「どぉしたの~~~~~? みんなさっきから変な顔してさー」
「い、いやあの、その、え~~~~~と……」
どう対応していいかわからないといった表情をした一同の前で、『ルカ』―――――と言っていいのかどうかわからないような幼女だが―――――が首をかしげている。
「……状況を整理させてもらっていいかしら……」
つい10分前に意識を取り戻したグミが、メイコに耳打ちする。
「あたしが気絶してる間に、ルカちゃんとミクちゃんの潜在音波が覚醒して、リュウトたちを撃退して、でもそしたらルカちゃんが縮んじゃった……ってことでいいのかな?」
「……まぁそんな感じ」
「うーん……」
グミが腕組をして頭を捻っている横で、今度はお茶を淹れてきたミクがメイコに耳打ちした。
「メイコ姐、どぉ……? ルカ姉の様子は……」
「……ダメね。記憶を失ってる……というより、正確には記憶が上書きされてるのかしら? 今のルカは、元より自分が幼女であったと思い込んでる」
「そんな……」
信じられないといった表情ながらも、恐る恐るルカ(?)に話しかけるミク。
「えーっと、ルカ姉……」
「……!」
するとぐん!と振り向いたルカが、目に涙を滲ませてミクを睨みつけた。
「えっ、えっ!?」
「なんであたしのこと、『ルカ姉』なんて呼ぶのよ、ミクお姉ちゃんっ!!」
「ふええええええっ!!!? お……お姉ちゃん!!?」
一気にミクの顔が真っ赤になるが、ルカはその反応すらも納得がいかないといった表情だ。
「そうだよっ!! いつもお姉ちゃん、あたしのこと『ルカちゃん』って呼んでくれたじゃない!! なんであたしが年上みたいに呼ぶの!?」
「ふえええええええええええええええ!!!!!? ルカ……『ちゃん』……!!? ……あ、ぐぶふっ」
突如鼻血を噴き出し後ろによろけるミク。慌ててグミが支えにかかる。
「にゃあああああああ!!!? み、ミクちゃん!!?」
「ルカ姉の事を……私が『ルカちゃん』だなんて……どうしよ……夢みたい……」
「え、そんな夢見てたの……?」
「だって普段大人なルカ姉をちゃん付けで呼べるロリィな機会ないじゃん!!! しかもあたしのことをお姉ちゃんだなんて……ああまた鼻血ぐぶっ」
(あ、これダメなミクちゃんだ)
恍惚としながら鼻血を垂らし続けるミクに呆れ返っているグミを放って、メイコは一人考え込んでいた。
幼児化する前のルカの状態。幼児化した時の状況。関係のありそうな事象。そして今のルカの記憶等々の状況。
それらから導き出された、一つの仮説――――――――――
(……『サイコ・サウンド』の巨大な情報量にルカのメモリが耐え切れず、それによるショートを回避するために幼児化で空きメモリを作り出した……)
彼女らVOCALOIDの人工知能には、五感で感じたものを『記憶』する脳としての役割のほかに、技や動作、その他諸々のデータを『記録』するコンピュータとしての役割がある。
この『記録』のためには空きメモリが必要だが、この空きメモリが足りない場合エラーを起こし、人工知能が機能停止してしまう可能性がある。
メイコの仮説では、『サイコ・サウンド』が覚醒したことによって、これを新たに空きメモリに書き込もうとしたものの、あまりにも巨大な情報量にメモリ不足に陥り、それによるオーバーヒートを回避するため、自らの身を縮めて身体に関するデータを一時的に消去、空きメモリを作ってデータを押し込んだということになる。
(……とすると、今ルカの中では空きメモリを複製して元の姿に戻る準備をしているはず……いわば蛹みたいなもんか……)
小難しい顔をしてあれこれと思案していると―――――
「……めーちゃん?」
「ふおっ!?」
いつの間にか目の前に、ルカの顔が迫っていた。その顔はルカの面影を残しながらも、あどけなく可愛らしい少女のものだ。
「もしかして、みんなあの戦いで記憶失ってるの?」
「へっ? あ、あの戦い?」
「リュウトとの戦いだよ! みんな散々な目にあったから……」
この言葉を聞いたメイコの中で、一つの確信が生まれた。ルカの記憶は今、『元のルカの記憶』の中の、『自分』に関することだけが『幼女ルカ』にすり替わっている。
ルカの中では皆と共にリュウトらと戦ったことも、途中でリュウトが自我を取り戻し皆が撃墜されたことも、ミクと自分が潜在音波を会得したことも実際にあった事となっている。
唯一つ―――――『自分は幼女のルカである』という記憶が植えつけられていることを除いて。
「……そ、そーなのよ! ちょっと頭打っちゃったみたいでさー、少し記憶が欠けちゃったのかも。ね、あたしたちがあんたの事なんて呼んでたか、あんたがあたし等の事なんて呼んでたか教えてくれる?」
周りに『あたしに合わせな』と目配せしながら、メイコは何とかルカに話を合わせていった。
「もーしょーがないなー! じゃあ、皆の事なんて呼んでたか教えてあげる!」
ルカは楽しそうに笑いながら、まずはリンとレンをぴっと両手で指さした。
