宴から一夜が明けた。
すっかり疲れ果てた私は、この屋敷に泊めてもらった。
そして、異変に気づいた。
いつのまにか眠っていたらしいのだが、目を開けても夜のままだった。
かなり眠っていたはずだが、一向に朝がこないのだ。
「あれぇ…?」
階段を降りる。
「…て、あんたは…」
「っちこそ…まえは…」
階段を降りる途中、『応接間』と書かれた部屋から声が聞こえた。
そっとドアの隙間から様子をうかがう。
「あんた、昨日扉壊したでしょ!?あれほど壊すなって言ったのに!!」
「ただ軽く蹴っただけで、木っ端微塵になるって予想できる奴がいると思いますか!?」
「そもそもあんた執事でしょ!?礼儀ってもんがあるでしょうよ!!」
「執事がみんなそうとは限りませんよ!?」
「だったら手で扉を開けなさいよ!!」
「ドアノブ壊れてましたけど何か!!」
「かといって蹴飛ばすことはないはずよ!!」
「あぁ!?そもそもなぁ…!!」
昨日の執事とお嬢様が、言い争いをしていた。
「そもそも、この間私のワインに睡眠薬なんか入れないでくれる!?」
「お前は嫌がるところが可愛いんだよ」
…あれ?話が…
「ていうかあんた、私の寝顔が見たかっただけでしょ!?」
「あ、バレた?」
「そうなの!?」
「いやぁ、本当可愛かった。無防備でしたねぇ」
「ちょ…あんたねぇ!!///」
おーい。お二人さん?
「あのまま襲ったら、どんなことになったかねぇ…」
「あんた本当に執事なの!?ていうか手出したの!?」
「出してねぇよ。寝てるルカは反応が無いからつまらん」
「…なるほど?起きてるときに襲おうっていうのカシラ…?」
「おぉー怖い怖い。冗談だって」
「嘘おっしゃい!!」
お嬢様(どうやらルカというらしい)がビンタをする。
…その手を、執事(神威っていうらしい)がいとも簡単に受け止める。
「…お嬢のお前が、俺に攻撃できるの?」
「あんたねぇ…そもそも、私に私語なんか使って…!!」
「いいじゃねぇか、二人でいるときぐらい」
もしかして、二人はドアが若干開いていることに気づかないの?
ていうかさっきからこの二人は…
「で…でもねあんた…」
「…少しは素直になったらどうだ?」
「あ…あのね…!!」
「落ち着け…って」
そしてじっと見ていると、神威さんは掴んだルカさんの手を引き、そのまま抱き寄せた。
…やべぇ、この二人デキてんじゃない?
リア充だねぇ。
見ててニヤニヤしてきたよ。
「ルカさんよ。元々俺達は幼馴染なんだから、そう固くならなくてもいいんだよ」
「…今は、立場が違うじゃない」
「まぁ確かにな。でも幼馴染であることは変わらないだろ」
「…否定はできない」
「まだ仲いいし?」
「否定はできない」
「俺もルカのこと好きだし?」
「…ノーコメント」
「ルカも俺のこと好きだし?」
「否定は…って何言わせる気!?あんたは昔から…」
「はいはい落ち着こうぜ、ツンルカさん」
「私はツンデレじゃない!!」
「はいはい」
なんかこのまま見てるのもアレだし、いい雰囲気のところをお邪魔するのもなんなんで、見なかったことにした。
いやぁ、ラブラブだねぇあの二人。
お似合いだったな、カメラあったら撮ってたのになぁ…
…いかんいかん。
私は今疑問があるんだった。
なんで夜のままだったんだろう?
昨日宴があった場所に行くと、そこには少年人形と少女人形がいた。
「ナヤンデルミタイダネ?」
「え?そんなことは…」
「秘密ヲ…」
「教エテアゲルヨ…?」
「え?」
なんでわかったんだろう。
ていうか秘密?
何かあるの?
