『大体のこんにちわ。
たくさんのさようなら――』
毎朝僕を急き立てるように起こす、目覚ましが壊れた。
いつもだらだらと二度寝に入りかける僕を叱咤するように鳴り続ける目覚ましが。
いつから使っていたなど覚えてもいないが、壊れてしまうとどこか物悲しい。
歯車の音が消えた目覚ましを、ベッドに放る。学校から帰って来たら捨てようと思った。
中学二年生という歳は、色々と物騒な事を考えてしまうのだそうだ。
地球が滅びればいい。
なんてことを考えたりはしないが、退屈はいつも感じていた。
授業がつまらない訳ではない。勉強もそこそこできる。友もいる。
しかし何かが喪失している。
僕の場合はそれが、この歳で感じるという『色々な事』の一つだと思っている。
休み時間に一人でいる事は滅多に無い。何人かのクラスメイトと雑談をするからだ。
しかし、ふと教室を見渡すとちゃんと一人で休み時間を過ごすことのできる者もいる。
そういう者は極少数である為、多少目立つ。僕もしばらくして「彼女」に気づいた。
僕は最近、彼女を眼で追っている。それに気づいた時、ちゃんと青春を謳歌しているのだと安心した。
彼女に友はいる。時たま、楽しく雑談をしているのを見かける。
しかしその友もどこか他の教室へ行ってしまう時がある。
僕は彼女が後を追うものだと思っていた。しかし彼女は面倒そうに、眠たそうな目を瞬かせ、席に座り音楽を聴き始めた。
僕は気付かれないように彼女の正面に回って、どんな表情をしているのだろうと顔を盗み見た。
てっきりさぞやつまらなさそうな顔をしていると思っていた。
彼女は窓側という席の利点を充分に生かし、晴天の空を楽しそうに眺めていた。
僕は彼女が心底羨ましかった。何故そんなことで楽しそうになれるのだろう、と。
しかし僕の評価とは裏腹に、他の人は彼女に対してあまり友好的では無かった。
一人で過ごす休み時間程、寂しいものはないのだと、そういう人種は彼女を影で嘲っていた。
僕はいつしかそんな人種の塊の中に居た。
悪意があるような、ないような曖昧な言葉を影の彼女にぶつける。
彼女も気づいている。しかしそんなの相手にもしていなかった。
僕は彼女が好きなのに、彼女に最もどうでもいいと思われる人種だと記憶されてしまったらしい。
学校が終わった。カラオケに行こうと言うクラスメイトの誘いを断り真っ直ぐ家に帰る。
面倒だった。
そのクラスメイトはプライベート等で遊ぶと、押しつけるような要求ばかりしてくるからだ。
寂しさ楽しさと面倒を天秤に掛けると、どうやら僕はこちら側に傾くようだ。
何故だろう。最近は一人というのもそれほど苦では無くなった。
少しでも面倒だと思うと断ってしまう。最近は誘われることも少なくなってきた。
玄関を開け、帰宅を宣言する。返事は無いだろうとわかっている。みんな忙しくまだ帰宅していないのだ。
帰宅を告げるのは癖だろうと、適当に考え、自室に戻る。
適当にケースから出したCDをコンポに入れ流す。
流れ始めた音楽を無心で聴いていると、彼女はどんな気分で音楽を聴いていたのだろうと思った。
わからないなと肩を落とし、ベッドに突っ伏す。しかし鳩尾あたりに何かが当たった。
痛みに顔をしかめたところで、ようやく思い出す。
目覚ましを手に取り、止まってしまった秒針を見ていると自分のようだと感じた。
心が止まって成長しない。
そんな風に考えてみると、少々悔しくなってきた。
突然、動いている秒針が見たくなった。
目覚ましを鞄に突っ込み、大して使うことの無かった小遣いを財布にいくらか入れる。
虚無な日常と感じるなら自分でぶっ壊してみればいい。
これが、まず最初の壁。変えてみよう。行動してみよう。
扉を開ける。天気は晴天。時刻は午後三時過ぎ。
ひとつの目的は、動いた秒針を見ること。
ひとつの目的は、感じた事のない考えを見つけること。
「いってきます」
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ファントムP
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香夢
ご意見・ご感想
ままままさか、メッセージを頂けるとは…。ありがとうございます。
本当に突発的に書いてしまったので、計画性も何もないのですができるだけがんばらせて頂きたいと思います。
レンサイド、リンサイド合わせ全四話の予定。
2009/09/03 03:57:22
yu_lei
ご意見・ご感想
はじめまして。
こういう『中二病』的な文章大好きです。
なので別sideを読んでみたい!です。
自分も遅筆なので人のこと言えません。
なので待ちます!
2009/09/03 02:41:42