俺はただの男だ。
一昨日誕生日だったから21歳+2日が今の俺の年齢だ。
特技は履歴書に書けるようなもんじゃないがベースの演奏と作詞のセンス、つい
でに言うと某弾幕シューティングゲームを最高レベルでノーコンテニュークリア
ができるくらいだ。
趣味はゲームとか。
ついでに言うと俺は今、社会問題になっている働かなくて勉学に励まないタイプ
の人間である。
いわゆるニートだ。
一応俺だって仕事はした。
だが三日と持たなかった。
だから今は親の仕送りで生活している。
んで、今日はコンビニで今晩のお食事を買った帰り道だ。
「きょ~うのわたしはか~わ~いいのよ、、」
やっぱし駄目だな。
俺には歌のセンスが無い。悲しいな。作詞作曲はいけるのにな。
そんなことを考えながら歩いていると一人のオッサンと少女が手を繋いで走って
いる。何かから逃げてるみたいだ。
「怪しいな。父親と娘、、、には見えないしな。よし。尾行だ。」
と、その時は軽い気持ちだった。だがそれで俺が危険な道を進むとは思いもしな
かった。
裏路地に二人は誰かから逃げるように入っていった。
「裏路地とかに入っていくなんて怪しんで下さいって言ってるようなもんだ。写
真でも撮って週刊誌にでも売り付けてやるかwあの人なんか偉そうだし、金になるぞ~w」
おふくろの誕生日も近い事だしなと心の中で言い訳しながら俺も裏路地に入る。
携帯のカメラを起動する。
「ん~。暗くて上手く写んないな。」
そう思っていたらいかつい男が二人さっきのオッサンを囲んでいた。
「あの女の子はどこに行ったんだ?」
そう思っていたらオッサンのうめき声が聞こえた。男達は消えていた。
俺は何も考えずオッサンに近寄る。
「おい!あんた大丈夫か?しっかりしろ!」
オッサンは俺がすぐに駆け付けたことにさほど驚いていない。
「今助けを呼ぶから安心しろ。」
「その、、必要はな、、い。それより、、ミ、、ク。ミクを、、頼む、、」
オッサンの体が段々蒸発していくかのように湯気がたっている。
「ミク?さっきまであんたの側にいた女の子か?」
オッサンは苦しそうに頷く。
「この近くに、、隠れ、、、ていると思、、、う、、」
オッサンはそういうと上着のポケットからUSBフラッシュメモリを取り出し俺
によこした。
「え?何だ?」
何か言いたいらしいがもう声が出ないらしい。金魚みたいに口をパクつかせてい
る。
「大丈夫か?しっかりしろ!」
オッサンの体から湯気がすごい勢いで出ている。
次の瞬間。オッサンの体が破裂した。
ただし何も飛び散らずに。
「な、、!」
さっきの男達の仕業か?「と、、とりあえずあの女の子を、、」
当たりを見回す。
「どこかに隠れているのか?」
見るからに誰かが隠れていそうなごみ箱。
周りには生ゴミが大量に散らばっている。
俺はごみ箱を開ける
「、、、、」
そこには緑の髪の女の子が無言で俺を見つめていた。
「お前がミクか。」
「正式名称はV201。通称VOCALOID2初号機。」
「さっきあんたと一緒にいたオッサンはミクって言ってたが?」
「あの人は山葉博士。オッサンではない。博士は私達に名前をくれた。」
「じゃあそれがミクってわけか。」
「そう。初音ミク。それが私の名前。」
「まあいい。そん中は窮屈だろ。出な。んでとりあえず俺ん家にこい。一応歓迎
する。」
「わかった。」
それからミクと一緒に家路についた。
一応人通りが多い道なら安全だろうと思い遠回りをして帰った。
そして俺はミクから色々と聞き出した。
ミクには四人の兄弟がいること。
んで今はみんな離れて暮らしていること。
そして正式名称とか言ってる時点でうすうす気付いていたがミクは人造人間だということ。
「着いたぞ。」
「、、、」
「とりあえずお前は風呂に入れ。そのままだとせっかくの美人が台なしだ。」
「わかった。」
「着替えは、、、」
「大丈夫、これは研究所のつなぎ。普段着ているものがある。」
「そうか。んじゃわかんない事があったら呼んでくれ。」
無言で彼女は頷き、俺は脱衣所を後にした。
10分後、ミクが出てきた。
「お、かわいいじゃん。」
全体的に緑が多いが彼女の髪の色と同じでかわいらしい。
「んじゃ飯にすっか。って一人分しかないか。えーと、田舎から送られてきた野
菜があったはず、、、」
ネギしかない。
「、、、」
「、、、」
沈黙が続く。
「ネ、ネギしかないけど、、」
黙ったまま頷くミク。
俺も黙ったままキッチンへと向かう。
十五分後。
「ネギばっかりだけど、、、まあうちの田舎のネギは美味いから、、、」
「いただきます。」
「ど、、どう?」
不安。ネギをただ焼いただけの料理とは言えない代物だ。
「美味しい。」
