タグ:千本桜(黒うさP)
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「あ、あの。何か御気分を害されましたか?」
「害されたな。酷く不機嫌だ」
「大変申し訳御座いません。旦那様の悩みの種なぞに憧れを抱こうなど、無礼なことこの上なく」
「いや、別に僕は学徒を嫌っちゃいないさ。僕も学徒の頃は相応に無茶もしたし、自由に生きていた。―だがな、流花がそう言うということはこの家を...【十三項目】二次創作小説『近代歌姫浪漫譚 千本桜 ~学徒が華ぞ咲きにける~』【胡蜂秋】
胡蜂 シュウ
―夜・某屋敷にて―
「お帰りなさいませ、旦那様。御食事の用意が出来ております」
「ほう、ばあや;女中頭は仕事が早いな。冷めた料理を食わせようというのか」
「ドリンクと前菜をお召しになられている間に、主菜の仕上げをご用意いたします」
「ほう、すると君は嘘を言いおったのか」
「すぐ食事の席にお付きいただ...【十二項目】二次創作小説『近代歌姫浪漫譚 千本桜 ~学徒が華ぞ咲きにける~』【胡蜂秋】
胡蜂 シュウ
「あぁ不愉快、煩わしい。今後一切、私の前でその名前を私語に吐かないで。だからがっかりって言ったのよ、田舎者は礼儀がなってない、礼が足りない!儀が足りない!本当にしょうもないわね!『尾張』育ちの田舎者なんて縁起が悪いったらないじゃないの、言わせないで恥ずかしい!」
「はぁ、言ってくれますね」
「それき...【十一項目】二次創作小説『近代歌姫浪漫譚 千本桜 ~学徒が華ぞ咲きにける~』【胡蜂秋】
胡蜂 シュウ
―半刻後・議事堂にて―
百合李が議事堂に戻ると、堂内は殺伐としていた。かといって閑散としているわけではなく、内部は議員やそのお付の秘書の者たち、報道関係者が立ち話をしていたり今後の予定を確認していた。議員達の手には綴じられた数枚の資料が握られており、折り畳んでポケットに入れる者や手に持っている者な...【十項目】二次創作小説『近代歌姫浪漫譚 千本桜 ~学徒が華ぞ咲きにける~』【胡蜂秋】
胡蜂 シュウ
「あたしはそのお話、敢えて胸中に収めずこの場で一切を吐き出させていただくわ」
「!」
「総理ご本人の悲願か目標か、もしくはその先にある、もっと大きな未来の、日本国の幸せか。総理が何をお考えか私は存じ上げません。それでも、今目の前で反戦を叫ぶ学徒達の、若者の、ひいては国民の悲痛なる声を、あたしはその身...【九項目】二次創作小説『近代歌姫浪漫譚 千本桜 ~学徒が華ぞ咲きにける~』【胡蜂秋】
胡蜂 シュウ
―続・寺院にて―
「で」
「(やばいやばい神凪殿に話があるといって此処に残ったまではいいものの私なんで敵の総大将とその側近二人と一緒に神凪殿のお振る舞いになる茶請けを御馳走になってるんだどうしようどうしようどうしよう)」
「学帆様、こちらのお茶請けは?」
「先ほど出した漬物が、最後の一本だったのです...【八項目】二次創作小説『近代歌姫浪漫譚 千本桜 ~学徒が華ぞ咲きにける~』【胡蜂秋】
胡蜂 シュウ
「かようなお言葉、耳より綿棒で掻き出すにも値しないわ」
「…?」
「」
「や、盗み聞きする程価値のある話でもなかったけどね、門を潜ればまぁ滑稽なお話が聞けたものだから、鼻で笑ってやろうと思って」
「御国の長殿の戯奴が前におはすとはいとも稀なり。如何なさってか、万策尽きて米英に屈するのみなる長殿よ。お...【七項目】二次創作小説『近代歌姫浪漫譚 千本桜 ~学徒が華ぞ咲きにける~』【胡蜂秋】
