カイくんのお店に、一人の男の人がやってきた。
「あの、千代紙か、折り紙ありますか?」
「はい、ございますよ」
売場へ案内されて、彼とじっと眺め入る。
「今、人気がある折り紙はどれですか?」
「そうですね、ちょっと和紙のような感じの折り紙とか。江戸の模様の千代紙なんかもよく売れますね」
「なるほど」
彼は言った。
「こういった紙を使って、暑中見舞いのハガキの、貼り絵を作ろうと思って」
「そうですか。この頃は、今おっしゃったように、ハガキや手紙に自分でちょっとした工夫を加える方が多いですね」
「そうなの?」
「はい、手作りのものを、皆さん好まれるようです」
男の人はうなずいて、気に入ったいくつかの千代紙や色紙を買った。
カイくんは彼が店を出て行ってから、思った。
「あれ、今の人、誰かに似ていたような...」
●次作のアイデアが湧いた!
帰りの電車で、さっき買った折り紙や千代紙を抱えて、席に座っていたテッドさん。
頭にティン、とひらめいた。
「そうだ!こんど作る絵本の絵、この千代紙を使った貼り絵にしよう」
彼は、絵本作家なのだ。
このあいだ「そろそろ暑中見舞いのハガキを出そう」と考えていた時、妹のテトさんが「こないだ行った原宿のお店に、手作り用の材料がいろいろ揃ってたよ」と教えてくれた。
そこで今日、仕事の打合せのついでに、足を延ばしてみたのだ。
テトさんと、テッドさんは、双子だった。
さっきカイくんが「どこかで会った気がする」と思ったのも、無理はないかもしれない。
●クリエイティブに、ひと工夫!
駅を降りたテッドさんは、妹のテトさんのやっているお店「つんでれ」に立ち寄ってみた。
お店の売場には、彼が今までに出版した絵本も置いてある。
店にはアルバイトのウタちゃんが、一人でいた。
テトさんは出かけているようだ。
「お疲れさま」
ウタちゃんは、テッドさんの折り紙や色紙を見て言った。
「そう、こんどの作品のアイデアがひらめいたの?」
「うん。貼り絵風の絵にしてみようと思ってね」
「へえ、面白そうね。私もなにか、アイデアのあるものを作りたいな」
ウタちゃんは、「デフォ子」というペンネームのイラストレーターでもある。
いつも、もう一人のアルバイトのモモちゃんと交替で、このお店で働いている。
「テッドさん、今、冷たいもの出すね」
「ああ、ありがとう」
「そうだ!ひらめいた」
ウタちゃんは言うと、お店の奥のキッチンに入りこんで、何か一生懸命、作りはじめた。
「お待ちどうさま」
「サンキュー」
テッドさんは彼女が出してくれた、コーラのような飲み物をひとくち飲んだ。
?? 何だこりゃ。
「ウタちゃん、これ...」
「どう?ちょっとアイデアのあるドリンクでしょ。アイスコーヒーに、ソーダ水を入れてみたの」
彼女はにっこり笑って言う。
「......」
テッドさんは、“アイスコーヒー・ソーダ”を飲み下しながら、ずり落ちそうになるメガネをあわてて指で押さえる。
「うーん。さわやかだけど、イマイチだね」
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(それだけは、やめた方がいいよ) `s(・'・;)
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