6月ハーモニー 未来音符 そのにー



海斗先輩に一緒に帰ることになって、下駄箱で靴を履き替えて

「それじゃあ、帰ろっか…」

「はい…」

なんとなく気まずい雰囲気の中、私達は一緒に帰った



一緒に帰ると言っても1つの傘に2人とゆうことは無い。

2人ともちゃ~んとそれぞれ傘を持っていますよ。

相合傘なんて状況が起こるわけ無いじゃないですか。



ザアァァァ…

雨が降るなか歩いていると海斗先輩から

「そういえばえさっきのは演劇部の子達でしょ?演劇部はどう?」

サトミとリンちゃんと演劇部の事を聞かれたので

「どうって言われても…まぁ楽しいですね…合唱部とは違って一人じゃないし、

まぁ練習はまだ全然やらないんですけどね…みんなで文化祭でやる劇の

話をしたり…まぁ劇の脚本はサトミ…さっき私の髪を直した子です。

サトミが書いてて、それをみんなでこうすればもっといいんじゃない?とか

話して煮詰めてるってゆーんですかね?

煮詰めて9月の頭までには形にして、それからそれぞれの役を練習する

らしいんですよ。はぁ~嫌だ…

大まかな話は…プロット?ってサトミは言ってました…プロットから

外れない程度にみんなで良い案を出すのが今の演劇部での活動です。

あっ、でも衣装作りは今からやってますね…

なんでも演劇部に元からある衣装はだいぶボロボロになってて使い物に

ならないんですよ~だからみんなで作ろうって事になってるんですけど…

私は裁縫とかそーゆーのが苦手なせいで…まぁ脚本の案を出すほうに

回されていますね…でもそれもなかなかで…

私が出す案は全部サトミに却下されてますね…ラノベか!って言われて…

何がいけないのかな~う~ん…」

1人でやたらとベラベラと喋ると

「そっか、楽しそうで良かったね…」

なぜか海斗先輩は笑顔でそう言ってきた

「は、はい?ま、まぁ楽しいといえば楽しいですけど…」

急に何を言ってくるんだ?ビックリするな~

「演劇部って曜日とか決まってるの?」

驚いている私を海斗先輩は特に気にせずに聞いてくるので

「え、え~と、まぁ週に3日って感じですかね…

月水金にやっています。他と比べるとかなりやっていませんね…

でも他の部ほど厳しくはないんで、サトミに言えば普通に休めますね。

なんでもサトミは劇が完成すればそれでいいってゆう考えなので、

みんながちゃんと集まる日は少ないですね…

あ、でも今日は集まったほうでしたね、演劇部は全員で9人いるので

2人だけ来ていませんでしたが…恋人がいるとか何とかで…

でも私は毎回出ていますよ?出ないとサトミが私にだけうるさいので…

あ、演劇部に入っていいことがあったんですけど、初めて後輩ができて、

初めてミク先輩って言われたんですよ~それがもう嬉しくて嬉しくて…

2年になって変な時期に入った私なんかにでもみんな先輩って言ってくれて…

入る前は合唱部の色々な噂があるから不安だったんですよ…

恐がられるかな~とか、入っても距離を置かれるかな~とか…

でもみんなそんな私のことを恐がらずに、歌い方を教えて下さい~とか、

去年の文化祭を見ました!中学生だったんで一般公開の日に見たんですけど、

高校生とは思えない実力で感動しました!とか話しかけてくれたんですよ~

それがも~ぅ嬉しくて嬉しくて…演劇部に入って良かったですよ~」

合唱部を辞めた時は少し寂しかったけど、でも今は演劇部に変わって

良かったと思っている。

あのまま合唱部で1人でやってたら今のような喜びを知らずに過ごしていた

だろうから…

またも私が1人で話していたら

「ふ~ん、そんな感じじゃサッカー部のマネージャーはやってくれないか…」

先輩が前を向いてあからさまにがっかりした声を出したので

「まだ諦めていなかったんですか!?確か一ヶ月前に言いましたよね?

演劇部に入りましたって。だからマネージャーはできませんて…」

「だ、だってさ~俺がサッカー部に入ってるから全然会えないでしょ?

そうでなくても学年が違うし、いきなりクラスに行くのも…ねぇ?