「まずー、リンお姉ちゃんとレンお兄ちゃんはあたしのこと呼び捨てにしてた!」
『にゃあああああああああああああああ!!!?』
猫のような嬌声を上げて思わず尻餅をつくリンとレン。
「どどどどどどどー――――しよレン……あたし達ルカさんのこと呼び捨てしてたって……」
「それだけじゃないぞリン……あのルカさんが俺らに……お姉ちゃんとお兄ちゃんだぞ……!!?」
「ちょ、レンよだれ垂れてる!! きったないなー!」
「そういうリンこそ鼻血垂れてんぞ!」
「え゛っ、うそん!?」
大慌てで洗面所へと向かう双子。普段尊敬している姉を呼び捨てしており、姉・兄として慕われたというルカの記憶に、相当面食らったと見える。
「ね、ね、あたしは?」
「グミお姉ちゃんはルカちゃんって呼んでたよ!」
(あ、あたしはいつも通りに呼んでたんだ……でもやっぱりお姉ちゃんか……あれ、悪くないかも)
『お姉ちゃん』という響きに感動し始め、先ほどまで呆れの目を向けていたミクに、逆に呆れの目を向けられるグミ。
そんな緑色二人を放置して、メイコとカイトがルカに話しかける。
「あたしらは?」
「めーちゃんは呼び捨てー」
「ふんふん(あたしは呼びも呼ばれもいつもと一緒か……)」
「でー、バカイトさんはー」
「バカイトさんっ!!!!!?」
『ぶっ……はははははははは!! あははははははははは!! バカイト!! バカイトさんだってさあははははははははは!!』
「ちょっ……リン!! れ、レン!! そ、そんな笑ったらカイト兄さんにしつれ……ぶふふっ……」
「ミクちゃんも笑ってんじゃ……ぶふっだめえ耐えらんない! あはははは」
一同、大爆笑である。地に手をつき全力で落ち込んでいるカイトの背中を、これまた大爆笑のメイコがバンバンと叩く。
「あははははははははははどんまいどんま~~~~~い!! あははははははははいやぁルカあんたサイッコー!! あーっはっはっはっはっはっはっはっは」
「……卑怯プログラム発動、『エア猿轡』」
『むぐぐごっ!!!!?』
一瞬にしてメイコたちの口まわりに、圧縮空気の層が出来上がり馬鹿笑いを封じた。
「?」
「き、気にしなくていいからね。それより僕は何と呼んでたのかな?」
「バカイトさんはルカちゃんって呼んでたー」
「そ、そう……」
再度繰り返される「バカイトさん」に更なるダメージを受けつつも、落ち着いて対処するカイト。
そんなカイトを横目で見ながら、『エア猿轡』から解放されたメイコとミクは苦笑いを浮かべた。
「……しばらく苦労しそうだね、これ」
「全くよ……さて、これからどうしようかしら?」
「とりあえず……ルカ姉が関わってる公共施設とか、いろんなところに報告するのが筋なんじゃない?」
「そうしますか……まったくもう、ほんっと面倒なことに……」
そう愚痴るメイコだったが、天真爛漫な笑顔を向けるルカに目を向けた途端、しかめっ面はたちまち呆れ笑いへと変わっていくのだった。
その頃―――――。
『火竜』と『仔猫』は、町はずれで『獲物』を待っていた。
真っ先に倒さなければならないと判断した、『彼女』を。
仔猫と竜と子ルカの暴走 Ⅱ~荒ぶる『ルカちゃん』~
戦いが終わるといきなり幼児化していたルカさんにどう接していいかわからず皆して言葉少なになり、鉄鞭とか使わせてたのがなぜか申し訳なくなりたい。聴取後『疲れたぁ』といわれても「あっ、お布団敷きます!」とか敬語になりたい。
こんにちはTurndogです。
ルカさんの事をルカちゃんと呼びたい。
そんなルカちゃんにお兄ちゃんと呼ばれたい。
だけどいつもみたいに馬鹿と罵ってもらいたい。
ただ罵ってもらうだけじゃなく無邪気に無意識に罵られたい。
呼び名を間違えて涙目になるルカちゃんに謝りたい。
ルカちゃんなう!ルカちゃんなう!!ルカちゃんルカちゃんルカちゃんなう!!!
……というTurndogの欲望100%から完成しました。
ただやりすぎるとR-20を超えますのでこの辺でやめておきますww
いっそpixivに本物のR-20でも投稿しようかな?(やめれ変態
ミクさんやリンちゃんが鼻血吹いてるのは私の影響です。
グミが恍惚としているのも私の影響です。
カイトが呆然としてるのはカイト自身の影響です(おい
私はバカと言われたら『ありがとうございます!』と土下座しm(おまわりさーん
ごめんねミク、リン、グミ。
(この後Turndogは3重ジャーマンを喰らいました)
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ご意見・ご感想
しるる
ご意見・ご感想
いつの間にかミクちゃんたちもルカ廃になりかけている
いやまぁ、わかるけど、わかるけどさw
2013/12/21 20:09:44
Turndog~ターンドッグ~
許したげてwww
ロリルカは正義なんですよ((
2013/12/22 09:18:14