6月ハーモニー 双子蜜柑 そのじゅ~
俺はボールを持って、肩で息をしながら
「タ、タケル…俺達…はぁ…はぁ…今…はぁ…はぁ…何対何だっけ?」
タケルも俺と同じように肩で息をしながら
「はぁ…はぁ…え?…覚えて…ない…メグミなら…はぁ…分かるんじゃね?」
「そっか…はぁ…はぁ…メグミ…俺達…今…はぁ…何対何…?」
俺とタケルがベンチに座ってジュースを飲んでるメグミに聞くと
「ん~?70対70ぐらいじゃない?よく覚えてない」
メグミは首を傾げながら答えた
メグミには点数を数えててと頼んでないが、覚えてて欲しかったなぁ~
「ちゃんと…覚えててよ~…はぁ…なぁタケル?」
「てゆーか俺ら…はぁ…はぁ…何分やってる?もう…30分ぐらいやってね?」
俺とタケルが公園の時計を見ると、確かにタケルの言う通り30分は経って
いた。確か10分で交代ってゆう決まりだったはずじゃ…
するとメグミが当たり前のように
「うん。2人とも、もう30分はやってるよ?10分経ってもぜんぜん終わる
気配が無いから放っておいたんだけど…まずかった?」
「「えぇ~?何で止めてくれなかったの~?」」
そう俺とタケルが口を揃えて言うと、またもメグミは当たり前のように
「だって君達が揃ったらこうなるって分かってたし…」
「「……………」」
メグミのその言葉に俺もタケルも微妙な顔して黙ってしまった
俺達…メグミにバスケ馬鹿達って思われてたのか…
まぁ自分自身でもそう思ってたけど……ちょっとショックです…
そういう対応をされたってのが、なんとなくショックです…
俺はメグミに向かって
「メグミ~パ~ス…」
ボールをパスして、ふらふらと水道の所に向かっているタケルの後を、
同じようにふらふらと追って
じゃー!
タケルは水を出して、頭から水を被った
バシャバシャバシャッ!!
「冷てぇぇーー!!」
そう叫んだ後、タケルが水流から頭を出して頭を振って水を飛ばしたので
「俺も~」
俺も水流に頭を突っ込んだ
バシャバシャバシャッ!!
「冷てぇぇーー!!」
そんな水浴びをしてる俺達を見たメグミが
「よく男の子ってそうゆう事できるよね~?タオルだって無いのに…
どうするの?濡れたまま…って!?うわっ!?ちょ、ちょ、ちょっと!!
こ、こんな所で脱がないでよ2人とも!!」
俺達が頭を拭くためにTシャツを脱いで頭を拭き始めると、メグミは
慌ててしまった。
そんな慌ててるメグミを見てタケルが
「なんだよメグミ~?俺達の裸見て照れてんのか~?」
そうからかうと、メグミが
「違うよ!!こんな真昼間に公園で裸になるなっての!!この馬鹿達!!」
タケルに飲み終わった空き缶を投げる。が
「危ね!!」
タケルがメグミが投げた空き缶を避けてしまったので
カコォン!!
「痛ぇ!!」
俺に当たってしまった
「きゃー!?ごめんレン君!?大丈夫!?タケル君を狙ったんだけど、
ごめんね!!ちょっとタケル君!!なんで避けるの!?」
するとタケルは、いつもだったら出さない真面目な声で
「自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずした行為は…」
「難しいこと言って誤魔化そうとするなんて男らしくないよ!!」
「えぇ~?正当防衛について語ろうとしてただk…」
「いいから早くレン君に謝りなさい!!」
「元はと言えば俺に空き缶を投げたメグミが悪いんじゃん!!じゃあ
レンが怪我した原因はメグミに帰結します!!」
「そんな事はありません!!元はと言えば私をからかったタケル君が
悪いから、原因はタケル君に帰結します!!」
「ん?いや待て、これは緊急避難になるのか?」
「どっちでもいいからタケル君も謝りなさい!!」
「どっちでもよくねーよ!!ちゃんと正しい刑法で今の行為を考えn…」
「大体こんな真昼間からこんな所で服を脱ぐのは公然わいせつ罪に
なるんじゃないの!?だったらそれを止めようとした私の行為は
正当なものと見なされます!!」
「それとこれとは関係ないと思います!!なぜならメグミは俺の発言の
後に俺に対して危害を加えようとしたから、メグミの行為は服を脱いだ
俺達を止めようと意図した行為では無いはずです!!」
「そうゆう事は服を着てから言わないと説得力も何もありませんよ!!