だからといってミクちゃんと同じクラスの後輩に話を聞くのも恥ずいし~

だからそれでもマネージャーやってくれないかな~とずっと思ってたんだけど、

それを言う機会も無いでしょ?会ってもちょっと挨拶して行っちゃうでしょ?

だからさ~………」

「って女々しいよ!!」

しょんぼりした声で話す先輩につっこむと

「だからさっき会えたときは…まぁそうゆうことですよ…

タイミング的に良かったな~と思ったわけですよ…話す機会が~ってね…」

相変わらず変なとこで素直に言うので

「そ、そうですか…」

少し照れてしまった

なので傘で顔を隠し、私より背の高い先輩から顔を見れないようにして

「それで…用とはどうゆうことで?ま、まさか…

話をするためだけが、よ、用とかじゃ、無いですよね?」

ま、まぁ…それでもちょっとは嬉しいかな?

話をしたいから声をかけたと言われて悪い気はしない…

すると先輩は

「うん…え、え~っとさ…今週の土曜って何か用あったりする?」

少しだけ緊張した声で聞いてきたので

「え?土曜ですか?特には…用は無いですけど…」

なんだろ………まさか……デートの誘い……とかかな…

そうだったら……うわ~どうしよ……

いや、違うかもしれない…でも、もしかしたら……

先輩の質問に考えを巡らせて少しドキドキすると

「そう……え~っと、もし良かったら、俺と映画とか…どうですか?」

予想通りデートに誘われた

「マ、マジですか?つまり…デート…の誘いってことですか?」

分かってるのに何で聞いてんだ私?

で、でも…もしかしたら違うかもしれないし…

「そ、そうです…俺と…デートして下さい…」

ふわぁ!言われてしまった!

と自分から聞いたくせに驚いてしまった

「え、え~っとですね………い、いいですよ…」

驚いたもののちゃんと返事をすると

「本当!?ありがとう!じゃあ土曜の9時半にメゾールの4階の映画館の前で

待ち合わせでいい!?」

喜びを全く隠さないで先輩が待ち合わせ時刻を言ってきたので

「あっ、はい…い、いいですよ…9時半ですね…」

「うん!そうだ!良かったら携帯の番号とか教えてくれない?

ちょうどいい機会だし、ね?」

先輩がそう言って携帯を出すので

「あっ、はい、じゃあ赤外線で…」

勢いにやられてアドレスを先輩に教えてしまった

まぁ…断る理由も無いし…いいか…な…



アドレスを交換し終わると先輩が

「そういえばミクちゃんは土曜の次の日曜とかも空いてたりする?」

携帯をしまいながら聞いてきた

「まぁ…特には用事はありませんけど…それよりも先輩、私のことを

ミクちゃんって呼ばないで下さいって一ヶ月前に言いませんでした?

せめて苗字で呼んでください。変な感じがしますので…」

「あぁ…なんかそれっぽいこと言ってたような…」

「私の家の前で先輩が付き合ってって言う前に言ったじゃないですか…

せめて苗字でって…もう忘れましたか?」

私も携帯をしまいながら言うと

「あぁ~言ってたね…え?じゃあ……初音…さん?」

先輩はなんで?とゆう顔で私の苗字を言った

「そうです。それでいいんですよ…なんで疑問符をつけるのかは

分からないんですけど……なんか気になることでもあるんですか?」

「気になるというか…俺がなんか変な感じがするんだけど…」

知りませんよ…

「それは我慢してください。すぐに慣れると思うので大丈夫だと思いますよ?

