タグ「鏡音リン」のついた投稿作品一覧(7)
-
「なに安心してんだよ、柴」
不機嫌そうな顔で、顎をこれでもかというくらい引いて、彼女は私に言った。
ちょうど自販機の取り出し口からジュースの紙パックを取り出そうとしていた私は、中腰のまま固まってしまった。
「安心って?」
高校に入ってからほとんど話さなかった彼女が話しかけてきたのには何か事情があるの...DOGS
-
0
「ねぇ、与次郎はどのお花が好き?」
「えぇ~、花なんてどれも一緒だよ。」
「そんなことないわよ。ほら、綺麗なお花がこんなにたくさんあるのよ?」
「ん~。じゃあ薔薇かな。」
「あら、どうして?」
「棘があってカッコいい。」
「………。」
「な、なんだよ…。」
「………子供だなぁって思って。」...いろは唄
-
「女子のさあ、その切り替えの仕組みってどうなってんの?」
「はあ?」
振り返ると、松原がシャーペンを回しながらこちらを見ていた。
男子の間で流行っているらしい色々なところを中途半端に立てた髪型が、夕陽を受けて何かの作品みたいだった。
―メランコリック―
「いや、ごめん、何となく」
「切り替えって何?...メランコリック
-
ほらほら笑いなさい
可愛いお顔で
毛皮をまた被って
芝居に戻る
「……ねぇ、ちょうだい?」
─────────────
十月の終わりが迫り、肌寒さは身にしみてくるこの時期、一人の若い男が山中で叫んでいた。どうやら車のタイヤがパンクしたらしい。こんな山奥でパンクとはかわいそうに……それにそんな薄着...trick and treat
-
《悪ノ物語》
いかがでしたか。あなたはこの王国の末路を喜劇と呼びますか。それとも悲劇と呼びますか。実はまだその判断をしていただきたくないのです。
所詮、今のはどこかの知らない誰かが後の世で書いたつまらない歴史書です。いや、事実を書くことが歴史書の条件であるというのならば、先ほどの記述は歴史...《悪ノ物語~第〇章・2~》
-
《第一章・悪ノ娘》
むかしむかしあるところに悪逆非道の王国がありました。それは黄の国と呼ばれておりました。そして、その頂点に君臨していたのはまだ齢十四の王女様でした。
彼女の部屋には絢爛豪華な調度品が溢れており、国中の宝石が集められ、外国の珍しい品々が毎日のように届けられておりました。
...《悪ノ物語~第一章~》
-
《悪ノ物語》
むかしむかしあるところに長きに渡り栄華を極めた王国がありました。その国を治めるのはまだ齢十四の王女様でした。
これから始まる物語はそのある王国のお話です。この物語を喜劇と呼ぶか悲劇と呼ぶか、それはあなたに委ねます。だって私にこの物語の真実を伝えることはできないのですから。
...《悪ノ物語~第〇章・1》