ブックマークした作品
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年をとった。
肖像画を描けなくなったのはいつからだろうか。
──否。描けなくなっていた、と気付いたのはいつだったか、と考えるのが正しいかもしれない。
若い頃は絵を沢山描いていたし、画家を目指していたこともあった。
しかし、母と画家ニコライ=トールによりその夢を絶たれてからは絵筆を持つことも無...とある画家の肖像
たるみや
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これは夢だ。
早々に彼がそう確信した理由は他でもない。宮殿の廊下に、本来ならばいるはずもないものがいたからだ。
加えて、窓ガラスも割れているというのに他の侍従達が騒ぎ立てている様子は無い。
目の前の事柄全てがあまりにも不自然だ。夢なのだろう。今、彼の前にいるこの「熊」は。
地を這うような低い...イレギュラーはアカシックレコードの夢を見るか?
たるみや
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私の目の前には一人の男が座っている。見かけは質素だが生地も仕立ても一級品な服に青い髪。画材道具の入った鞄を持っていれば旅行客に見えるとでも思ったのだろうけど、護身用の長剣にはばっちりマーロン王家の紋章が入っている。……というか、忍ぶ気が全くないんじゃないかこの人。
「好きなものを頼んでくれて構わな...青ノ妹
粉末緑茶
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話をしよう。
その共同墓地は格好の遊び場だった。旧王都という街中では子供たちの遊び場は少なく、近場で人気のなく木々に覆われたそこは最適だった。
私が「彼女」に気付いたのは、ある日のこと。
かくれんぼの場所探しの最中、ある墓標の前の彼女を見つけた。その修道着は確かエルド派のものだ。
私は目の前の「彼女...悪ノ娘 黄のアンコールあるいはビス
万華
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遠くから私を呼ぶ声が近付いてくる。
すごい勢いで。
一瞬誰か分からなかったが、「カイル兄様~!!」とドレスの重さを感じさせないくらいの速さでやってきたのはリリアンヌだった。よくあのドレスで走っていて転ばないものだなと感心しつつ、王女がそんなことをしてはいけないよと窘める。その言葉を受けしゅんと...夢の中でなら
雪夢
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「エルフェゴートへ?」
「そう、少し用事をね。お願いするわ」
「分かった」
「お土産に、エルフェゴートの名産品トラウベンがあれば嬉しいわね」
「ふあぁぁ」
あくびをするリリアンヌが、視界の端に見えた。
あーあ、退屈な会議ねぇ。形だけで、意味なんてない。リリアンヌじゃなくても、あくびが出るわ。
「ふぁ...化ケ物ノ襲来
亮也
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時計塔の針の音が響いている。規則正しく鼓膜を穿つそれは、まるで心臓の鼓動のようだ。
マーロン王国ブラッドプール地方北部、キャッスル・オブ・ヘッジホッグ。その中心にある巨大な時計塔の針音は、その風体にふさわしい程大きく、城をぐるりと囲うように建てられた城壁の上にまで届いている。
針の音に合わせるように...逆さの塔に名を刻む
たるみや
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私の名前はネイ=フタピエ。『悪ノ娘』リリアンヌ=ルシフェン=ドートゥリシュに仕えるメイド……というのは仮の姿。
その正体はリリアンヌに悪魔を取り憑かせ、悪政による内部崩壊を引き起こすために送り込まれた工作員であり、知られざるマーロン国第十三王女である。
無事王女付きのメイドとして王宮の中枢に潜...工作員の試練
むぎちゃ
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アレン 〜ルシフェニア王宮内「リリアンヌの部屋」にて〜
「いよいよ明日じゃ!準備ができていくのを見ておると、胸が踊るのう‼︎」
満面の笑みのリリアンヌ。いつになく、上機嫌だ。それも当然。明日は、リリアンヌの誕生日。彼女を祝って、盛大な舞踏会が行われるのだから。
つい先程、3時の鐘が鳴り、リリアンヌは...アノ日ノ記憶
亮也
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「リリアンヌ様?どこへ行かれたのですか?」
僕は先程突然リリアンヌに呼び出された。そのためリリアンヌの部屋へ向かったが、そこには彼女はいなかった。
待っていれば来るだろうと思っていたが、数十分経ってもリリアンヌが部屋に来る気配はなかったため、今僕は城中を捜し回っている。
全ての階を回ったつもりだが、...回想、そして後悔
macaron
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僕は、知識量には自信がある。
当然といえば当然だ。8年前の「あの事件」まで、僕はこの国の王となるべく育てられたのだから。
さすがに王宮の大人たち──特に、数百年も生きてる某魔導師には敵わないけれど、同年代の中では知識がある方だと思う。
歴史、文学、語学、数学、政治学、地理、宗教──我ながら、よくもま...星と歯車とオモイデ
わらすぼ
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「『イモケンピ』が食べたいのじゃ!」
そう、リリアンヌ王女が言い出してから1時間。僕、『アレン=アヴァドニア』は途方にくれていた。
午後3時、おやつの時間には、使用人の誰かがリリアンヌ王女におやつを作る決まりになっている。今日は僕の番だ。リリアンヌ王女はブリオッシュが大好きだから、先日ミカエラが...君のワガママ
持平勇賢(りゅうせいとうP)