タグ「KAITO」のついた投稿作品一覧(20)
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次の瞬間には、ミクの姿が消えていた。
「ーーやばっ」
咄嗟に回避行動を取る。といっても、見えないのでその場から横に跳ぶしかなかったのだが、それが正解だった。カイトが跳んだ一瞬あと、さっきまで座っていたテレビがスライスされていた。
「なるほど、その爪で、切り裂いていたんだね。それじゃあ鎌鼬とは呼べ...無頼 その5(終)
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10
レンはこの街が好きだ。
特に観光名所があるわけでもなく、特別物価が低いわけでもないが、なんとなく雰囲気があっていた。
この街と、もう一つしかレンは知らないが、もう一つが特段ひどかったがためにそう思えるのかもしれないが、この空気が、匂いが、歩いたときの感触が、聞こえてくるものが、見え...無頼 その4
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「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……あの」...無頼 その3
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3
カイトの指示で、メイコとレンが事務所を閉店させる。カーテンを閉め、扉に『close』の札を下げた。ミクはそれをずっと見ていたが、閉じ込められたなどの恐怖はなかった。それぐらいのことなら、もう予想はできていた。
「じゃあ、改めて訊こうか。ミクちゃん。依頼は?」
「……助けて、ください」
「なに...無頼 その2
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1
「ここに行くといい」
その少女のーー初音ミクのーー記憶はそこから始まる。
そこはどこかの薄汚れた路地裏で、太陽にさえ見捨てられたような、一日中日の当たらない場所だった。不法投棄されたゴミが散乱し、けれどそれを注意する人も、気にする人もいない。ネズミとコケが繁栄し、不潔極まりない場所で、ミ...無頼 その1
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5
「はあ……」
ため息なんていつ以来だろう。長い長い息を吐く。そして、ようやく解放された安堵からなのだろうか。タカラのパソコンを出たあと、俺はその場に座りこんでしまった。
「長かった」
要約してしまえばほんの少し。なのに、途中で入る私情によって話が逸れて戻って膨れてしまったのだ。もし俺が先を促...その鏡音レンは、推察する その3
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今日キミを見かけたよ 僕は思わず隠れたけど
友達だからもう 堂々とすればいいのに
急にキミは笑って 隣の誰かとキスした
当然のことだろ 新しい恋だってするさ
いい思い出が霞むほど 嫌いを見つけていたけど
なぜだろう 聞こえない小言を 思い出して笑うんだ
「幸せ」なんて嘘だった
強がりが僕に言わせた...女々しい
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昨日まで 好きだった歌手のCD
キミは買わずに 歌詞を眺めてた
「売れたのは この人が有名だから」
昔同じような 歌詞を書いたキミは言う
くだらない日常も 捨てたもんじゃないよと
共感を求めた いつしかの作詞者は
ありふれた幸せも 繰り返す退屈も
目の前にあるのに なぜだか 見えないふり
僕らまだ ...創詩送愛
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ずっとひとつだった傘が ふたつに戻った
肩が濡れなくなった キミが遠いや
雨の日を待ってキミを デートに誘った
最後は腹立つほどに 最悪でいい
時間をかけて 紡いできた糸は
時間を かけるほどに 解れてく
雨粒が僕の頬で 涙となって流れるから
楽しかった思い出さえ 悲しく変えてしまえるだろう
ハート...水の拍手
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くーらー こわれた きょうは そう ねったいや
まどは ぜんかい にして うちわを そうび
せんぷうき くびふり せってい なつばの とうしを ぼうし
ねころんだ だけなのに いきが みだれた
みぎて ひだりて きゅうけい そして また みぎて
あおぐ たびに ふきでる あせで おぼれそう
にぎれば...くーらー こわれた ねったいや
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空想 妄想 IFの話