「『時計ヲ見テゴラン…☆』」
言われて時計を見る。
それは…
「!?」
止まっていた。
時間が、進んでいない。
私は怖くなり、その場から逃げ出す。
手をドン、とついた場所は壁とは違う音がした。
「…これは」
隠し部屋があったのだ。
そしてそこに逃げ込む。
「重い~~~~」
案外、扉は重かった。
そして、その扉を開けると、そこには…
「なに、これ…」
「『Jesus、 jesuS!!』」
人形たちが後ろで何か叫んでいる。
何かは聞き取れなかった。
なぜなら、
そこにあったのは、棺の山だったのだ。
そして足音が聞こえて、振り返ると…
みんながいた。
「あらあら…」
「見てしまったね…」
「Danger!! dangeR!!」
「怖がらないで?♪」
「Where are you goinG??」
「おや、どこに行くのです?」
私は、その部屋から逃げ出した。
「「お待ちなさい」」
*
「どうするのよ、神威…逃げられたわよ?」
「ふむ…いつもの客なら、ここで逃げようとするけど、出られないよな…」
この館の新しい扉は、どうやら内側からは扉は開かないようだ。
外側からは鍵なしで入れるけど、内側からだと鍵がないと出られない。
でも、あいにく俺達も鍵の在り処を知らない。
「いつも通り、せっかく来て頂いた客だが、殺すしかないか…」
ここにある棺のほとんどは、その亡骸が入っている。
「でも、あの子はまだ『主役』よ?」
「台本通りに進むかな?あの子は、いつもの客とはあきらかに違う」
「今宵のEndinGはどうなるの?♪」
「わからない。全ては、あの子次第だ」
俺達も、客をこの手で殺めるのはもううんざりだ。
…となると、方法は一つ。
「あの子に、Happy enDを探してもらうしかないか…」
「デモ、アノコニデキルノ?」
「順番を間違えたら、あの子は終わりよ」
「そしてTrue enD…棺行き、か」
「…とにかく、追うわよ」
コメント2
関連動画0
ブクマつながり
もっと見る「そっちは見つかったか!?」
「いいえ、厨房も客室にもいなかったわ」
そんな声が聞こえてくる。
みんな私を捜しているんだ。
そして、きっと殺されちゃうんだ。
最初からそのつもりで、私を引き入れたに決まってる。
思えば変なことばかりだ。
『器』とか、『値踏み』とか。
そして、この森に入った人は二度と帰...Bad ∞ End ∞ Night 3【自己解釈】
ゆるりー
それは、月の綺麗な夜。
深い森の奥。
それは、暗闇に包まれている。
その森は、道が入り組んでいる。
道に迷いやすいのだ。
その森に入った者は、どういうことか帰ってくることはない。
その理由は、さだかではない。
その森の奥に、ある村の娘が迷い込んだ。
「どうすれば、いいんだろう」
その娘の手には、色あ...Bad ∞ End ∞ Night 1【自己解釈】
ゆるりー
物語は、村娘の手によって“本当の終わり”を迎えようとしていた――
三年前、複数の村から人が七人、消えた。
消えた七人の行方は、定かではなかった。
村の人々は、彼らが殺されてしまったものだと考え、彼らを“いなかった”ことと思い込んでしまった。
しかし、実は彼らはまだ生きていた。
村から離れた、巨大な森...Bad ∞ End ∞ Night 4【自己解釈】
ゆるりー
恐ろしいほどに暗い森の中を、私は駆け抜ける。
はやく、はやく、逃げないと。
これさえ持って帰れば、私は幸せになれる。
でも、うしろからは怖い熊が追ってくるの。
花が咲いた道を駆け抜けたためか、花を踏んでしまった。
ごめんね。今、私はあなた達に構っている暇はないの。
今抱えているこれを、とられるわけに...【moonlit bear】原罪者と平和な森【二次創作】
ゆるりー
「私の言うことが聞けないの!?」
人形館長が槌を強く叩く。
そんなこと言っても無駄よ。
だって、すでに彼は力を失っているから。
今日はゆっくり脚本を作ろうと思っていた。
それなのに、『今日も情報整理やるから』と、茶番法廷に無理やり出席させられた。
あの人形館長は、いったい何を考えてるの…
で、現在...【茶番カプリシオ】時の魔導師とぐだぐだ裁判【二次創作】
ゆるりー
「だけど仕事は頑張らなきゃ」
私の相方である裁縫鋏を片手に、一生懸命仕事に励む。
今日の依頼は七件。ちょっと多いけど、今日中に終わらせることはできる。
だって、私は仕立屋だから。
そういえば、最近困ったことがあったの。
私には夫がいるの。
イケメンで優しくて歌って踊れて誇れる夫よ。羨ましいでしょ。
...【七つの大罪】仕立屋娘と勝手な来訪者【二次創作】
ゆるりー
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想
姉音香凛
ご意見・ご感想
ぽルカ2828(*´ω`*)
ツンデレルカさん美味しいよ!((
ミクさんどうなるんだ・・・?
wktkしながら続きを待機しておく(`・ω・´)キリッ
2012/01/29 06:45:34
ゆるりー
初めてツンデレルカさんが書けt((
多分皆さんの予想とは違うものになるかと。
2012/01/29 11:04:32
リク
ご意見・ご感想
がくルカで村娘同様ニヤニヤしちゃったじゃないですかwww
今回も面白かったです!続き楽しみにしてます!
2012/01/28 21:05:44
ゆるりー
本当に妄想乙でs((
この二人はイチャついてそうだったので。
あと普段はこういうルカさん書けないのですが、たまにはこういうルカさんもいいn((黙
ありがとうございます。頑張ります。
…その前に、いろいろ書くものがありますが。
2012/01/28 21:54:40