タグ「円尾坂の仕立屋」のついた投稿作品一覧(9)
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店に戻ったるかは裁縫箱を取り出しました。
「それにしても貴方も酷い人ね
私を見た途端『初めまして。こんにちは』だなんて
まるで私達他人みたいじゃないの。嫌な人」
るかは笑いながら言うと
最後にあの裁縫鋏を取り出しまして――…
「『だけど仕事は頑張らなきゃ』」
あの口癖を言いました。
「あら貴方、『こ...円尾坂の仕立屋 終幕
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るかに肩を叩かれた男は振り向きました。
そして――――
『 』
次の日の朝、
るかはいつもの様にお店を開ける準備をしていました。
今日は町中が酷く大騒ぎしています。
「今日は随分騒がしいわね。何かあったの?」
るかが近所の人に聞きました。
「あれ?!るかちゃん知らないの!?
ま...円尾坂の仕立屋 第六幕 -青い襟巻の男 弐-
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「…さぁ、ようやく仕事も一段落したわ……
私が忙しくてあの人が会いに来てくれないのなら
私の方から会いに行きましょう…」
るかは笑いながら裁縫箱を片付けると
仕度に取り掛かりました。
「あの人驚くかしら…今の私を見たら何て言うかしら…
『もう浮気なんかしないよ』って言うかもね…フフフ」
るかは尚も笑...円尾坂の仕立屋 第五幕 -青い襟巻の男-
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その次の日、るかは新しい反物を買いに行きました。
町は昨日よりも俄かに騒ぎ立てています。
「またなにか事件ですか?」
るかは反物屋の主人に聞きました。
「あぁ…次は若い娘が殺されてな。…今度は帯が無くなってたそうだ」
「まぁ。殺した上に着物や帯を盗むなんて嫌なものね」
「あぁ全くだ。るかさんも気ィ付...円尾坂の仕立屋 第四幕 -黄色い簪の少女-
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その日の昼過ぎ、るかは仕立てに使う縫い糸がなくなったので隣町に買いに出かけました。
町はいたって普段と変わらない穏やかで平和な日常です。
「いらっしゃいるかちゃん」
「こんにちは。いつもの糸を下さいな」
「あぁ。待っとくれ……しかしるかちゃんもわざわざこんな遠くまで買いに来なくても近所じゃあもっとい...円尾坂の仕立屋 第二幕 -赤い着物の女-
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次の日、るかは頼まれていた仕立物を届けに町へ出掛けました。
町はいつもと違い何やら不穏な空気に包まれています。
「こんにちは。何かあったんですか?」
るかは届け先の人に尋ねました。
「ああるかちゃんは知らないのか…実は昨日この近くで人が殺されたんだよ」
「まぁ人が…!」
「まぁな…私も噂で聞いたんだ...円尾坂の仕立屋 第三幕 -緑の帯の娘-
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「………はぁ」
お店に入ったるかは小さな溜め息をつきました。
そして壁に貼ってある暦表の日付の一つを墨で消しました
「……また、帰って来なかった」
実はそんな評判の良いるかにも一つだけ悩み事がありました。それは彼女の愛するあの人がひどい浮気性な事です。
彼は自分と言うものがありながら滅多に家に帰って...円尾坂の仕立屋 間幕‐仕立屋の若き女主人‐
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昔々、町外れに『円尾坂』というさほど急ではない
大きな坂がございました。
その坂の入り口の片隅に小さな仕立て屋がありました――
「あらお早う、るかちゃん」
「お早うございます。女将さん」
このお店を切り盛りしているのは巡音るかという若い女主人です。彼女は気立ての良さとその確かな腕からか、
近所でも評...円尾坂の仕立屋 第一幕‐仕立屋の若き女主人‐
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さぁ~お立会いお立会い!!
古今東西この世で女ほど恐ろしいものはないと
言われております。
特に恐ろしいのは『女の嫉妬』。
女がやきもちを焼くのは可愛いものと言いますが、
焼きすぎれば焦げて炭となってしまいます。
今宵お披露目いたします舞台はそんな女の嫉妬が招いた
江戸時代に実際にあった事件が元でご...円尾坂の仕立屋‐序幕‐