真昼間の日照りと湿り気に 目の前の秒針が暈されて
過ぎ去ったはずの影がちらついて また夏の香に靡いてばかり

意味もない笑みも 何でもない話も
そのすべてが いとも愛しいのだと
過ぎ去ってやっと気づかされていく葉月
貴方も同じでしょうか

片の想いよ
貴方は私のことなんて 幻なのだとしても
憶に抱きながら 病のように
いつだって 今だって手離せなくて
私を生かしてくれた人



「さよなら それじゃ私こっち方面なんで」
乗り換えのような運命(さだめ)に手を引かれ
落ちこぼれの私に選べたのは
斜め下に逸れた線路(レール)だけ

孤独感の虜の中 蝋燭のような優しさがあったから

共に過ごした時間は 確かに短くて 淡くて
それよりも心残りなのは ただ“ありがとう”を
言えなくて 言いたくて 恥ずかしくて
どうして――



連絡先は まだそのまま
あの頃のように 今も話せるでしょうか
……そんなわけないか

片の想いよ
貴方は私のことなんて 幻なのだとしても
どうか それぞれの路の景色を
眺めて 笑っておりますように
陽炎が目頭を潤す前に
戻らない未来行きの先で
 

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

片路

閲覧数:115

投稿日:2020/08/19 20:12:36

文字数:487文字

カテゴリ:歌詞

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