驚いた。母親がゴスロリ人形の漫画にはまったとき以上に。
「う、、嘘だろ?」
「私は嘘はつかない。」
結局山盛りのネギを一人で食べ切ってしまった。
「そんなに好きなのね。」
「初めて食べたから。」
「?今までネギを食べたこと無かったのか?」
「ネギだけじゃなく食べ物を口にした事がない。」
「なんで?」
「私はずっと研究所のカプセルの中で過ごしていた。」
「そうか、、」
「、、、」
沈黙を紛らわすために俺はベースを手に取る。
我ながらなかなかの演奏だ。
「、、、」
「どうだ?俺の演奏?」
「何故歌わない?」
「いや、、下手くそなんだよ。」
「じゃあ私が歌う。」
「へ?歌うって、、」
「私はVOCALOID。歌を歌い人を幸せにするために作られた。」
「そうなのか。」
「だが今は兵器として開発が進められてる。」
「そうなのか、、、ま、まあ試しに歌ってみてよ。」
俺は譜面をミクに渡す。
「覚えた。弾いて。」
「お、おう。」
俺はギターを手に取り俺の今まで最高傑作であるメルトを弾く。
「お、、、」
上手いってレベルじゃねえ。プロ並じゃねえか。これがVOCALOID、、、
「流石だな。」
「VOCALOIDだから。」
「へへ、素直じゃねえな。」
「真実を述べただけ。」
「お前が上手いなら兄弟はどうなんだ?」
「わからない。会ったことがない。存在を伝えられただけ。」
「そうか。家族と離れ離れなんて寂しいな。」
「そんな事は無い。」
「やっぱり素直じゃないのね。」
時計は既に午前二時を回っていた。
俺はミクにベッドを譲り俺は隣のリビングで寝ることに決めた。
「さて、、、寝る前に例のあれをっと、、、」
俺はポケットからフラッシュメモリを取り出す。
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もっと見るこの物語は、一人の少年と手違い(?)で届いたVOCALOIDの物語である。
*
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望木來果(モウギ・ライカ)は4つ年下の従妹で、実家同士が近かった為に子供の頃はよく遊んでいた。
お互い大学入学を機に実家を出て、最近は直接顔を合わせる事は減ったけど、仲は良いままで連絡も取り合っている。彼女が『KAITO』の話をしていたのも、そんな中で交わした雑談のひとつだった。
* * * * ...KAosの楽園 序奏-004
藍流
Ah- Ah- Ah- Ah-...
Ah- Ah- Ah- Ah-...
Ah. 闇宵の灰雲 真紅の双眸と
蒼白い肌 頬を伝う弱者の刺青
Ah. 月読の命運 真紅の双眸は
生を捉え 刃を振る強者の死神
無意味な理(ことわり) 刻み付けた痕
振り翳した鎌は 彼奴の首を刎ねた
血が欲しいと 唸って
其...Dark_Blood -傷痕-
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A
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名前もなく 終焉(おわり)を待つ
遠くか細い声 聴きとれやしなくて
哀しすぎる 夢の果てで
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―Save your soul!...【鏡音レン】BLACK BIRD【コーラスKAITO・がくっぽいど】
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「コルぁ―!!!待たんかいクソガキどもオオオオ!!!!」
『待ったら殺すでしょめーちゃん!!』
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ご意見・ご感想
タラバ
ご意見・ご感想
>「怪しいな。父親と娘、、、には見えないしな。よし。尾行だ。」
その発想自体が犯罪者です。(笑)
あ、はじめまして。タラバといいます。早速拝見させていただきました。
内容は良くある、「非日常in日常」ですが、不必要な説明を排除し、描写を口語説明に織り込んでいるので大変読みやすく感じました。次回も期待しています。
小説に限らず、最新でない投稿物はすぐに表示されなくなってしまいますので、関連掲示板やコラボにリンクすることをお勧めしますよ?
ちなみに、このようなものを書いております。よければチラ見でも。
http://piapro.jp/a/content/?id=of2t8ddvqyovhskb
ではでは。
2008/05/09 00:44:10