例えば そう映画のように
大人で生まれ 子どもで死ぬ
そうであればと 願う日曜
遥か彼方のような未来
ああもう 感傷もなく とうに超えていた
ねえ なんだって いいんだって そういうのは
過去に何度だって繰り返した教訓が
僕を大人にして つまらなくして
日常がいいって 諭すんだ...成蝶中
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たまに一人になりたくなる
嫌いじゃないのに 離れたくなる
キミはそのとき甘えてくる
ケンカするのは いつもそんなとき
正反対の似た者同士
変に気が合い どこかすれ違う
「さん」が取れたのはつい最近
なのに恋はもっと前 生まれていたんだ
聞いていたより恋愛ってやつは
面倒くさいし 煩わしいね...そんな、関係
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【A】
そういえば 呑める人は 父だけだったな
休暇で帰るときに思い出した
まだ夜にひとり 乾杯も無しに プルタブを起こしているのかな
【A】
僕ももう 二十歳を越して だいぶ立つけど
お酒は冷蔵庫に入ってないな
弱くはないけど 美味くもないから 候補に上がらないんだな
【B】
駅まで迎えに来た父は...チューハイと缶ビール
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生きるほどお得な ここは特典世界
生きるほどお得な ここは特典世界
起きる度始まる 予定立たない new day
誰もが継承者 『楽』に生きるため生きて
未来に耳打ちして 過去に親指立てた
「あんまり生き過ぎんなよと」神が定めた寿命の中でも
抱えきれないほどの贈り物が ほらまた今日も届きました
6年...生きるほどお得な世界
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一週間の 夏休みも だいぶ慣れた
数年前は「短過ぎ」って 言ってたくせに
一人だったら 日付だけで 知った四季を
キミのせいだよ 今年もまた 期待してる
高校生(コドモ)のままの僕じゃ
成人男性(オトナ)の着ぐるみは
大き過ぎて 隙間だらけさ
あの日 空に張り付いたままの 打ち上げ花火
夏が終わり ...空に張り付いたままの打ち上げ花火
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ちょっとカッコつけたくなって 普段呑まない酒を買ってきた
慣れないことするもんだから 話はちょっと空転気味
「過去が綺麗なのは人生が 減点方式だからさ」って
「子どもかよ!」って突っ込んだのは 二日酔いの自分ってオチ
あーあ また昨日を 串刺しして 遊んじゃって 今日が終わる
頭の中で けたたましく...エー・エス・エー・ピー
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【A】
カレンダーは正直で4月になれば春になった
さなぎ色の自分を脱いで 花降る下を歩いてる
去年の今日と違うことは歳の数くらいなのに
いろいろ思うことがある 大人になったなあ
【B】
花びらのようにバラバラになっていくなにかを
繋ぎとめようと開いた手から別のなにかを零す
去年と今年に咲くものは全く...青春桜歌
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グッバイ 有名な小説家になったであろう僕の人生
きゃっほい よく来たね 座りなよ 堅実な現実が僕の現在
身体も目も脳も衰えてきて ようやく夢見がちなお年頃
スーツにネクタイ締めて神に願書を出したら
「残念 キミの歳じゃチャンスはもうないよ」
僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が
もしも大人で産まれたら
僕...コドモセイジン
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相変わらずコートは手放せないけど
会社を出ても空が明るいままだった
そういえばもう三月なんだね
キミの苦手な冬もそろそろ終わりだ
止まっているように見えて
実はちゃんと動いている
料理の腕も アイロンがけも
僕らの距離も少しずつ 少しずつ
明日劇的に変わるものなんて何一つないんだろう
逃げ出したかっ...Flip book
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今は有名な芸人の 昔の漫才が流れていた
面白いと思えないのは 画質のせいだけじゃなさそうだ
普段堅物な先輩が なぜだか飲み会によく誘われる
為になる話が聞けるから なんてそんなわけないよな
宴会は嫌いだった 前に出るのが嫌だった
役が回って僕の番になった 「罰ゲーム」ってぼやいた
「その通りだって」...bat-u-game,bat-i-game