こんな関係もう嫌なの
身分違い?
生きる世界が違う?
…そんなの、大人が勝手に決めたことじゃない
ロミオとシンデレラ鏡音ver. 2【自己解釈】
ママを味方につけた家庭教師は強かった
どんなに逃亡を図ろうと部屋の前や階段、至るところに見張りなんか付けてくれたせいで逃げられやしない。
飛び降りようにも2階だし。
周りに木もないし。
むすっと仏頂面でペンを弄びながらリンは頬杖をつく
ノートやテキストに並ぶ文字の世界なんかよりも、気になるのは窓の外の世界で。
あ、レンだ…
ふと窓枠の世界に忙しそうに駆けていくレンが飛び込むんだ。
その姿を見ると、今度はどんな仕事を押し付けられたのかとか、どこにいくのかな、なんて考えたりして自然と頬が弛む。
「!」
レンが窓枠の世界の中心、即ちリンの正面に差し掛かると、視線に気付いたのかくるりと振り返りこちらを見上げる
慌てて弛んだ顔を口を強く結んで引き締める。
するとレンは悪戯っ子のような笑みを浮かべ、舌を出して見せた。
それを見たリンは眉を寄せむ、とした表情を返す。
「リンお嬢様、余所見をしない。」
パン、と机を軽く叩く音で自分のいる世界へ引き戻される。
ちら、ともう一度窓の外を見ると、レンも誰かに注意を受けたのか慌てて走り去っていったのが見えた。
もどかしい
今いる世界はひどく窮屈で退屈で。
長々と続く家庭教師の蘊蓄をただ黙って聞き流しているリンの表情は暗い。
私はどうしてこんなところで大人しく座って、したくもない勉強をさせられているのだろう?
どうして
好きなようにレンの許へ駆けて行ってはいけないのだろう?
忍ぶようにしてでしか会えないのだろう?
立場だとか、住む世界だとか、そんなものうざったい。
小さい頃からそれは私を縛っていた。
私は由緒正しい名家の娘。
レンは私の家に仕える使用人の息子。
レンの母親はよくレンを引き連れて働きに来ていた。
父親も身寄りも頼るところもなく、そうするしかなかったらしい。
私はというと一人娘の箱入り娘。
幼いころは世間どころか自分の家の庭ですら窓の外の範囲でしか知らないくらい、家の中で「教育」とやらに縛られて過ごしていた。
それが普通だったし、苦とも楽とも思ってなかった。
…レンに会うまでは。
『…何をしているの?』
幼いリンは自室のバルコニーから近くの林檎の木の枝の上で蠢いている亜麻色の髪の小さな男の子に声をかける。
すると彼はドキリと肩を上げ、真っ赤な林檎を抱え恐る恐る振り返った。
『…なんだ、こどもかよ。おどかすなよな。』
声の主がリンであると認識するや否や、男の子ははぁーっと大きく息をついて顔をしかめる。
リンは依然としてキョトンと彼を見つめたままだ。
『おまえ、ここの“オジョーサマ”ってやつだろ。
いいか、このことだれにも言うなよ。』
それが人にものを頼む態度なのか、と言いたくなるぐらい彼の態度は大きい。
ただ、彼の強く物怖じしない瞳がリンの意識をを引き付けた。
媚売って猫なで声でリンに取り入ろうとする人間や、厳しい言葉でリンを飼いならそうとする人間…リンの知っているどの人間とも違う、「名家の娘」としてではなく、自分自身を威嚇し脅す、その瞳に。
『まって!』
睨みを利かせた後さっさと背を向け木から降りようとする彼を、リンは言葉で引き止める。
まだ何かあるのか、と言いたげな顔で彼は振り向く。
リンはそれに臆せずに言葉を続けた。
『この下には何があるの?』
そんなリンの問いかけに彼は驚いたような表情を見せ、切り返す
『おまえ、自分の庭になにがあるのかもしらないのか?』
『知らない、外で駆け回るのはお行儀が悪いって言われてるから』
レンはまるで当然のことかのように淡々とそう言った、少女を見つめる。
それは子供らしいはつらつとした覇気が感じられない、生白い肌をした少女。
『――よし、わかった。来いよ』
『え…?』
す…と差しのべられた手の平を、リンはその意味を理解できずに見つめる。
『おれ、家ん中はしらねーけど庭ならおまえより詳しいから…
案内してやる』
にぃ、と微笑みかける彼。
それが新鮮で、眩しくて、…なぜか気恥ずかしくて。
微笑み返すことはなく、躊躇いがちにそっとその手に自分の手を伸ばす。
その手が触れ合い、ぎゅっと強く握られるとバルコニーの柵の外へとリンの体が引き寄せられる。
すとん、と上手く枝の上に着地して、彼の顔を見上げると屈託のない笑顔をしていた。
『おれ、レン。おまえは?』
『――リン。』
レン、…レン。
リンの心の中でレンの名前は反芻される。
何度も、何度も。
――どうして?
考えてもわからないけれど。
『よし、じゃあ行くか。―リン。』
手を繋いだまま、レンは木の幹へとじりじりと距離を詰めていく。
それに連なってリンも足を進めた刹那。
『あ…っ』
『リンッ…』
ドサ…と鈍い音が芝生を叩く。
ただ落ちたのは彼らではなく…
レンが片手に抱えていた、赤い果実。
二人は木の枝の上でレンの上にリンが被さり、リンを抱きとめるようにして倒れていた。
『ったく、気をつけろよな』
倒れた際に打ち付けた腰の痛みに顔を歪ませレンは言った。
『ごめん、なさい…』
その表情にリンは動揺の色を見せる。
レンはすぐさまそれを察知したのか、笑って見せた。
『ま、いーけど。気にすんな』
服に付いた木の葉を掃ってやりながらリンを立たせてやると、さっきよりも注意を払ってリンを木の下へと誘導する。
今度は二人とも無事に着地しきると、レンは再びリンの手をとり走り出す。
『まずはとっておきの場所おしえてやる
大人はめったにこないから、遊んででもおこられない場所っ』
『…うん…っ』
なんだか嬉しくて、楽しくて、リンは初めて笑顔を見せた。
小さな子供ふたりきり、手を繋いで。
こうしてリンは初めて窓の外の世界を知ったのだ。
レンは私に世界を教えてくれた人
数年前にお母様を亡くしてからは生活するために私の家で雇われてはいるけれど…
こんな家なんかじゃなくて、もっと広くてカラフルな世界を知っている、そんな人
自由に生きたいと願えば、いくらだって道を切り開ける人
こんなつまらない世界しか知らない私とは違う
敷かれた道しか歩めない私とは違う
だからこそ憧れて、焦がれてやまない。
だからこそいつまでも隣にいたいと願ってしまう
だけどね、レン
私たちは結ばれることを祝福されない私たちは、
例えるならロミオとジュリエット
お別れは…すぐ近くで息を潜めていたの
コメント2
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ご意見・ご感想
モモコ
ご意見・ご感想
初めまして!
リンちゃん&レン君、カワイイですね~!
キュンキュンしちゃいますww
続き、楽しみにしておきますねヽ(^o^)丿
2011/11/21 19:40:43
琉惟
ご意見・ご感想
はじめまして!
かわいすぎてブクマさせてもらいました!
鏡音ロミシン大好きです!
続きを楽しみにしてます
2011/07/26 00:05:23