物語は、村娘の手によって“本当の終わり”を迎えようとしていた――
三年前、複数の村から人が七人、消えた。
消えた七人の行方は、定かではなかった。
村の人々は、彼らが殺されてしまったものだと考え、彼らを“いなかった”ことと思い込んでしまった。
しかし、実は彼らはまだ生きていた。
村から離れた、巨大な森。
その森は道が入り組んで迷いやすく、入った者を元の場所に返すことはない。
森の中は昼でも夜のように暗く、食べられる物も見つからない。
だからその森に入った者は、三日以内に帰らぬ人となると言われていた。
だがその深い森の奥には、館が存在するということは知られていなかった。
その館に、七人は放り込まれた。
謎の人物の手によって。
*-*-*-*
「え!?ここ、どこなの…!?」
「なんだよここ…」
「暗くて何も見えない」
「灯はないか!?」
皆わけもわからず慌てていた。
しかし暗い室内に、急に明るい光が満ちた。
「うわっ」
「眩しいなぁ」
「目がああああぁ」
「誰だ古いネタ言ってるやつは」
「今そんな状況じゃないでしょ」
「っていうかお前誰だ」
「知るか」
灯がついても、皆騒いでいた。
そのとき、突如謎の人物が現れた。
「ようこそ、キャストの諸君」
七人は口々に疑問を投げた。
「誰だお前」
「“影”とでも呼んでください」
「私達をさらった理由を教えなさいよ!」
「まぁまぁ落ち着いて」
「これが落ち着いていられるか!」
「カルシウム不足の人~だ・ま・れ☆」
「ウゼエエエエエェ!!」
「とりあえず黙れ。静粛に」
影は静かに説明をした。
自分は、何もない世の中がつまらない。
おもしろい舞台が見たい。だが、世の中を自由に操ることはできない。
だから、この館で、舞台をしてもらう。(この館の範囲は、館の周りにある柵の中)
諸君には、それぞれ役を演じてもらう。
役は決まっているが、台本はない。自由に演じてもらってかまわない。
ただし、逃げようとすることは出来ない。
逃げようとした際は、命がないと思え。
この館の扉は内側に開くようになっている。鍵がない限り、内側から開けることはできない。
その鍵は、ゲストしか見つけることはできない。
あと、この大広間の時計の横には、隠し扉がある。その中には部屋が存在する。
その隠し部屋についてゲストに知られたら、殺すように。
「さて、質問はあるかな?」
「…あ、あの…ゲスト…って…?」
「あぁ、そうか。
君達が役を演じている間にこの館に来た人間はゲストとする。
ゲストを“主役”とし、君達は主役がどう動くかを監視しつつ演技をしてもらいたい」
「それで…その舞台は…いつ終わるんですか?」
「終わらないさ。君達が死ぬか、True enDを迎えるか。それか、主役が鍵を見つけるかだ。
とりあえず説明は以上だ。見当を祈る」
話し終えた瞬間、影は消え去った。
「…俺達、演技ってやつをしないと、影ってやつに殺されるんじゃね?目つきが…」
「そうね…って、配役聞いてない」
「あれ、なんか紙落ちてるよ?」
その紙には、配役が書かれていた。
「始音カイトは主人…」
「あ、オレだ」
「咲音メイコは奥方」
「私ね」
「お嬢様は巡音ルカ」
「お前もいたのか…」
「あれ、神威がくぽ!?あなたもここに…あ、執事だって」
「緑川グミは?」
「メイドだって」
「少女人形が鏡音リンだって」
「わたしね。鏡音レンが少年人形」
「僕だ」
用意されていた衣装に、全員着替えた。
幼いリンとレンは人形役だったが、レンの足は事故で人形風の義足だった。
リンは子供用のドレスなのでなんとかなった。
そして、舞台は始まった――
ゲストがこないとき、役になりながらも皆楽しく過ごそうと思っていた。
自分は元からその人だった、と皆思い込みたかったから。
「はい今日はグミが大富豪で二連敗したので」
「はいワインだよー」
「ありがとっ」
「はいなーんで負けてるの?」
