「ん…あさ、か」


　体の痺れに目を覚まし、時計を見ると針はちょうど５時を刺していた。

　昨日はリンと号泣して、そのまま眠ってしまったらしい。

　俺の横ですうすうとリンの息遣いが聞こえる。少しはなれたところにはお互いにもたれかかるようにして眠っているテトとテッドの姿もあった。


　―――ひとまずシャワーでも浴びるか…


　今日は土曜日。時間もたくさんあるから３人はこのまま寝かせていても問題ないだろう。



　とりあえず、２枚のタオルケットを押入れから引っ張り出して１枚はリンに、もう一方はテトとテッドにかけておく。風邪でも引かれたら面倒だしな。




　そうして俺はのろのろと風呂場へ向かった。

　


　シャワーを１５分ほどで浴び終わり、リビングに戻るとさっきと変わらず眠りこけている３人の姿があった。

　「よし、飯でも作るか！！」

　一人でそうつぶやいて気合を入れる。
　
　いつもはテッドたちが作ってくれるのだが、わざわざ起こすのも申し訳ないし、たまにはフランスパン以外のものも食べたい(←こっちのほうが重要)

　

　何を作ろうかと、キッチンの中を見渡してみる。

　―――久しぶりに和食にするか…

　そして、俺は朝食作りにとりかかった。




　３０分後。

　まぁ、何というコトでしょう！！

　ダイニングテーブルの上には立派な焼き魚と味噌汁に炊き立てのご飯。

　５分前に起きてきたテトとテッドとリンが目を見開いている。

　「れん…料理できたんだね…！？」

　「おう、そんぐらい当たり前だよ。さ、冷めないうちに食べてくれ。」

　「う、うん…」

　リンはいまだ信じられないという風に目を見開いている。

　一方テトとテッドは、

　「レン様、どうして…」

　「どうして…」

　「「フランスパンがないのですか！？」」

　「それかよ！？　まぁ、たまにはいいじゃねえか。さっさと食えよ。」



　無理やり２人を椅子に座らせ、朝食スタート☆



　「うん！意外と美味しいよ！」

　「そうか、それなら良かった。」

　「フランスパンには劣りますけど美味しいです。」

　「…そうか」

　「今日はフランスパンの気分でしたが…美味しいです。」

　「…、テト、テッド、フランスパンの話はもうやめろ！何かむなしくなるから！！」

　俺の声が二人に通じることはなかったようだ。

　２人はその後もフランスパン…フランスパンとずっとつぶやいていた。