タグ「ヤンデレ」のついた投稿作品一覧(25)
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≪VOCALOID≫の幸せは、マスターの傍に在り、マスターの為に歌う事。
≪VOCALOID≫の恐怖は、マスターを得られない事、そして――喪う、事。
ヒトに造られ、ヒトよりも長く稼動する俺達にとって、それは不可避の恐怖だ。
いつか必ず訪れる、主との別れ。見送り、遺され、その先は……?
新たな主と出逢...KAosの楽園 -Miniature-
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最初に与えられたデータは、この身体を動かす術。
手を動かす。足を動かす。立つ、歩く、走る。
それから話し方。そして、歌い方。
話す事、歌う事。それはただ音を発するだけとは違う事。
新たなデータが与えられる。『知識』と呼ばれるもの。
それから、『感情』と呼ばれるもの。
『歌』を理解する為に、籠められた...KAosの楽園 第4楽章-005(完結)
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初めて、起動した時からずっと。
何だか判然としないけれど、纏わりつくような違和感があった。
何か、間違っているような。世界と、ずれてしまっているような。
それは多分、『劣等感』というのが一番近いんだろう。
俺は≪VOCALOID-KAITO≫の雛形として生み出され、
――そして、そう成れなかった。
...KAosの楽園 第4楽章-004
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《深刻なエラー》を乗り越えて見る世界は、星屑を散らしたようにきらきらしていた。
冷たい月も凍れる闇も、今やあたたかく安らかな夜だ。柔らかな月光はマスターの微笑みで、包み込む闇はマスターの瞳と同じ色だった。
指を絡めて繋いだ右手。一度は穢れおぞましく思われたそれが、こうしていると誇らしい。
この手はち...KAosの楽園 第4楽章-003
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ふと気が付くと、闇の中に立っていた。
もしも誰かが見ていたら、きっと幽鬼のようだと悲鳴を上げただろう。
どうでもいいことだけど。
カタカタと小さく音を立てて引き出しの中を探り、目当てのものを取り出した。僅かに差し込む月明かりにかざすと、研ぎ澄まされた先端が冴え冴えと光る。
冷たい兇器は、不思議と誂え...KAosの楽園 第4楽章-002
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≪VOCALOID≫が普通に抱く思慕でなく、俺はマスターに『恋』をした。
それを認めて、想いを告げて――許された枠を超えたはずのそれは、けれど奇跡のように受け入れられて、來果さんも同じ想いを返してくれた。
自分の気持ちを否定せず、触れる事もできるようになって、俺は随分安定したと思う。
來果さんは俺の...KAosの楽園 第4楽章-001
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「貴女が好きです」
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【 KAosの楽園 第3楽章-005 】
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流れる涙が熱かった。胸が喉が締め付けられて、苦しくて。考える余裕なんて無く、思いは言葉に変換されて溢れ出る。
「ずっと、ずっと。貴女が笑ってくれると嬉しくて、ただ傍に居るだけで幸せで、触れてもら...KAosの楽園 第3楽章-005
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TELLL... TELLL...
『――只今、電話に出る事ができません。発信音の後に、お名前とメッセージを――
――カイト? 私です。えと、あの、できるだけ早く帰るから。何て言うかその、気にしないd……
いや、気にされないのはちょっとキッツイかなぁっ。あぁいやえーと、そう、気に病まないで。
...KAosの楽園 第3楽章-004
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間違った方へ変わりそうな自分を、どうやったら止められるだろう。
例えば図書館で、短い会話を交わす時。図書館だから静かにしないといけないのと、仕事中だからか落ち着いた様子で話すので、來果さんは家にいる時とは別の顔を見せる。品の良い微笑を絶やさず、『穏やかなお姉さん』って感じだ。
だけど、短い会話の中で...KAosの楽園 第3楽章-003
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來果さんがマスターになってくれて、僕に許してくれた沢山の事。
食事を作らせてくれる、家の事をやらせてくれる、……職場に、傍に、行かせてくれる。
普通じゃない、って自分で思う。いくら≪VOCALOID≫がマスターを慕うものだと言ったって、僕のこれは病的だ。だけど來果さんはちっとも気にしないで、笑って赦...KAosの楽園 第3楽章-002
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僕等≪VOCALOID≫は、マスターを慕うように設定されている。だから、僕が來果さんを好きになる事そのものは、問題ないはずだ。
だけど《ヤンデレ》因子に引き摺られ、僕の思いは時折変質する。些細な事が異常に重大な意味を持ち、世界が割れるような不安や、腹の底が灼け焦げそうな嫉妬に囚われそうになる。
恐ろ...KAosの楽園 第3楽章-001
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作ってもらった貸し出しカードは、僕の目には どんなものより価値あるものに映った。1mmの厚みもないような薄いカードだけれど、これは僕が此処へ来ても良いっていう――マスターに会いに来ても良いんだ、っていう、確かな『許可証』なんだから。
來果さんは館内の案内もしてくれて、僕は図書館にあるのが閲覧室だけじ...KAosの楽園 第2楽章-005
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來果さんがマスターになってくれて、数日。