「へ?」
「なーんで負けてるの?」
「え?なんで?」
「なーんで、なーんで、なーんで、なーんで、なーんで負けてるの?」
「ハイ!」
でも、大体が宴会や飲み会だったりする。
皆お酒だが、リンとレンは子供なのでジュースだった。
「うわぁー、結構くるぅ…」
「じゃあ次は、今日昼寝してたときに主人は寝ぼけてお嬢様のことをめーちゃんと呼んだので」
「はいカイトは日本酒よ」
「お、おう」
「はい、そーれーはいーわゆーるそーそーうーそーれーはいーわゆーるそーそーうー」
「へ?オレも?っていうか今そのコールって」
「えーす!おー!えーす!おー!えすおーえすおーそーそーう!」
「ハイ!」
「「そっそう、そっそう、そっそう、そっそう…」」
「にゃー…」
「主人、猫みたい」
「♪主人が飲んで、奥方が飲まないわけがなーい!」
「おぉ!?やった飲める」
「「はい、いっき、いっき、いっき、いっき」」
「ぷはぁー!」
「うーんいい飲みっぷり」
「じゃあ次はみんなで。リンからね」
「ドーはどんどんイッキしてー、レン!」
「レーは連続イッキしてー、お嬢!」
「ミーはみんなでイッキしてー、主人!」
「ファーは吐くまでイッキしてー、グミ!」
「ソーは底までイッキしてー、兄ちゃん!」
「ラーはラッパでイッキしてー、奥方!」
「シーはタヒぬまでイッキしてー♪」
「「さあ飲ーみーまーしょーおー♪」」
「うおおおおっ…」
「あれ?もうルカ寝てるじゃん…はやっ」
「ちょっと待て。ルカって酒強いんでしょ?二杯目でなんでもう酔ってるの…」
「あ!睡眠薬の袋がある!誰だ入れたのは!」
「うわバレた」
「お前か!」
なんやかんやで、楽しくやっていたのだ。
ゲストが来たときを除いては…
*
「だから、皆は帰ってこなかったのね…」
「そうなんだ。脅されているとはいえ、申し訳ないことをした。お詫びになんでもしよう」
ちなみに私はなぜか皆にストップされ、さっきまで三時間話を聞くハメになった。
「大丈夫。あ、じゃあお願いがあるわ。まだ私は主役だから、いいよね?」
「あぁ。で、お願いって…」
「今この時をもって、キャストも舞台もなくなった。それは、私が鍵を見つけて全て終わったから」
「あぁ。それで…?」
「物語は終わった。だから…皆で、帰りましょう」
私がそう言うと、皆はキョトンとしていた。
「帰るって…どこにー?」
「私の村よ。うちの村長は優しいから、皆のこともきっと理解してくれる」
「でも、俺達は脅されていたとはいえ、人を数人殺したんだ。罪人を数人も迎えてくれるわけがない」
「皆この館に入ったことは知らない。だから、森のどこかで亡くなったと言っても嘘じゃないわよ」
「じゃあ私達のことはどう説明すれば…」
「森の中で倒れていたから、私が助けた。それでいいでしょ?」
「でも…」
「大丈夫。あ、言っておくけど私は村長の娘だから」
「「ただの村娘じゃなかったの!?」」
とりあえず、皆を説得完了。
これでも、皆は“帰る”ことができる。
元の村、というわけにはいかないけど。
――歌え 踊れ 騒ごうぜ 酸いも甘いも忘れてさ
これは、私達にとってはHappy ∞ End ∞ Night。
影にとっては、せっかくの舞台が壊されたからBad ∞ End ∞ Night。
――気が狂っちゃうほどに
「だからHappy EndもBad Endも、楽しんじゃえ!」
*=*
静かになった部屋の中。
そこに現れた、拍手を送る、謎の影――
そう、この舞台の仕掛け主。
「今宵は、良い舞台でした…」
影は、今までにない舞台が見れたから満足しているのか。
それとも、自分が作った舞台が壊されて、悲しんでいるのか。
影はただ、主役を招いた手紙を拾い、泣いていた。
「さぁ仕掛け主さん?最高の主役が戻ってきたけど…どう抵抗するかしら?」
その時、突然に新たな人物が現れた。
彼女は、今までのキャストの主役の誰かなのか?