あなた達は今でも上半身裸なので、公然わいせつ罪に問われると私は
思います!!とゆーか、さっさと服を着なさい!!」
2人が言い争ってる中、俺は頭を擦りながら
空き缶だったし、アルミ缶だったからそんなに痛くないんだけど…
てゆーかメグミの言う通り、服着なくちゃな…
俺が頭を拭いたせいもあって、かなり濡れた服を着ると
「ごめんねレン君…痛かったよね?本当にごめんね?」
メグミが俺に近づいて来て謝った
「いや、そんなに痛くなかったし平気だよ…」
俺がメグミに平気平気と手を振っていると、タケルも近づいてきて
「悪ぃ~な、レン…何もかも空き缶を投げたメグミが悪いんだ……
だから仕返しなら俺じゃなくてメグミにしてくれよ?」
「ちょっとタケル君!!何で全部を私のせいにしてるのよ!?
てゆーか服を着なさいっての!!いつまで半裸のままでいるのよ!?服着ろ!!」
タケルに怒っているメグミを見て俺が
「2人とも仲いいから、付き合っちゃえば?」
割とマジに言うと、タケルとメグミが怒るように
「「無いから!!付き合うなんて無いから!!」」
ハモった!?しかもそんなに強く否定するほど?
「え?な、なんで?だ、だって見てると2人って仲いいじゃん?だ、だから…」
「無ぇーよ!!俺がメグミと付き合うなんて無ぇーよ!!」
「私だって無いよ!!だいたい私はタケル君の好きな人を知ってるし!!
それは私じゃないって知ってるし!!」
「え!?マジで!?タケルの好きな人って誰!?」
「聞くんじゃねぇーよレン!!言うなよメグミ!!言ったら俺だって
メグミの好きな人を知ってるから言っちまうぞ!!」
タケルの言葉にメグミは一瞬だけ俺を見て
「ちょっとタケル君!!言ったら引っ叩くからね!!絶対に許さないからね!!」
「へぇ~メグミ好きな人いるんだ~誰誰?俺の知ってるヤツ?」
俺がメグミに聞くと、赤い顔をしたメグミに睨まれた。
「レン君も聞かないでよ!!言えるワケ無いでしょ!!」
メグミに怒られた…
俺は2人に聞くなと言われたことが面白くなかったので
「何だよ~?2人は知ってるのに俺にだけ秘密にしちゃってさ~
いいじゃんかよ~じゃあせめてヒントだけでもいいからくれよ。ヒント」
口を尖らせながら言うと、メグミとタケルは顔を合わせて
「「あなたには言えません…」」
またハモった!?しかもなぜ敬語!?
「えぇ~?駄目ですか?誰にも言わないから教えてよ~~タケル~メグミ~」
「「駄目です…あなただから言えないんです…」てゆーかタケル君?」
メグミがハモった後、横のタケルに聞いた
「何ですか?メグミさん」
「君はいつまで半裸でいるのかな?早く服を着なさい」
メグミがタケルが持っているシャツを指差しながら言うと
「分かったよ…着りゃいいんだろ?着ます着ます…」
「「なんでそんなに仕方なく着るんだよ…」」
やっと服を着始めたタケルに、俺とメグミはハモッてツッコんだ。
タケルのシャツも俺と同じく、髪を拭いたためにビショ濡れになっている。
タケルは服を着ると、メグミに
「じゃ~オレ帰るから、ボール返して」
「はいっ」
メグミからボールを受け取ったタケルに俺は
「え?もう帰るの?もうちょっと遊ぼうよ~」
「お前とバスケして疲れたし、シャツもビショ濡れだから帰ります。さようなら」
タケルはそう言って公園の出口に向かった
「え?マジで帰るの!?タケルさん!?」
そのタケルの背中を俺は止めようとするが
「リンに今度4人で遊ぼうって言っといて~バイバ~イ」
タケルは振り返らずに手を振って、出て行ってしまった。と、思ったら、
タケルは振り返って悪戯顔で
「メグミー!頑張れよー!!」
「うるさい!!早く帰りなさいよ!!」
メグミはタケルを追い払うように、しっ!しっ!っとやりながら返事した。
するとタケルは今度こそ帰ってしまった。
「何を頑張るの?」
「何でもない!!レン君も聞かないで!!」
またメグミに怒られた…
なんか2人が俺に隠し事してて………少し寂しいです…
ちょっとだけションボリしてるとメグミが
「それで…これからどうしよっか…?帰る?」
足で地面をカリカリ削ってるメグミに聞かれ
「少し腹減ったから…コンビニ行こう」
「うん…」
俺とメグミは公園の前のコンビニに向かった
コンビニでメンチカツパンとコーヒーを買って出て、店の前で
「メグミもパン食べる~?」
食べかけのパンを、しゃがんでいるメグミに差し出すが
「いりませんよ……仮にお腹が減ってても、そんな高カロリーのどっしりを
食べたら太るから嫌です。」
「えぇ~?このどっしり感がいいのに~?」
「そのどっしり感が女の子にはキツいんです…」
どっしり感がキツいって…
「ん~、リンもだけど、なんで女の子ってそんなに体重とか気にするの?
