息もできない時間が数分にわたって続く。少しだけ長い髪を後ろへなびかせてカイトは目に涙を称えてこの世のものとは思えない恐ろしげな悲鳴を上げ続けた。
「いやぁぁぁぁぁああああああああ!!」
「カイト、うるさいわね。落とすわよ。…つかまっていて!飛ばすわよー!」
「ひぃぃぃぃいいいいいいい!!たすけてーーーーーーーーーーー!!!」
とは言ってもここは高速道路のど真ん中、メイコはバイク一台で高速に乗っかって、飛ばしまくっているのだ。
スピード狂のメイコはなりふり構わず飛ばすが、そのあたりの感覚はカイトの方が幾分か普通に近いのだろう、すでに苦笑いしながら失神寸前まで来ていた。
それからカイトにとっての地獄、メイコにとっての天国は数十分に及び、続けられた。
「もうっ、カイトったらだらしないわね。こんなんで気絶しちゃうなんて。着いたわよー。カイト、カイトったら!」
「…へっ?ああ、うん。めいちゃん、おはよう」
「寝ていたの?」
「…いや、三途の川を渡りかけたよ。向こう側にさ、アイスの花が咲いてた」
「末期症状ね」
ふうと息をつき、バイクを一軒の家の前で止めてチャイムを鳴らした。家の中からドタバタと大人数が走ってくるような音がして、ドアが勢いよく開いた。
中からでてくるなり、メイコの胸に抱きついて
「メイコ!はよー!」
といってきた紅い青年は“アカイト”、その後に出てきてカイトの足にしがみついてきた小さい青いのは“ショタイト”、通称チビカイト。その後からも出るわ出るわ、あふれるように出てくる。
後ろで少し恥ずかしそうにうつむいている緑色のは“ニガイト”で、チビカイトが頭に載せている小さい猫は“ヌコカイト”、玄関の端っこのほうに立っている唯一の女性は“カイコ”だし、その手に抱かれている頭に若葉のようなものが生えているのは“種カイト”、玄関横の階段から引き摺り下ろされてきて不機嫌な“帯人”と、彼をどうにかひっぱってきた優しげな青年は“キカイト”だった。
皆、カイトとよく似た外見だった。
ふとメイコが、キカイトに聞いた。
「あら?メイトは、どこに行ったの?」
「ああ、メイトさんなら、いつものところに行ってますが」
「またなの?」
「またです」
そういって笑うとキカイトは帯人をつかんでいた手を解いて、何度か手をたたいて白い手袋についた汚れをほろった。
そのとき、メイコの背中に重いものがのしかかってきて、ついメイコは小さく悲鳴を上げてしまった。
「きゃっ」
「…ひど。メイコ、おれだよ。おれおれ」
「私の知り合いにおれなんて名前の人はいないわ」
「相変わらずかわいくねぇな。メイトですけどぉ。ちょっと酔ったかも」
「酒くさっ!昼まっから。まったく」
「とにかく中に入ってよ、二人とも。…メイトは入ってこなくってもいいです!」
そういうとカイコはメイコとカイトを中へ招きいれ、メイトが中に入り込む前にドアの鍵を閉めた。
カイメイ&カイカイカイ… 2
えーと、登場人物が多いので軽く紹介を。
「メイコ」今回のヒロイン。スピード狂。姉御肌。
「カイト」天然。アイスが大好きで、メイコのことがスキ。
「アカイト」ちょっとH。辛いものには目がなくて、いたずら好き。
「ショタイト」通称チビカイト。つまりちっちゃいカイト。
「ニガイト」少し暗い少年。もう少しで成年くらい。
「ヌコカイト」猫。
「カイコ」カイト亜種たちの中で一番のしっかりもので、唯一の女性。
「種カイト」アイスに埋めると生えてくる。
「キカイト」常に敬語。目はすこしたれ目。
「帯人」無口で感情を表に出さないことが多い。密かに血を見ることがスキ。
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