ミク視点
『エンジェルボイスター、まもなく着陸します』
『分かったわ』
ブリッジからそんな会話が聞こえる。
あの戦いの後、私達は島に戻って来た。
多くの大事な物を失って。
「…セリさん…リユウちゃん、メイコ姉、カイト兄…」
私達、勝ったんだよね?悪UTAU達と、決着をつけたんだよね?
「でも、まだ敵は残ってる…」
操られていたUTAU達は、洗脳を解いて皆眠っていた。
ルナちゃんも、皆。
ただ、気になる事がいくつかありました。
一つは、一部のUTAUの消息。
ユアさんのお婆様の話だと日本で保護されているらしく、其処はほぼ問題ないらしいのですが、私は少し心配だった。
二つ目は、ノイゼリエスという存在。ルゥネちゃんやユウさんを動かしていたのはその存在らしく、悪UTAUの一件についてもその存在が関わってるらしい。
「ミク、大丈夫か?あんまり無理してると、ファンの人達にも、皆にも心配かけるぞ」
「クオ君…」
気付けば後ろにクオ君がいた。
クオ君は少し心配そうな顔をしていた。
「まさか、あんな形で悪UTAUとの戦いが終わるとはな…」
クオ君は悲しそうに言った。
メイコ姉とカイト兄の事だと私は悟った。
私達は、失ってばかりだ。と少し思った。
「リオさんもルゥネちゃんを追ってどこか行っちゃったみたいだし、ユウさんも、ユアさんの話だと様子がおかしくなったって…。もしかしたら、次会った時は完全に敵対するかもって…」
「…」
クオ君は、何か言おうとしたけど、俯いた。
慰めなんて、言ったってどうにもならないと思ったのかもしれない。
「…さて、こうやって暗くなってるのも仕方ないから、早く収録に行こうっと」
「え、ミク、大丈夫なのか?」
「大丈夫大丈夫。だって、本当に悲しくて泣きたいのは、私達だけじゃないんだよ。メイコ姉とカイト兄うしなって、リユウちゃん失って、セリさん失って泣きたいのは…私達だけじゃっ…ないん…だよぉ…」
気付けば、私の頬には涙が伝っていた。
そして、その涙は絶える事無く、流れ続けた。
「うわああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
「…我慢しなくて良いんだよ…。俺だって、悔しいんだよ…。目の前で、何も出来ずに…仲間が死んでいって…家族同然もの人達が死んで…!!」
クオ君に抱きしめられたまま、私は泣いた。
心なしか、クオ君の頬にも、涙が伝っている気がした。
******************************************
ララ視点
「ねえ、ルビアさん」
「何かしら?ララちゃん」
私は、ルビアさんと一緒に食堂に居た。
食堂には、キリアちゃんやヴァンちゃん、ヴォン君、ルンちゃん、ロン君が居た。
キリアちゃんやヴォン君ヴァンちゃんは、怪我をしているようだった。
「マキ君は、どうなんですか?」
私は、マキ君がルビアさんの隣に居ない事に気付いて、そう尋ねてみた。
「マキね…いま、部屋にいるわ。きっと、あの戦いの時の…」
「…リオさんの事、ですか?」
「それだけじゃないわ、メイコさんやカイト君の件も重なって…」
「…」
「私がついてたほうが良いと思ったのだけれど『一人にして』って」
「そう、なんですか…。リオさんは、あの子…ルゥネちゃんを追ってるんですよね」
「きっとそうね。あの子の事が気になるって、救ってあげたいって言ってたもの」
これから私達は、どうなるんだろう。
きっと、新たな戦いに巻き込まれて行くんだろう…。
ノイゼリエスをなんとかしなければ…。きっと、この世界が壊されてしまうんだ。
「アクア、私達…大丈夫なのかな…?」
(きっと、大丈夫さ)
そうだと、良いんだけどね。
*************************
ユア視点
「ノイゼリエスという存在…ユウの突然の異変…そして、これから出現すると思われる、新たな敵…」
「お母様、私達の戦いは、まだ完全に終わったわけではないのですね」
私とお母様とお姉様と実衣さんは、作戦会議室で、これからの事を考えていました。
「暫くは、この島に滞在するとおもうけど、それも時間の問題ね。敵が新たな敵を放ってきたら…」
お姉様は、少し懸念するような顔で言いました。
私も、それが一番の心配でした。