胡蜂 シュウ
―一刻後・寺院にて―
「失礼します。何のご用意もできませんが、漬物などどうぞ」
「ありがとうございます。有難く戴きます」
「学帆殿の整ひ給ふるお茶請け、戯奴の享楽に御座いまする」
「愛凜、はしたないですよ」
「戯奴の享楽それをそれであると言わぬ由、皆目見当もつかぬ」
「御気になさらず、蓮二殿。はっは...【六項目】二次創作小説『近代歌姫浪漫譚 千本桜 ~学徒が華ぞ咲きにける~』【胡蜂秋】
胡蜂 シュウ
「遅れてしまって御免なさい、あいりん;愛凜さん、れんじ;蓮二さん」
「御姉様のわけ;戯奴をお待たせになるはいとも稀なり。いかがなさいましたの?よもや道すがら、同心が伏せて刃を立てて侍りぬとも」
「ありがとう、愛凜は心配性ね。でも違うわ、ちょっと;一寸お喋りしてただけ」
「しかして四半刻程も遅れるなぞ...【五項目】二次創作小説『近代歌姫浪漫譚 千本桜 ~学徒が華ぞ咲きにける~』【胡蜂秋】
胡蜂 シュウ
「待って待って待てってば!千疋屋なんて、あたいもなかなかお目にかかれねぇ、いやお口にかかれねぇ高級品だよ?しかも桜のって、花見に向けて作ったって新作じゃねぇのよ?」
「だからよ。意地悪言った埋め合わせ。今度一緒に行きましょ。銀座なんて出向くのはいつ振りかしら。埃っぽい学生服で二輪車転がしてばかりだっ...【四項目】二次創作小説『近代歌姫浪漫譚 千本桜 ~学徒が華ぞ咲きにける~』【胡蜂秋】
胡蜂 シュウ
―弥生某日・とある往来にて―
「あら、みく;美紅さんじゃないのさ。お早いこって」
「御機嫌よう、芽衣子さん。これから学友と待ち合わせなんです」
「こんな時間から!?感心するね、学徒ってのは朝に強い生き物なんだねぇ。素晴らしい」
「いえ、今日はたまたまです。というか、毎週この日は学僧の友人に頼みまして...【三項目】二次創作小説『近代歌姫浪漫譚 千本桜 ~学徒が華ぞ咲きにける~』【胡蜂秋】
胡蜂 シュウ
「しかしそんな旦那様が身近にいらっしゃるなら、流花くんが学徒になることを嫌がったのではないのかね」
「えぇ、とても。ですがその癖口ぶりは達者でして、『学生として人と交わり、たくさんのことを学びなさい。こんな屋敷に閉じ込めるのでは可哀想だ』と、強がりに仰いまして。毎日大変ではございますが、とても感謝し...【二項目】二次創作小説『近代歌姫浪漫譚 千本桜 ~学徒が華ぞ咲きにける~』【胡蜂秋】
胡蜂 シュウ
―麗らかなる日和・とある喫茶にて―
「いらっしゃいませ…あら、いつもお世話になっております」
「一週間ぶりかな?お久しぶりです、流花(るか)くん」
「いつものお席ですよね?ご案内いたします」
「相変わらず律儀だよねぇ、いつもので。おしぼりは一緒に持ってきてもらえればいいから」
「あ、ありがとうござい...【一項目】二次創作小説『近代歌姫浪漫譚 千本桜 ~学徒が華ぞ咲きにける~』【胡蜂秋】
胡蜂 シュウ
初投稿!二次創作小説
『近代歌姫浪漫譚 千本桜 ~学徒が華ぞ咲きにける~』
初めましての方は初めまして。
そうでない方は、…生かしておくわけには往かぬッ!
開始早々ごめんなさい。
ご訪問いただきましてありがとうございます。
『胡蜂 秋』と名乗っておりますものです。
読み方は…ご自由にどうぞ。
今回こ...【目次】二次創作小説『近代歌姫浪漫譚 千本桜 ~学徒が華ぞ咲きにける~』【胡蜂秋】
胡蜂 シュウ