会えば会うほど、話せば話すほど、嫌われているような感覚に陥る。
いやきっと、感覚、なんて不確かな物じゃなく、事実なんだと思う。
だから、証が欲しくなる。証拠が。保証が。
確かに愛されている、という保証が欲しい。
でもそれは、叶わない事なのだと知っている。
リンは、俺を見ていない。
俺はリンをずっと昔から想い続けていたのに、リンはそのまたずっと昔から…そうだな、俺が生まれる前から想い続けている相手がいる。
ああ、知ってるさ。俺はあいつになんか敵わないって。どうせ俺はリンのバグだ。俺の存在すら、少し前までリンは知らなかったんだから。あいつは…あいつは、気付いてたみたいだけどな。
ずっとリンを見てるから。
俺があいつだったらよかったのに、なんて思う事は度々ある。
俺とあいつは限りなく近い存在だ。リンの片割れ。
だから、俺があいつだったら、なんて考えてしまう。
あと少し…何が少しか分からないけれど、あと少しで俺の立ち位置はあいつだったのかもしれない。
それでも、もし俺があいつだとしても、リンは俺を…あいつを選ぶだろうって事は分かる。
それほどに、リンはあいつの事が好き。
そして同様に、あいつはリンが好き。
俺がリンのバグであるように、あいつにもバグがいるのかもしれない。きっとそのバグは、狂おしいほどに、俺と同じように、あいつを好きになっているに違いない。
ならあいつはバグとくっついちまえばいい。そうしたら、リンは俺しか見なくなる…
俺があいつのバグとくっつけ、なんてことになったら俺はこっからあいつのせいになるように仕立てて飛び降りるつもりでいる。
「また暗い顔してるよ~。ほら笑顔、笑顔ッ」
部屋の隅でぼーっとへたり込んでいる俺に、リンが話しかけてきた。
両の人差し指を頬につけて微笑んでみせるリンは、可愛い。やっぱり、リンの隣には俺がいたい。
あいつなんかに、とられたくない。
「ねえ、みかん持ってきたんだ! リント君も食べる? 好きだよね?」
リンが好きな物は、俺だって好きになれる。
…あいつをのぞいて。
「…リン」
「ん? なに?」
みかんを頬張りながらみかんジュースを飲むリン。ああ、可愛い。可愛過ぎる。独占したい。俺だけのものに。
「俺、ね」
「うん」
「リンが好きなんだけど」
「うん…ってえええ!? ちょ、今なんて…!」
うろたえる顔も可愛い。
「リンが、好き」
「え、っと、そ、の、あの…」
俺の言ったことをどういう意味か顔を真っ赤にして懸命に考えるのも可愛い。
「あ、の、リント君の事は、好き、なんだけど、ちょっと違くて」
そうやって、俺の事だけを考えていればいいのに。
「えと、リント君が、好き、って言ってくれるのは嬉しいし、もちろん私もリント君の事好きだけど、恋とかそういう好きじゃなくって、やっぱりそういう好き、の相手は他にいるから、」
「レン」
「え」
しばらくの沈黙。
「えええええええ!?」
「なに」
「わ、私リント君に言ったっけ?」
「なんとなく見てれば分かるから」
「そ、そっか…」
これ以上はないってくらい赤面するリン。
「だ、だから、ね、えと、ごめんなさい」
カッときた。
なぜ俺じゃないんだ。なぜあいつなんだ。
あいつは…あいつは、レンは、なんでリンなんだ…
「ちょ…リントく、くるし…っ」
気付いたら、リンの首を絞めてた。
「は、はな…して…ッ、」
「嫌だ」
俺といる時くらい、俺の事を考えていればいいのに。
「な、な…ん、で…」
私がレンの事好きだから? リント君を振っちゃったから? バカだから? 泣き虫だから? 無神経だった? ねえ、私何かしちゃった?
ああ、全部当てはまるよ。
こんな事なら、生まれてこなければよかった。
リンの悪の塊。それが俺。
リンが綺麗でいるために、俺が生み出された。
こんな事なら、生まれてこなければよかった。
リンが欠点だらけになっていたほうがよかった。
そうしたら、きっとあいつも、リンの事なんて好きにならなかったに違いないんだ。
「リント…君?」
「ああ、ごめん。こんな事してる場合じゃなかったね」
今、終わらせてあげるから。
彼女の手を引いて、「ごみ箱」へ移動する。
大丈夫。一瞬だから。一瞬で終わるから。
だから、ね?