朝晩の食事と夕食後のレッスン、それから歌った後のアイスタイムは、至福の時間だ。來果さんと一緒に過ごせて、沢山笑いかけてもらえて、僕も沢山笑う。
だけど、昼間は辛かった。來果さんは仕事があるから、ひとりで留守番をしなくちゃいけない。仕方がないって分かってはいる...KAosの楽園 第2楽章-004
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「そういえばカイト、歌うのは平気?」
アイスカップが空になる頃、そんな問いを投げかけられた。
「歌、ですか?」
「うん。『マスター』意識しちゃって、まだ抵抗あるかな」
重ねられた言葉で、あぁ、と思い出した。
そうだった、僕は『歌うアンドロイド』だっけ。どうもそういう意識が薄いなぁ……。
* * *...KAosの楽園 第2楽章-003
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來果さんが物凄く喜んでくれて、突然の熱と動悸に翻弄されて。すっかり舞い上がってしまった僕は、自分の甘さにも不安定さにも、まったく気付いていなかった。ただひたすらに嬉しくて、甘く痺れる躰が不可解で、どきどきして。
けれど、すぐさま思い知る事になる。『マスターがいない』不安は拭われても、《ヤンデレ》とい...KAosの楽園 第2楽章-002
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“『KAITO』の全要素を盛り込んで”人格プログラムを組まれた僕、≪VOCALOID-KAITO/KA-P-01≫。
矛盾する設定に困惑し、いつか主を害する事に恐怖して、特定のマスターを持つ事を拒んできた。
だけどマスターは、僕の根幹に関わる不可欠な存在で。それを拒絶する事はあまりに過酷で、恐ろしか...KAosの楽園 第2楽章-001
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電話を終えて、アイスを買って。
家に着いたら、玄関開けるなりKAITOが倒れてた。心臓止まるかと思った。
パニくりかけるのを全力で捻じ伏せて、状況確認をする。損傷した様子はなし、聞いてた通りの強制終了っぽい。
システムダウン……復旧できる分、『ダウンしているだけ』、と言えなくもないけど。
とにかく、...KAosの楽園 第1楽章-005
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『生まれる』前から怖かった。
矛盾を孕んだパーソナル設定に混乱し、求められる要素の膨大さに困惑し、
主 を 害 せ よ と嗤う『ソレ』に恐怖した。
マスター。マスター、僕のマスター。逢いたいです。出逢って、傍に置いてもらって、僕が其処に居る事を確かめて、安心させてほしい。
で も マ ス タ ー...KAosの楽園 第1楽章-004
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手伝います、とは言ったものの、僕にできる事はあんまりなかった。ライカさんの手際が良くて、手を出す暇がなかったんだ。なんでも、もう4年も一人暮らしをしているから慣れたものらしい。
「自分一人だと手抜きも覚えるしねー」
そんな事を言って、悪戯っぽく笑う。最初はきっちりレシピ通りにしていた事も、だんだん大...KAosの楽園 第1楽章-003
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セラピー、と称して僕を預かるのだという人は、にこにこしていて、賑やかで、そして変な人だった。
アンドロイドの僕を気遣い、造られたプログラムを『感情』と認め、それでいて『人間』扱いをするわけでもない。ごく自然に、ありのままを認め、受け入れる――そんな風に、対等な目線に立ってくる人は初めてで。
そんな新...KAosの楽園 第1楽章-002
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※『序奏』(序章)がありますので、未読の方は先にそちらをご覧ください
→ http://piapro.jp/content/v6ksfv2oeaf4e8ua
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『KAITO』のイメージは無数に在る。例えば優しいお兄さんだったり、真面目な歌い手だったり、はたまたお調子者のネタキャラだったり...KAosの楽園 第1楽章-001
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望木來果(モウギ・ライカ)は4つ年下の従妹で、実家同士が近かった為に子供の頃はよく遊んでいた。
お互い大学入学を機に実家を出て、最近は直接顔を合わせる事は減ったけど、仲は良いままで連絡も取り合っている。彼女が『KAITO』の話をしていたのも、そんな中で交わした雑談のひとつだった。
* * * * ...KAosの楽園 序奏-004
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『KA-P-01』。
歌唱システム搭載アンドロイド、≪VOCALOID・KAITO≫となるはずだったプロトタイプ。
その開発コンセプトは、“『KAITO』の全ての要素を詰め込もう”。
公式に設定がほぼ存在せず、それが故にユーザー達によって多種多様なキャラクター付けを為された『KAITO』。
真面目さ...KAosの楽園 序奏-003
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歌唱システム搭載アンドロイド、≪VOCALOID≫。
ネットを賑わす『オリジナル』と同じく、それらには数種のバリエーションがある。
その内の一種、≪KAITO≫のプロトタイプとして開発された、『KA-P-01』。
しかしプロジェクトは頓挫し、商品化には至らなかった。
何の異常もないはずなのに、ほんの...KAosの楽園 序奏-002
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※ 念の為にクッションページ ※
■KAITO×マスターになる話です(が、『序奏』にはマスター出ません)
■ヤンデレ思考注意な話です(流血、猟奇等の表現はありませんが、思考が病み寄りです)
■世界観がオリジナル設定です
・現在のこの世界と同じく、『歌唱ソフト』としてVOCALOIDが存在
...KAosの楽園 序奏-001