―君の声を聞かせて

―澱む心を祓って…

―偽りのキャンバスを塗りつぶしてくんだ

―今日も…



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「私をモデルに絵を描いてくれない?」

それが君との出逢いだった。

「…いいよ。」

僕がそう答えると、君はとても優しく微笑んだ。

「ありがとう。」

心臓が高鳴った。
…僕は君に恋したんだ。



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それから、君の絵を描いていった。
そして絵を描き進めるうちに、僕らは親密になっていった。

「今度は外で描かない?」

「…何で?」

「いつも家の中じゃ飽きちゃうじゃない。気分転換よ、気分転換。」

「わかった。準備するから待ってて。」

「うん。」



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家を出て、近くの公園へ行った。

「こんな所でよかったの?」

「いいの。じゃあ、早速私を描いて。」

「わかった。」

僕は黙々と筆を動かしていった。
その間、君は微笑んでいた。

しばらく経ってから、君がいきなり口を開いた。

「ねぇ、これってデート?」

「い、いきなり何言ってるの…。」

動揺して、筆が止まってしまった。

「フフッ…顔真っ赤。」

「えっ、嘘。」

顔に手を当ててみる。
確かに熱いかもしれない。

「だって、初めてじゃない。2人で出掛けたの。」

「そ、そうだね。」

答えながら、再び筆を動かし始めた。

「これからも、たまには出掛けようね。」

「そうだね。」


しばらくして、絵を描き上げた。

「描けたよ。どう?」

「あ、すごい。私じゃないみたい。」

そう言って、あの大好きな笑顔をみせた。

「じゃ、帰ろうか。」

「そうね。」

僕らは手を繋いで帰った。



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「今日は外で描こうよ。」

「公園でいい?」

「うん、いいよ。」

あれから、外で描く回数が増えた。

家の中には君の絵がたくさんある。
それでも僕は、絵を描き続ける。



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「相変わらず上手いよね。」

「そんなこと無いよ。」

公園から2人で話しながら帰るのが、決まりみたいになっていた。

君がとても優しく微笑から、僕の気持ちも安らかになっていく。
この時間が心地よかった。





でも、





その時間は、





呆気なく、





終わりを告げた。





―キキーッ

ブレーキを踏む音が聞こえた。
遠くで誰かが叫んだ。
目の前に車。
足が動かない。
……死ぬのかな。





―ドンッ

身体が横に倒れた。

そして、





君が、





いなくなった。





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目を覚ますと、白い天井が見えた。
ぼんやりとした頭で考える。
…僕は何故ここに?

「あ。」

声が漏れる。
思い出した。
車が僕に向かって来て、君が僕を庇って………、




死んだんだ。




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僕は今自分の家の中にいた。
君がいなくなってから、数週間が経った。
でも、まだ君がいるような気がする。


そっと、君の絵に触れてみる。
絵の中の君は微笑んでいる。
僕はそれを何度も何度も繰り返した。
毎日そうやって過ごした。

君がいた頃は、毎日が七色に輝いていた。
だけど、今は灰色。
未来に思いを馳せてみても灰色だった。



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キャンバスに君を描く。
君はどんな声だった?
君はどんな風に微笑んでいた?
君はどんな感触だった?

……思い出せない。

君のことを描くことが出来ない。
僕の大好きな笑顔が思い出せない。
なら、この両目はいらない。



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朝、目を覚ますと目の前に君がいた。
無我夢中で飛び起きた。
僕は君を抱き締めようとした。
でも、出来なかった。
君は悲しげに微笑んだ。
それでも良かった。
君と一緒にいれるなら。
何処かで針の音がした気がした。



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君が戻って来てから、また絵を描き始めた。
でも、キャンバスの中の君は悲しげな表情しかしていない。
あの大好きな笑顔が見たい。
だけど、君は笑ってくれなかった。



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そして僕は絵を描き上げた。
たくさんの色とりどりの花に囲まれた君。
でも、笑っていない。



「もう、さよならしなきゃ。」

絵を描き上げた夜、君がそう言った。

「また会えたのに…何で…。ずっと一緒にいようよ。」

僕は叫んだ。

「あと少し…。針の音が止まれば私はいなくなる。」

君はそう呟いて、それきり黙ってしまった。

僕が何度も声をかけても、黙ったままだった。

「もう少しだけ笑って。もう少しだけ祈って。」

何度も繰り返し、そう言った。
君は俯いて黙っている。

何で黙ったままなの?
…聞こえないなら、もういっそ、僕を、

「僕を殺してよ。」




針の音が止まった。



君が消えていく。



僕はそれを見送ることしか出来ない。



「もう少しだけ、笑ってよ。聞こえないなら、僕を殺してよ…。」

君に向かって叫ぶ。



君が消える寸前、笑った。あの大好きな笑顔で。
そして口を開いた。



「殺さない。」



最期に君がそう言った気がした。



ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Leia

今回は「Leia」の自己解釈です。
勢いで書いたところもあって、読みづらいところもあると思いますが、頑張りました。


ゆよゆっぺ様すみませんでした。

閲覧数:343

投稿日:2011/05/30 00:40:04

文字数:2,247文字

カテゴリ:小説

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  • 禀菟

    禀菟

    ご意見・ご感想

    ふつくしい…
    あの歌好きーv

    PVぱないよね!!

    文才くれ、マジで。
    くれなきゃイタズラしちゃうぞ←

    2011/05/30 07:15:45

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