「牛飼い。」は、今のところ4人で活動中のサークルです 悪ノシリーズ及びその他ボカロ曲を独自解釈した二次創作小説・絵を上げていきます □メンバー紹介□ 憂:イラスト kiri:小説 サイダー:小説 ○:小説 サークルブログ→http://ushikai.jugem.jp/ メール→ushikai01@gmail.com
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「なに安心してんだよ、柴」
不機嫌そうな顔で、顎をこれでもかというくらい引いて、彼女は私に言った。
ちょうど自販機の取り出し口からジュースの紙パックを取り出そうとしていた私は、中腰のまま固まってしまった。
「安心って?」
高校に入ってからほとんど話さなかった彼女が話しかけてきたのには何か事情があるの...DOGS
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「はぁ、はぁっ…」
離陸と着陸を繰り返す足。口から吐き出される水蒸気。
なんでこんなに息が切れているんだろうと、ふと考えた時「あ、私、走ってたんだ」って、気づいた。
寒い。
だって、季節は冬だもの。真冬ってわけではないけれど、12月って1年を通して考えてみれば体感的には十分寒い。それに一人でいるせい...白の季節 (音羽憂:作)
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帰ろう、と大和がそう思ったのは、弟・柳二の同級生に偶然出くわしたことが原因だった。
「弟さん、結婚されましたよね。おめでとうございます」
実家とは5年間全く連絡を取っていなかったから、そんなことはもちろん知らなかった。
それは、大和がずっと恐れていた終わりだったし、望んでいた終わりだった。
柳二がそ...白の季節2 (サイダー:作)
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幼い頃は、少し歳の離れた二人の兄が何よりの自慢だった。
かっこよくて何でもできて、バレンタインにはいつも鞄をいっぱいにして帰って来た。
二人の間に挟まって手を繋ぐと、どこまでだって歩いて行ける気がしていた。
ずっと三人一緒にいられるのだと、当然のように思っていたのだ。
―――――――――――――――...白の季節1 (サイダー:作)
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むかしむかしあるところにとある王国がありました。小さな国ではありましたが、自然がゆたかで、人々はみんなやさしい、あたたかい国でした。それというのも、この国のお姫さま、フロア姫の魔法の力によるものでした。
フロア姫は人々のこころをあたためる魔法をつかうことができました。国の人々は魔法のおかげで...白の季節 (〇:作)
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「死んで」
往来のど真ん中、そう目の前の女に告げられた。
その女の髪は真っ黒だが、今時流行りのクロカミロングってやつじゃない。
えっ、流行ってなんかないって? まぁ、実際流行っているかどうか、なんてどうでもいいことは今置いといてくれ。それより俺が今置かれているこのデンジャラスな状況につっこんで...モザイクロール
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ガタタン、ガタタン。
圭子は、膝に紙袋を乗せて電車に揺られていた。
袋の中身は、夫に買ってくるよう頼まれたコーヒー豆。住まいがなまじ駅に近いために、沿線にある輸入食料品店へのお使いを度々頼まれてしまうのだ。
コーヒーを飲むのはほとんど夫だけなのだから、休みの日にでも自分で買いに行けばいいのに、と思わ...Mrs.Pumpkinの滑稽な夢
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「ねぇ、与次郎はどのお花が好き?」
「えぇ~、花なんてどれも一緒だよ。」
「そんなことないわよ。ほら、綺麗なお花がこんなにたくさんあるのよ?」
「ん~。じゃあ薔薇かな。」
「あら、どうして?」
「棘があってカッコいい。」
「………。」
「な、なんだよ…。」
「………子供だなぁって思って。」...いろは唄
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「今日が最後だ、リヨン。くれぐれも処分のことは洩らさないように。態度も変えるな」
「分かってます。……あの、処分って、どうやって?」
「知りたいか?」
「……やっぱりいい。……僕、せめて最後までニースのそばにいたいな」
長い渡り廊下を歩きながら、僕は職員に言ってみた。
彼は少し考えたあ...あめふるはこにわ3
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僕が目覚めてから4週間が過ぎて、ようやく外出の許可が下りた。
怪我の治りが見立てより遅くなったのは、精神的なダメージもあったからだろうとサヴォイア医師は言っていた。
ニースの処分まであと3日。
僕は今日、久しぶりに彼女に会いに行く。
「NIISは当初より随分落ち着いているが、処分のことを...あめふるはこにわ2
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目が覚めると、僕は見慣れない場所にいた。
真っ白な部屋に、薬品のにおい。天井が見えるので、どうやら仰向けに寝ているらしい。
さあさあと雨の音が聞こえる。
全身がだるくて、頭が痛い。動きたくない。
しばらくボーッとしていると、ガラリという音がして、続いて静かな足音が聞こえた。パタパタというそれ...あめふるはこにわ1
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消えるように君が言った
言葉だけが残される
「さよなら」
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「ごめんなさい、さよなら」
『さよなら』という辛辣な言葉を彼に突き付けて私はその場を去った。
相手の顔は見ない。見たら涙が止まらなくなることはわかっている。
「待ってくれ、由希!」
後ろから彼の呼ぶ声がする...Winter Alice
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「女子のさあ、その切り替えの仕組みってどうなってんの?」
「はあ?」
振り返ると、松原がシャーペンを回しながらこちらを見ていた。
男子の間で流行っているらしい色々なところを中途半端に立てた髪型が、夕陽を受けて何かの作品みたいだった。
―メランコリック―
「いや、ごめん、何となく」
「切り替えって何?...メランコリック
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翌日の朝一番、時之助が寺へやって来た。何やら興奮気味である。
「陽春さま!國八の正体が知れたかもしれやせん!」
「ほう、何故だ」
「昨夜、俺ァなんとお庭番に釘を刺されたんですよ!國八のことを嗅ぎ回るなと!陽春さま、國八ってなァ、もしや公方様の…!」
「末娘だそうな」
「…へ?」
僧衣の両袖にそれぞれ...カンタレラ その7
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「何と申した…?」
駒乃屋の一室では、陽春が凍りついていた。
請われて、國八がもう一度その名を口にする。
「徳川家斉様。わっちの父親は、あなた様のお父上でありんす。…九三郎さま」
まさか。
そんなことがあるのだろうか。
父・家斉には子が多い。ゆえに陽春には、顔も見たことのない兄や姉や妹がいた。
國八...カンタレラ その6
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近頃、花魁は御機嫌である。
鼻唄を歌う姉女郎を見ながら、なつめは折り紙で遊んでいる。
國八の客である陽春が買ってきてくれたものだ。
「おや、可愛くできたじゃないか」
千代紙の蛙をひょいと摘まんで、國八は禿を誉めた。
「陽春さまが御手本を買ってきてくだっしたゆえ、わっちゃァ何でも作れんす。花魁、何でも...カンタレラ その5