別に1、2キロ増えてもそんなに変わらないと思うんだけど…」
思ったことをそのままメグミに聞くと、メグミはジト目で俺を見上げながら
「それは……レン君が身長のことを気にしてるのと同じだと思うよ?
レン君だって、身長が伸びたら嬉しいでしょ?
理想の身長とかあるでしょ?だから1,2cmでも伸びたら嬉しいでしょ?
そんなレン君みたいに、女の子にも理想の体重と体形があるんですよ」
し、身長の事をメグミに言われてしまった!!?
確かにメグミの言う通り身長が伸びたら嬉しいです!!ものすっっっっっごく
嬉しいです!!!身長が伸びた日は叫びながら喜んでますよ!!
「なるほど……つまり女の子にとっての体重ってのは、男にとっての
身長ってことか……なるほどなるほど…よ~く分かりました…」
メグミはリンと違って説明がうまいなぁ~。いや、例え?が、うまいなぁ~
メグミは首を少し傾げ、考え込むように
「う、う~~ん…?ま、まぁそんなもんじゃない?
で、でも別に全ての女の子が、体重と体形を気にしてるってわけじゃない…と
思うよ…?人によって様々だと思う……かな?」
「あっ、そうなんだ…全部の女の子が気にしてるってわけじゃないんだ…」
「まぁでも、多くの女の子は気にしてるから、体重とか聞いたら駄目ですよ?」
「了解です」
敬礼して了解した後、紙パックのコーヒーをじゅー!っと一気飲みして、
パンの袋と空になった紙パックをゴミ箱に捨てて
「さて……腹も膨れたし…どうしよっか?」
まだ3時になってないので、このまま帰ったらつまんないなぁ~と思ったので、
今後のことをメグミに聞くと、
「ん~~~~、カラオケに行くってのは………どうですかね?
わたし結構、歌……う、上手いんだよね…」
最後は俺の顔を窺うようにメグミが言ってきた
「お!!いいんじゃない?じゃあリンも呼ぶか!アイツも、もう落ち着いてる
頃だと思うし………ん?どうしたメグミ?なんか落ち込んでる?」
メグミは誰が見ても明らかに、ずーんと落ち込んでる。
メグミは下を向いたまま、元気の無い声で
「ううん……落ち込んでないよ……いいんだよ~それでこそレン君だよ……」
俺はポケットから携帯を出し
「何がそれでこそなのか分からんが……そうだ!!なんだったらリンを
驚かせね?俺の携帯から電話してるのに、出たらメグミで、
そんでなんかインパクト?……いや、聞いただけでビビるような事を
言ってさ!!なっ?」
「え…?そんなことして大丈夫なの?後でリンに怒られたりしない?」
「ヘーキヘーキ、俺もリンもお互いにしょっちゅうやってるから怒られ
たりしないって!」
するとメグミはまだ少し疑問の残った顔して
「そんな事しょっちゅうやってるんだ?まぁそれだったら…いいけど…」
メグミの了承を得られたので、俺は腕を組んで、目を閉じて
「じゃあ何て言うか…………う~~ん」
「そ、そんなに真剣に考えなきゃいけないの?」
「うん…母さんに馬鹿な事にこそ、全力投球しろって言われてるから…」
目を閉じたまま鏡音家の教えを言うと、
「なにそのお母さんの教え!?ボケに命張ってる人みたいだよ!?」
「それがウチの家訓なんだよ…ほら、メグミも考えて…」
「えぇ?わ、分かりました…じゃあ考えます…」
そして俺達は5分ぐらい、う~~んと考えた。
どんなのがいいか……どんなのがリンを一言で恐怖させることができるか?
う~~~~~~~ん………
リンは俺からの電話だから当然、俺が出ると思ってる。
しかしそこでメグミが出る……いや、ただメグミが出るだけじゃ駄目か…
声色を変えて出てもらうか、すると俺からの電話なのに知らない女の人が
出てリンは戸惑うはずだ……そこで恐怖の一言を聞く…
それが問題だ……何て言うのがいいか?
俺やリンだけが知ってることを言うのがいいか?
いや駄目だ…リンは俺とメグミが一緒に行動してると知ってるはずだから、
それだと俺がメグミに教えたと、すぐに分かってしまう可能性があるな……
すぐに、この声メグミでしょ?レンに聞いたんでしょ?ってバレるな…
じゃあどうするか?
…駄目だ、思いつかない……いや!諦めるな俺よ!!考えろ!!考えるんだ!!
俺の脳ミソは何の為にあるんだ!?人の思考は何の為にあるんだ!?
人の思考とはすなわち、望む未来を目撃するためにあるんじゃないか!!
俺がリンに電話をして、リンをビビらせる未来を見るんだ!!
だから考えろ!!
その時だった、俺の携帯がメールを受け取った。
6月ハーモニー 双子蜜柑 その10
6月ハーモニー 双子蜜柑 その10です
レン君はバスケと馬鹿と鈍感でできています。
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