの着てるのを見てみたいよね~?」
しかしメグミはお店の外に突っ立っているレンに協力させようとしたので
「ちょ、レン止めてよ!!メグミとこのお姉さんを止めてっての!!」
しかしレンはポケットに手を入れたまま
「いいじゃん、着てみれば?そうゆうのって案外リンに似合うんじゃない?」
「おぉーい!?なに裏切ってるんだよ!?」
「いや裏切ってないよ?だって今日は服見るって約束だったじゃん?」
「約束なんてどうでもいいよ!!私は助けて欲しいんだよ!!」
「そんなに恥ずかしいのか?だってリン、そうゆうの着てみたいな~って
いっつも言ってんじゃん?だったらいいじゃん?」
「うぉい!?た、確かに言ってるけどさ~」
レンの言葉を聞いたメグミがチャンスと思ったのか
「着てみたいと思ってたんならいい機会じゃな~い。行ってらっしゃ~い」
トンッと背中を押されて試着室の前に来てしまったので
「くそ~分かったよ…着ますよ…着ればいいんでしょ?メグミ…覚えておけよ?」
「はいはい…早く着てきてね~」
悪気のない顔で手を振るメグミに若干の殺意を覚えながら
「……行ってきます…」
試着室に私は入った。
試着室に入って、ワンピを着てる自分が写っている鏡を見て
う~~ん……ヒラヒラだ…
私が着ているワンピはインナーキャミが付いていて、シンプルなシルエット
なんだけど、裾の繊細なレースがとても可愛らしい。
私はその裾のレースを両手でつまんで、広げてちょっとポーズを取ってみた。
やべぇ…すっげ~可愛いと思うが…
ワンピなんてあんまり着たこと無いから……恥ずいぜ…
私は試着室のカーテンを少しだけ開け、店員のお姉さんに
「ど、どうですかね…?へ 、変じゃないですかね…?」
するとお姉さんは両手を合わせて
「あら~可愛いじゃな~い。似合ってるよ~~ねぇねぇ、友達も来てよ!
すっごく似合ってるから!そっちの弟くんも見に来てよ~」
メグミとレンを手招きして呼んだ
「うえぇ?もう2人に見せるの!?マジで!?」
するとお姉さんがカーテンを全開にして
「じゃ~ん!とっても可愛くなりました~!」
まずメグミが
「あ~!!可愛い可愛い!!いいじゃん!似合ってるよリン!!」
次にレンが
「おぉ…なんか……うん、いんじゃん?似合ってる似合ってる…」
私はレンの言葉に違和感を感じたので
「レン…今、なんか雑誌の子みたい…とか、いつものリンじゃないね~とか
言おうとしたでしょ?ねぇ?」
「そ、そんなこと無いぜ!?一目見て可愛いって思いました!!」
言おうとしやがったなコイツ…
私は試着室から出て、靴を履いて
「なんか…さっきまでパーカー着てたからか、腕が少しスースーする…」
ワンピは薄手のやつなので、少し透けていて二の腕が見えている。
サラサラしてて、着心地はいいけど…
するとお姉さんがネイビー色のカーディガンを持ってきて
「じゃあこれ着てみたら?そのワンピは春夏に着れるやつだけど、ほら、
梅雨の季節って寒い日もあるでしょ?だからこれ着たらいいんじゃない?」
するとメグミが
「あぁ~私もそう思ってたの!リン!これ着なよ?ねっ?」
ずるいなぁ~コイツ…
私はお姉さんからカーディガンを受け取って、羽織ると
「あぁ~いい!似合ってるよリン!」
「おぉ~なんか…お姉さんって感じだ…」
メグミもレンもまた褒めてくれたので
「本当っ!?えへへ~お姉さんどう?」
「うん。似合ってるわよ」
みんながみんな褒めてくれたので、私はいい気分になった
買っちゃおっかな~
「お姉さん!これ合計いくら!?」
するとお姉さんが笑顔で
「3万7300円です。」
いい気分が粉砕された瞬間だった
!!
さ、3万7000円!?
高っけぇ~これは無理だ!!
「どうする?このまま着ていく?」
お姉さんの口調は、もう買うことに疑いを持ってない口調だが
「え、え~っと…」
レン…持ってる?
目だけで尋ねると、無言の会話で
いいや…持ってない……リン、それは無理だ…止めとけ。
だよね…さすがに買えないよ…8000円ぐらいだったら買えるんだけど…
女物の服って高けぇ~のな……あっちのキャミは3000円なのに…
ピンきりなんだよ…高いものは高いのよ…
だからって高すぎじゃね?なにがそんなにするの?ワンピのほう?
そうみたい…値札には税込みで2万9800円…で、カーデが7300円か…
うん…諦めてください…お年玉で買ってください…
くそぉ…
するとお姉さんが
「なに双子で見つめ合ってるの?で、このまま着ていく?」
やばい…このままだと、お金も無いのに買うことになってしまう…
ここは見に来ただけって言うか…
「え、え~っとね…今日は見るだけだから、また今度に買いに来るね?」
私が笑顔で言うと、お姉さんはにっこり笑顔のまま
「え?買わないの?じゃあごめんね~その服、今すぐ脱いでくれるかな?」
っ!!??
や、優しく言ってるけど怖ぇー!!
「え、え、え?な、何で急に態度が、か、変わってるの?」
急に変わったお姉さんの態度に、レンもメグミも絶句してる
「だって~買わないんでしょ?他にそれ欲しいってゆうお客様いるし~~脱いで…」
ワンピとカーディガンを指差してきたので
「は、はい!!すぐに脱ぎます!!」
私が試着室に逃げ込むと、お姉さんが2人に
「君達も買わないんだったら~じゃあ……どうするのかな?」
「「リ、リン!!外で待ってるね!!」」
ダダダッ!!
2人分の足音が遠ざかっていった
「え!?ちょっと2人とも、ま、待って!!」
すると試着室の外から
「服脱げた~?なんだったら手伝おうか~?平気~?服汚してない~?」
「平気です!!もうちょっと待ってください!!汚してません!!」
「ごめんね~大事な商品だからさ~お客様には汚れてる物は売れないからさ~」
「そ、そうですよね!!も、もうちょっと待ってくださいね!!」
「私も~君達が買わないって分かってたら入れなかったんだけどね~
ごめんね~これは完璧に私のミスなのよね~本当にごめんね~」
「いいえ!!買わないのに入った私達が悪いんです!!すいませんでした!!」
「ううん~君達は悪くないよ~悪いのはぜ~んぶ私なんだよ~失敗失敗」
「本当にごめんなさい!脱げました!!着替え終わりました!!」
試着室のカーテンを開け、笑顔のお姉さんに服を渡した。
「そ、それでは失礼しました!!」
そして私がお店の外にいる2人の元へ行こうとしたら、お姉さんが私の耳元で囁いた。
「子供の時みたいに髪を伸ばしたら、この服を買いに来てね?鏡音リンちゃん」
6月ハーモニー 双子蜜柑 その8
6月ハーモニー 双子蜜柑 その8です
お姉さんは世にも奇妙な店員さんです……
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