3回ぐらい初音さんと言えばそーゆー風に呼んでいたものと思えてくると

思いますよ?」

私の涼しい顔とは対照的に先輩はえぇ~?とゆう顔をしている

「今まで流香先輩からミクはね…ミクはね…って聞いていたから、俺も普通に

ミクちゃんって言っていたからすんごい違和感があるんだけど…」

あんまりミクと連呼しないで欲しいんですけど…

「先輩にミクちゃんと言われる私の違和感と、先輩の違和感はどっちのほうが

大事ですか?私の違和感のほうでしょ?先輩は私の事を流香先輩から

聞いていて私の事を知ってるでしょうけど、私は海斗先輩のことは全く

知らないんですよ?つまり、ほとんど何にも知らない男の人から名前で呼ばれ

てるわけなんですよ?少しは私の気持ちを考えてください。

そこまで親しみの無い人から…特に男の人から名前で呼ばれるのは…

ちょっと抵抗があるんですよ…」

それは本音だ

私の事を流香先輩が悪く言ったとゆうことは無いだろう

流香先輩は一ヶ月前、私が良い子だと海斗先輩に話したと言っていたから…

でも流香先輩が学校にいる間、私には海斗先輩のことは一切話してくれた

ことは無い。だから一ヶ月前に初めて先輩に話しかけられ、先輩を知ったのだ。

そして一緒に帰ることになったが、そこで海斗先輩は私がたこ焼きを好き

だと知っていたから気を利かせて買ってきてくれたんだろうけど…

まぁ、私が教えたことは無かったので先輩をストーカーと勘違いしたのだ。

そして私の家の前で先輩が付き合ってと急に言ってきたこともあるので、

海斗先輩に対して…少し抵抗がある…

先輩は私を知っているが、私は先輩を全く知らない。

そんな関係で先輩が私を好きだからと、仲良くしてこられても……

立場が対等じゃないし、ちょっとだけ……ほんのちょっとだけ……恐い……

だから…

だから名前で呼ばないでと…

苗字で呼んでと本音を言うと、先輩は少し考えてから

「そっかそっか、そうだよね…俺はミクちゃ…初音さんのことを知っている

けど、確かに初音さんは俺のこと知らないもんな~

分かった、じゃあ苗字で呼ぶことにするよ…初音…さん」

ちょっと馬鹿な人だけど、分かってくれた

「ありがとうございます…まぁ流香先輩とかと話す時とかはいいですけど、

私や学校では苗字で呼んでくださいね…特にサトミの前では…

って、もう遅いですけど…あーゆー事は…ほんと勘弁なので…」

さっきのサトミのしつこい追及はマジで嫌だ…

変な風に誤解されたらたまったもんじゃない。

「わ、分かった、さっきはごめんね…」

「まぁ、次からサトミの前では注意してくれれば…」

私達が話していると2人が乗る駅に着いた



そして改札を通り、電車を待っているとき先輩が

「で、さっき聞いたけど、初音さんは日曜は空いてるんだよね?」

「へ?いつの日曜のことですか?」

さっき?なんのこっちゃ?

「携帯を交換した後に聞いたよ!?土曜の次の日曜も空いてる?って。

そしたら特には用事は無いって言ってたじゃん!?」

そういえば言ったっけ…

「あぁ~そう言ってましたね?それで何かあるんですか?」

素で忘れてたよ…

先輩は少しだけ照れて、私から目を逸らして斜め上を向いて

「うん、えっとね、日曜にサッカー部の試合があるんだよ…それで…

もし良かったら見に来てくれたらな~と、思っていてですね…」

デートの次の日にサッカー部の試合ですか!?

それを見に来て欲しいって!?つまり、それって…

「そ、それってつまり…お、応援に来て欲しいとゆうことで…いいんすか?」

今度は私が照れてしまった

「うん…もしよければ…お願いします…」

「え~っと、ま、まぁ前向きに考えておきます…」

OKではなく考えておくとゆう返事に先輩は、期待と違ったのか

「え?考えておくって?ま、まぁ前向きに考えてくれるなら…はい、

お願いします…いい返事を期待しております…あ、電車だ…」

少し驚いたけど無理に頼むこんでくることはなかった。



そして2人で電車に乗って、私が降りる駅に着いたので

「それじゃあ、さようなら」

「うん、バイバイ」

私が降りて先輩と別れると電車が走り出した。

先輩を乗せた電車を見ながら、海斗先輩にデートに誘われたことと、

サッカー部の試合の応援に来てとお願いされたことを、流香先輩に今夜、相談しようと思った



海斗先輩と別れてまっすぐ家に帰り

ガチャ、と家の扉を開けて

「ただいま~」

家にいるはずのお母さんに帰ってきたことを知らせると

「おか~えり~」

のほほ~んとしたお母さんの声が返ってきた

靴を脱いで、お母さんの声がしたリビングの隣の和室を見ると

パタパタパタ…





お母さんが両手の団扇で洗濯物を扇いでいた

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

6月ハーモニー 未来音符 その2

6月ハーモニー 未来音符 その2です

この話の最初に歌の6月ハーモニーの歌詞の一部を使ってます。

1つの傘に2人…です

閲覧数:59

投稿日:2012/08/30 00:10:06

文字数:5,247文字

カテゴリ:小説

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