それは、本人にしかわからない。
「はじめまして――そして、さようなら。仕掛け主という名の、“真犯人”さん」
そして、舞台はようやく“本当の終わり”を迎えた。
Bad ∞ End ∞ Night 4【自己解釈】
長らく放置してたくせに終わり方がちょっとおかしいよ!←
そして人間関係とかどうなった…
解釈してたらなぜかHappy ∞ End ∞ Nightになっちゃった←
とりあえず、完。
本家様http://www.nicovideo.jp/watch/sm16702635
飲みのコールはこちらから使わせていただきましたhttp://www.geocities.jp/engenvik/call.htm
コメント2
関連動画0
ブクマつながり
もっと見る「そっちは見つかったか!?」
「いいえ、厨房も客室にもいなかったわ」
そんな声が聞こえてくる。
みんな私を捜しているんだ。
そして、きっと殺されちゃうんだ。
最初からそのつもりで、私を引き入れたに決まってる。
思えば変なことばかりだ。
『器』とか、『値踏み』とか。
そして、この森に入った人は二度と帰...Bad ∞ End ∞ Night 3【自己解釈】
ゆるりー
宴から一夜が明けた。
すっかり疲れ果てた私は、この屋敷に泊めてもらった。
そして、異変に気づいた。
いつのまにか眠っていたらしいのだが、目を開けても夜のままだった。
かなり眠っていたはずだが、一向に朝がこないのだ。
「あれぇ…?」
階段を降りる。
「…て、あんたは…」
「っちこそ…まえは…」
階段を...Bad ∞ End ∞ Night 2【自己解釈】
ゆるりー
それは、月の綺麗な夜。
深い森の奥。
それは、暗闇に包まれている。
その森は、道が入り組んでいる。
道に迷いやすいのだ。
その森に入った者は、どういうことか帰ってくることはない。
その理由は、さだかではない。
その森の奥に、ある村の娘が迷い込んだ。
「どうすれば、いいんだろう」
その娘の手には、色あ...Bad ∞ End ∞ Night 1【自己解釈】
ゆるりー
恐ろしいほどに暗い森の中を、私は駆け抜ける。
はやく、はやく、逃げないと。
これさえ持って帰れば、私は幸せになれる。
でも、うしろからは怖い熊が追ってくるの。
花が咲いた道を駆け抜けたためか、花を踏んでしまった。
ごめんね。今、私はあなた達に構っている暇はないの。
今抱えているこれを、とられるわけに...【moonlit bear】原罪者と平和な森【二次創作】
ゆるりー
「私の言うことが聞けないの!?」
人形館長が槌を強く叩く。
そんなこと言っても無駄よ。
だって、すでに彼は力を失っているから。
今日はゆっくり脚本を作ろうと思っていた。
それなのに、『今日も情報整理やるから』と、茶番法廷に無理やり出席させられた。
あの人形館長は、いったい何を考えてるの…
で、現在...【茶番カプリシオ】時の魔導師とぐだぐだ裁判【二次創作】
ゆるりー
鏡音リン。
その存在は、私にとっては天使。
もはや神。
いや、リンちゃんは何者でもない。
リンちゃんはリンちゃんだ!!
リンちゃんはリンちゃんだからリンちゃんなのだ!!!
リンちゃんはリンちゃんであるが故にリンちゃん、それこそリンちゃんだ!!
「ねぇルカさん。リンちゃんって可愛いよね」
「そうねぇ...リンちゃんなう!【自己解釈】
ゆるりー
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想
モモコ
ご意見・ご感想
おおお!最終回ーーーー!!!
てか、Happy ∞ End ∞ Nightですかぁww
それはそれでナイスっ!
いや、何はともあれ面白かったです(*´∀`)v
ブクマ、もらうぜぇぇっ!
2012/03/28 09:08:25
ゆるりー
そうなっちゃったもん←
ありがとうございます!
ブクマ感謝です!
2012/03/28 13:23:03
雪りんご*イン率低下
ご意見・ご感想
まさかのHappy ∞ End ∞ Nightwwでもこれもいいというwww
飲み会の歌面白すぎるwwよくそんなのが思いついたわwwwww
つ凸【ブクマ】
2012/03/27 12:50:28
ゆるりー
なぜだかそうなったのd((
説明文のURLからですw
ブクマ感謝です!
2012/03/28 13:19:44