きっと、敵は悪UTAU以外の敵を送ってくる…。
「入っても良いでしょうか」
「ええ、いいわよ」
「失礼いたします」
部屋に入ってきたのは、3人のVOCALOIDでした。
「…遂に完成したのね…」
「はじめまして!あたしの名前はCUL(カル)!」
「はじめまして。私はIA(イア)と申します」
「結月ゆかりです~。宜しくお願いいたします~」
彼女達はVOCALOID3の人達。
恐らく、先程「入っても良いでしょうか」と聞いたのはIAさんでしょう。
「お母様、この方達が…」
「そう、新しいVOCALOIDエンジン。VOCALOID3の子達だよ」
「はじめまして~ユア様ですね~」
ゆかりさんは、私の手を握ると、キラキラした顔で私に向かいました。
「はい。はじめまして、ゆかりさん」
「ん~ゆかりさんっていうのは~少しあれですね~。気楽にゆかりって呼んでください~」
「えっと、じゃあ…ゆかりも…私の事は、ユアと呼んでください」
「はい~了解致しました~」
「ええ~ゆかりんだけずるい~っ!あたしもユアさんにカルって呼んでもらう!」
「もう、ゆかりもカルも、すみません。ユアさん」
「いえいえ、いいですよ。それにしても、にぎやかで良いですね」
「そうですか?私はあの二人の世話で…」
彼女達は、これから起こる戦いをまだ知らないのでしょう。
そして、この前まで起こっていた、悪UTAUとの戦いも、彼女達は知らない。
メイコさんやカイトさんの死も、まだ知らないでしょう。
「今はまだ、貴方達はゆっくりしていてくださいね。そして…ごめんなさい…」
「…ユアさん…?」
「これから、私達は、貴方達を巻き込んでしまうかもしれません…」
私は、三人にしっかり向き合って言いました。
「それでも、貴方達は私達に、ついてきますか?」
「はい、私達は、歌う為に生まれてきました。でも、この世界の平和を脅かす者達は、絶対に許しません」
「あたしたちは、生まれたときから覚悟きめてるんだよ!」
「ユアは気にしなくて良いんです~私達は~悪UTAUとの戦いの事を~聞きましたから~」
三人の覚悟は、私にも伝わりました。
「…はい、では、私達も、一旦休みましょうか」
「…そうしよう。ね」
私達の戦いは…まだ、つづく。
第1部。終了
歌姫戦士ボカロボット第47話
次回はちょっと息抜き編
次回予告
ララ「私達は、ユアさんに息抜きと称されて島の旅館に連れてきてもらった。そこで起こる大乱闘!大喧嘩!大暴走!ちょっと、これって息抜きじゃないの~!?次回「息抜き旅館ツアーズ!」い、息抜きじゃ…ないよ……ユア…さん…」
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大道芸人や手品師たちが集まる街の広場で、私は毎日歌っていた。
だけど、誰も私の歌なんて聞いてくれなかった。
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ピノキオPの『恋するミュータント』を聞いて僕が思った事を、物語にしてみました。
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あろうことか前・後篇あわせて12ページもあるので、どうぞお時間のある時に読んで頂ければ幸いです。
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ご意見・ご感想
tako
その他
あけましておめでとうございます^_^
久々の投稿ですか?
こちらは2話目の原画が滞ってしまい、申し訳ない状態なのですが、そちらは保留して現在3話目(ゲスト:キリア&イアル)の原画を進めております(・_・;)
これには理由がありまして、実は2話目の原画はページを振っていくと4ページで完結するのですが、3話目はなんと推定で6~12ページになってしまい、非常に時間がかかるため、3話目の原稿を優先しているのです(-.-;)
受験シーズンなので、済ませるなら長いものをさっさと済ませて受験に挑もうと思った結果です(>_<)
もう少しで3話目が完成するので期待しない程度に待っててください(^_^;)
ではでは(^_^;)v
2013/01/03 21:17:18