「・・・・はぁ」
私はしとしとと地味によく降る雨雲を見上げて、ため息をついた。
今日は、雨。私の嫌いな、でも君の好きな天気。・・・と言っても、今は分かんないんだけどね。そう思っていると、
「おはようございます、マスター」
非常に眠そうな声が背後からして、私は振り向く。
そこには文字通り眠そうに、欠伸をしているカイトが立っていた。
・・・やばい、可愛すぎる・・・!!・・・と、萌えるのはさておき、
「おはよ、カイト。・・・昨日、夜更かししてた?」
カイトを見つめながら聞く。
「・・・・はい。・・・すいません」
うつむくカイト。青い瞳が蒼い髪に隠れる。私は少し焦って、
「あ、謝らなくてもいいよ。よ、夜更かしなんて、あ、当たり前なんだしさ」
・・・・焦りすぎだ、私。うん、絶対そうだ。
「・・・そうですね」
そんな私をどう思ったのか、すこし苦笑いしてカイトは顔を上げた。
蒼に濡れた瞳が真っ直ぐこちらに向けられる。すると、当然、私と目が合うわけで、「・・・・・・・・」しばらく見つめ合うこととなった。
しとしと降り続ける窓の外。薄暗い空間・・・リビングの中。
・・・うーん、こういう雨が降ってる時って、なにか滅多に起きないことが起こるんだよねぇ、割と。実際、色々起きたし。などと、色々考え事をして、今の状況から逃避していると、カイトは視線を微妙に窓の方へずらしてこっちに近づいてきた。てっきり隣に来るのかなと思ったのに、なんで私・・・・抱きしめられてるの?しかもカイトの体温が伝わってきてあったかいし。・・・まぁ、別に、雨の日は寒い時が多いからいいんだけど・・・・。カイト、私好きな人・・・いるって前回、前々回か言ったよね?間違いなく言ったよね?なのに何故、こんなことするかなぁ?君に知られちゃったらもう合わせる顔がないよ・・・。でも、これ机上の空論・・・世間一般でいう『妄想』みたいなものだから別にいいのかな・・・?まぁよく分からないけど。
「・・・・マスターって、誰かから・・・抱きしめられた事ありますか?」
しとしと降り続ける雨音に、カイトの声がよく映える。
「あるよ」
即答の私に、なぜかカイトは慌てたように、
「えっ、男の子と、ですか!?」
「いや、おにゃのこだけど・・・」
「あ、そうですか。・・・そうですよね、マスターが僕以外の誰かを好きになんてこと・・・・・・・・・・・・」
そこで、ようやく分かったのか思い出したのかカイトは黙りこくった。・・・それにしてもカイト、お前、人の話聞いてないなー?
「ごめん、カイト」
それでも何か言葉が出てこなくって私はただ謝った。
「・・・いえ、いいですよ。・・・すいません」
そう言って、カイトは私から離れ自室へと戻ってしまった。
「・・・え」
私はただ呆然とカイトの後ろ姿を見ているしかできなかったのだった。
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mikAijiyoshidayo
A 聞き飽きたテンプレの言葉 ボクは今日も人波に呑まれる
『ほどほど』を覚えた体は対になるように『全力』を拒んだ
B 潮風を背に歌う 波の音とボクの声だけか響いていた
S 潜った海中 静寂に包まれていた
空っぽのココロは水を求めてる 息もできない程に…水中歌
衣泉
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