タグ「悪ノ娘」のついた投稿作品一覧(13)
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キヨテルさんがリン様の罪状をすべて読み上げた。
今の罪状を聞くとリン様は悪逆非道の限りを尽くしたようにしか聞こえない。実際はどうだったのだろう。
確かにリン様が王女となってから亡くなった人数は……表現は悪いがそれこそ山のようにいる。
...《悪ノ物語~第二章・緋ノ侍女・6~》
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リン様の罪状が読み上げられていく。
リン様は目をつむってそれを聞いている。その罪を一つ一つ思い出しているのかもしれない。
リン様の場合、罪を罪だと思っていないものもあるだろう。
あの時もそうだった。リン様が下した命令。
『緑ノ国を滅ぼ...《悪ノ物語~第二章・緋ノ侍女・5~》
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あの日のリン様の王位継承の式典の時と同じくらいの拍手が私の耳に入ってきて、また私は思い出の海から引きずり出される。
どうやら、なんらかの表彰が行われているようだ。表彰を受けているのはこの『赤ノ革命』と呼ばれる今回の市民革命のリーダー格の人々...《悪ノ物語~第二章・緋ノ侍女・4~》
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そうしてしばらくすると扉をノックする音がした。おそらくカムイくんだろうと思った。
「カムイくんですか? リン様なら今はいませんわ」
私の扉越しの呼び掛けに対して、扉の向こうの人物はガチャリという音とともに部屋に入ってきた。
部屋に入ってきたのはスミレの花のような色の髪を後ろで一つにまとめ、若干...《悪ノ物語~第二章・緋ノ侍女・3-2~》
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私が広場に入ってから数分が経つ。数分というのは時計上の時間で、体感では二時間にも三時間にも思えた。
そんなじれったい時の流れは一人の少女の登場によって元に戻る。
王宮の方から後ろ手に両手を縛られ、二人の刑吏に連れられたリン様が歩いてくる...《悪ノ物語~第二章・緋ノ侍女・3-1~》
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その後、また私たちは楽しく会話を続けたがとうとうメイコちゃんは一度も姿を見せないまま私とリン様が帰る時間がやってきた。
外を見るとほとんど日が落ちかかっていた。
私はカップのわずかなコーヒーをすすってから別れの言葉を切りだした。
「ではまた時間ができたら来ようと思います。今日はありがとうござい...《悪ノ物語~第二章・緋ノ侍女・2-3~》
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その道中私はネロくんの父親だと思われた男性、キヨテルさんに赤ノ国の現状について尋ねた。
『父親だと思われた』と言ったのには理由がある。どうやらネロくんは黄赤戦争で孤児となった子で、キヨテルさんはそんな孤児となった子供たちの引き取り手だったのだ。
道理で似ていないと思った。まず、髪の色が違う。ネ...《悪ノ物語~第二章・緋ノ侍女・2-2~》
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処刑台の置かれた壇上にいる人物には見覚えがある。
彼はキヨテルさん。旧赤ノ国でカフェを経営していた人だ。私自身よく訪れた場所だった。それにリン様もたった一度だけだが、行ったことのある店だった。その時、まだ幼かったリン様とも気さくに話していた。
...《悪ノ物語~第二章・緋ノ侍女・2-1~》
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しばらくすると急に廊下が騒がしくなったので、私は涙をふいた。『王女は常に強くあるべきである』私は常々そう教えられてきた。
私は王家の人間として最大限の誇りを持って黄ノ国の兵士を丁重に迎え入れ、捕縛という現実を受け入れた。
私が黄ノ国の牢に監禁され丸二日経った頃、私の父、つまり赤ノ国の王が降伏宣...《悪ノ物語~第二章・緋ノ侍女・1-2~》
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2010.05.24 Monday
《第二章・緋ノ侍女》
「ごめんあそばせ……少し通していただけませんの?……」
人の間を縫って私は前へ前へと進んでいく。どうしてもこの瞬間をしっかりと目に焼き付ける義務が私にはあると感じている。
「……本当に……っと、やっと抜けた...《悪ノ物語~第二章・緋ノ侍女・1-1~》
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《悪ノ物語》
いかがでしたか。あなたはこの王国の末路を喜劇と呼びますか。それとも悲劇と呼びますか。実はまだその判断をしていただきたくないのです。
所詮、今のはどこかの知らない誰かが後の世で書いたつまらない歴史書です。いや、事実を書くことが歴史書の条件であるというのならば、先ほどの記述は歴史...《悪ノ物語~第〇章・2~》
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《第一章・悪ノ娘》
むかしむかしあるところに悪逆非道の王国がありました。それは黄の国と呼ばれておりました。そして、その頂点に君臨していたのはまだ齢十四の王女様でした。
彼女の部屋には絢爛豪華な調度品が溢れており、国中の宝石が集められ、外国の珍しい品々が毎日のように届けられておりました。
...《悪ノ物語~第一章~》
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《悪ノ物語》
むかしむかしあるところに長きに渡り栄華を極めた王国がありました。その国を治めるのはまだ齢十四の王女様でした。
これから始まる物語はそのある王国のお話です。この物語を喜劇と呼ぶか悲劇と呼ぶか、それはあなたに委ねます。だって私にこの物語の真実を伝えることはできないのですから。
...《悪ノ物語~第〇章・1》