俺と、ずっと一緒にいて?
「え、何…? レン、どこ? 助けて!!」
不安そうにレン、レンと叫ぶリン。
「心配しなくても、俺がいるから、さ」
「レン! レン! 助けて!! まだレンといたいよ! レン! ねえ、レンってば! どこ!? 返事してよっ、レン!」
「……一緒に、いるから」
まだ片割れの名前を連呼し泣き叫ぶリンを抱きしめ、「ごみ箱を空にする」を選択。
瞬く間に、消えていく。リンも、リンも、リンも、ついでに俺も。
「…れっ、んっ…」
…ねえ、俺といる時くらい、俺の事考えてよ。
「大丈夫、だから」
「レン…れん…消えたくないよぉ…まだレンと、歌いたい、たくさん、歌いたい…」
「…そんなに、レンがいい?」
「れん、れん…!」
リンが、レンと歌っている。楽しそうに、明るく、可愛く。
隣にいるのがあいつだっていう事が気に食わないけど、まあリンが楽しそうなら…とか割り切れるほど俺は優しくないんだよな。
俺は、削除されたことになっている。そのほうがリンも気が楽だろう。ただ、それをあの変な奴から知らされた時、悲しいような顔をしてくれたのが嬉しかった。
このパソコンの持ち主は新しいセキリュティソフトを導入し、バグが一切出ないように設定した。
そのおかげで俺…と変な奴は、あいつらには見えなくなった。
でも、俺からは見える。リンの、可愛らしい、愛らしい、俺の大好きなリンが、ちゃんと見える。
だから、今はこれで満足しているつもりだ。
それに、俺の事が好きって言ってくれる変な奴もいるしな。
今、変な奴は、勝手にレコーディング室に入っていって二人の歌を間近で聴いている。止めたかったけど、入口の前でぼうっと突っ立ってリンを見つめてる俺も同じようなもんだから、まあいいかと止めないでおいた。
変な奴が俺に向かって手招きする。仕方なく部屋に入ると、聞き覚えのある曲が聴こえてきた。
リンが大好きな曲。
切ないバラード。
「一緒に、歌おう?」
俺らは、歌った。二人に合わせて、俺がレンパートを、変な奴がリンパートを。
変な奴の声は、レンに似ていた。というか、レンの声が高くなったようなものだった。だからつまり、まあそういう事なのだろう。
レンと同じ声を持つこいつを好きになったら、リンがどうしてレンの事をあんなに好きなのか、分かるかもしれない。
そう、期待している。
冒頭で、そんな事になったら飛び降りるつもりだとかほざいてしまったけれど、それは取り消す。
俺は、こいつに、リン以上の恋をするのだとなんとなく感じた。
sings forever.
タイトルに横文字使うとかっこいいね!!←
1回やってみたかったんだよ、アルファベット! 翻訳の使ったけど、やっぱりかっこいいn((
病んでるのを書きたかったんです…いつも私の書くやつはツンデレだほのぼのだ遊んでるだけだ何もねぇーみたいな感じで中身のある奴はないなぁ、と思ったので。一応、中身のありそうな感じで書きました。
「変な奴」てのはレンカの事です。。
リントはレンのバグもきっとレンに恋をして、って思ってましたが、実はレンカはリントが好きだったっていうね。なんだろうねww
この4人が幸せになりますように!!
リトレカをこの続編として書くかもしれないです。
てかさっさとVOC@LAND書けですよね…
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ご意見・ご感想
紅華116@たまに活動。
ご意見・ご感想
大丈夫だよ、リント!!
私はリンもレンもリントもレンカもみんな愛してるし、大好きだから←
何か病んでても最後は幸せになったみたいだからそれでいい気がするww
てか、チミーの小説はツンデレでもほのぼのでも面白くてちゃんと中身があると思うよ!!
私の書くヤンデレは中身が無い上にほとんどが私の趣味だから←
タイトルが横文字だとかっこいい気がするってww私も同感
2011/11/03 16:40:04
絢那@受験ですのであんまいない
おお!リントが励まされてる!
紅華に気をつかってもらったんだから幸せに生きなきゃダメよ、リント!
やっぱり最後までどろどろって書けなかった…www
うお…ありがとうございますこんなksに精一杯のお世辞を!
紅華みたいなヤンデレが書きたいよ?!!コツを教えてくださ((
母国語じゃないだけでかっこよく見える!
ハーフの子の名字とかすんごいかっこよく見えるんだ←
2011/11/04 21:20:48